○山形県受動喫煙防止条例
平成30年12月25日山形県条例第72号
山形県受動喫煙防止条例をここに公布する。
山形県受動喫煙防止条例
健康であることは、全ての人の願いであり、県民が安心していきいきと暮らしていくための大切な基盤である。
受動喫煙は、肺がん、心筋梗塞等多くの疾患の発症と関連があり、妊産婦にとっては流産及び早産の、子どもにとっては乳幼児突然死症候群及び気管支喘息の危険性が高まる等、健康に悪影響を及ぼすことが科学的に明らかになっている。
県民の健康を守るためには、受動喫煙が健康に悪影響を及ぼすことを全ての県民が正しく理解し、協力して受動喫煙を防止していくことが極めて重要である。そして、未来を担う子どもや妊産婦を受動喫煙の悪影響から守ることで、子どもが健康に成長できる、子育てしやすい地域社会を作っていく必要がある。
こうした中、本県では平成27年2月にやまがた受動喫煙防止宣言を制定し、県民、事業者、行政等が、それぞれの立場から、また、互いに協力し、一体となって、これまで受動喫煙の防止に取り組んできた。この宣言に基づいた取組を通じて、県民の受動喫煙に関する理解が深まるとともに、学校等子どもが主に利用する施設及び医療機関の敷地内禁煙並びに社会福祉施設等公共性の高い施設での敷地内禁煙又は建物内禁煙の取組等が推進された。
この宣言における取組及びその成果を大事にし、これまでの取組を後退させることなく、県を挙げて、着実に、かつ、効果的に望まない受動喫煙の防止のための取組を進めるためには、県、市町村、県民、事業者及び施設の管理権原者、保健医療及び教育関係者並びに保護者が、受動喫煙が健康に及ぼす悪影響に関する正しい知識を共有し、相互に連携を図る必要がある。
このような認識の下に、望まない受動喫煙の防止のための取組を総合的かつ効果的に推進することで、県民一人一人が他人の健康に配慮し、望まない受動喫煙を生じさせることのない地域社会を実現することを目指して、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、受動喫煙が県民の健康に悪影響を及ぼすことに鑑み、望まない受動喫煙の防止のための取組に関し、基本理念を定め、県等の責務を明らかにするとともに、望まない受動喫煙を防止するために取り組むべき事項について定めることにより、望まない受動喫煙の防止のための取組を総合的かつ効果的に推進し、もって県民一人一人が他人の健康に配慮し、望まない受動喫煙を生じさせることのない地域社会の実現を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) たばこ 健康増進法(平成14年法律第103号。以下「法」という。)第28条第1号に規定するたばこをいう。
(2) 喫煙 人が吸入するため、たばこを燃焼させ、又は加熱することにより煙(蒸気を含む。次号において同じ。)を発生させることをいう。
(3) 受動喫煙 人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされることをいう。
(4) 保護者 親権を行う者、未成年後見人、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設の長その他の者で、20歳未満の者を現に監護する者をいう。
(5) 事業者 施設を設けて事業を営む者をいう。
(6) 管理権原者 施設(敷地を含む。)の管理について権原を有する者をいう。
(7) 保健医療及び教育関係者 保健、医療又は教育に係る業務に従事する者であって、受動喫煙の防止のための教育その他の受動喫煙の防止のための対策の推進に関する業務を行うものをいう。
(8) 特定屋外喫煙場所 法第28条第13号に規定する特定屋外喫煙場所をいう。
(9) 喫煙専用室 法第33条第3項第1号に規定する喫煙専用室をいう。
(10) 指定たばこ専用喫煙室 健康増進法の一部を改正する法律(平成30年法律第78号。以下この号及び次号並びに第12条において「改正法」という。)附則第3条第1項の規定により読み替えられた改正法第3条の規定による改正後の法第33条第3項第1号に規定する指定たばこ専用喫煙室をいう。
(11) 喫煙可能室 改正法附則第2条第1項の規定により読み替えられた改正法第3条の規定による改正後の法第33条第3項第1号に規定する喫煙可能室をいう。
(基本理念)
第3条 望まない受動喫煙の防止のための取組は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。
(1) 県並びに市町村、県民、事業者及び管理権原者、保健医療及び教育関係者並びに保護者(以下「関係者」という。)が、受動喫煙が健康に及ぼす悪影響に関する正しい知識を共有し、相互に連携を図りながら推進すること。
(2) 受動喫煙の防止に関する従来の取組及びその成果を踏まえつつ、法に規定する受動喫煙を防止するための措置と相まって、当該取組を更に推進することにより、健康長寿県やまがた(県民一人一人が、家庭、職場等あらゆる生活の場において、生涯にわたって、健やかで心豊かに暮らすことができる地域社会をいう。)の実現を目指すこと。
(3) 子ども、妊産婦その他の受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者を、受動喫煙がその健康に及ぼす悪影響から守り、これらの者が健康で快適に暮らすことのできる生活環境を維持すること。
(4) 県民一人一人が、県外からの来訪者を、望まない受動喫煙を生じさせることのない環境をもって迎えるという意識を持って推進すること。
(県の責務)
第4条 県は、望まない受動喫煙の防止に関する施策を総合的かつ効果的に推進する責務を有する。
2 県は、望まない受動喫煙の防止に関する施策の推進に当たり、関係者と連携し、及び協力するものとする。
(県民の責務)
第5条 県民は、受動喫煙が健康に及ぼす悪影響に関する理解を深めるとともに、喫煙をする場合においては、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう努めなければならない。
(事業者及び管理権原者の責務)
第6条 事業者及び管理権原者は、その使用し、又は管理する施設において、望まない受動喫煙を防止するために必要な環境の整備に取り組むよう努めなければならない。
2 業務に従事する者を使用する事業者は、当該業務に従事する者の望まない受動喫煙を防止するため、望まない受動喫煙の防止に関する意識の啓発その他の対策を講ずるよう努めなければならない。
3 事業者がその業種ごとに組織する団体は、望まない受動喫煙を防止するための運動を実施し、及び推進するよう努めなければならない。
(保健医療及び教育関係者の責務)
第7条 保健医療及び教育関係者は、望まない受動喫煙を防止するための情報の発信及び教育に積極的に取り組むとともに、県又は市町村が実施する望まない受動喫煙の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(保護者の責務)
第8条 保護者は、その監護する20歳未満の者に対し、受動喫煙が健康に及ぼす悪影響に関する正しい知識と理解を深めるための教育を行うとともに、当該者に対する受動喫煙を未然に防止するよう努めなければならない。
(望まない受動喫煙の防止に関する施策)
第9条 県は、関係者と連携し、及び協力して、望まない受動喫煙の防止に取り組む気運の醸成その他の望まない受動喫煙の防止のための取組が推進されるような環境の整備を図るとともに、当該取組を促進するための関係者に対する助言、参考となるべき取組に関する情報の発信その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、受動喫煙が健康に及ぼす悪影響に関する正しい知識に基づく望まない受動喫煙の防止が図られるよう、当該知識の普及、喫煙をする際に配慮すべき事項に関する普及啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。
3 県は、20歳未満の者を受動喫煙がその健康に及ぼす悪影響から守るため、当該20歳未満の者及びその保護者に対し、受動喫煙に関する正しい知識を習得するための学習の機会の確保、受動喫煙の防止に関する意識の啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。
(施設における望まない受動喫煙の防止のための取組)
第10条 法第28条第5号に規定する第一種施設のうち規則で定めるものの管理権原者は、当該施設の場所(法第40条第2項の規定により法第6章第2節の規定(法第30条第4項及び第40条の規定を除く。)の適用を受けない場所(次条において「適用除外場所」という。)を除く。)に特定屋外喫煙場所を定めないよう努めるものとする。
第11条 法第28条第6号に規定する第二種施設のうち規則で定めるものの管理権原者は、当該施設の場所(適用除外場所を除く。)に喫煙専用室及び指定たばこ専用喫煙室を定めないよう努めるものとする。
第12条 改正法附則第2条第2項に規定する既存特定飲食提供施設の管理権原者は、当該施設に喫煙可能室を定める場合であっても、望まない受動喫煙の防止に自主的に取り組むよう努めるものとする。
(屋内の場所に喫煙をすることができる場所がない旨の表示)
第13条 飲食店、喫茶店その他設備を設けて客に飲食をさせる営業が行われる施設の管理権原者は、当該施設に喫煙専用室、指定たばこ専用喫煙室及び喫煙可能室を定めない場合は、当該施設の主たる出入口の見やすい箇所に、当該施設の屋内の場所に喫煙をすることができる場所がない旨を記載した標識を掲示するよう努めなければならない。
2 前項の規定により標識を掲示した管理権原者は、当該施設に喫煙専用室、指定たばこ専用喫煙室又は喫煙可能室を定めようとするときは、当該標識を速やかに除去しなければならない。
(推進体制の整備)
第14条 県は、望まない受動喫煙の防止に関する施策を推進するために必要な体制を整備するものとする。
(財政上の措置)
第15条 県は、望まない受動喫煙の防止に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(委任)
第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
(1) 第2条第8号及び第10条並びに附則第4項の規定 健康増進法の一部を改正する法律(平成30年法律第78号)附則第1条第3号に掲げる規定の施行の日
(2) 第2条第9号から第11号まで、第11条及び第13条並びに附則第5項の規定 平成32年4月1日
(3) 第12条の規定 公布の日から起算して3年を超えない範囲内において規則で定める日(令和3年規則第80号で令和3年12月24日から施行)
(経過措置)
2 この条例の施行の日から前項第2号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における第2条第1号の規定の適用については、同号中「健康増進法(平成14年法律第103号。以下「法」という。)第28条第1号に規定するたばこ」とあるのは、「たばこ事業法(昭和59年法律第68号)第2条第3号に掲げる製造たばこであって、同号に規定する喫煙用に供されるもの及び同法第38条第2項に規定する製造たばこ代用品」とする。
3 この条例の施行の日から附則第1項第1号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における第3条第2号の規定の適用については、同号中「法」とあるのは、「健康増進法(平成14年法律第103号)」とする。
4 附則第1項第1号に掲げる規定の施行の日から同項第2号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における第2条第8号及び第10条の規定の適用については、同号中「法第28条第13号」とあるのは「健康増進法(平成14年法律第103号。以下「法」という。)第25条の4第5号」と、同条中「法第28条第5号に規定する第一種施設」とあるのは「法第25条の4第4号に規定する特定施設」と、「(法第40条第2項の規定により法第6章第2節の規定(法第30条第4項及び第40条の規定を除く。)の適用を受けない場所(次条において「適用除外場所」という。)」とあるのは「(法第25条の11第2項の規定により法第6章第2節の規定(法第25条の6第3項、第25条の10及び第25条の11の規定を除く。)の適用を受けない場所」とする。
5 附則第1項第2号に掲げる規定の施行の日から同項第3号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における第2条第10号の規定の適用については、同号中「次号並びに第12条」とあるのは、「次号」とする。