○山形県農業基本条例
平成13年10月12日山形県条例第52号
山形県農業基本条例をここに公布する。
山形県農業基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 施策の実施及び推進方策(第7条―第22条)
第3章 農業・農村政策審議会(第23条―第28条)
附則
農業及び農村は、人間の生活に欠くことのできない食料を生産し、水を守り、災害の少ない豊かで美しい環境をはぐくむとともに、居住、休養、教育の場の提供、地域経済の活性化への貢献など重要な役割を果たしており、県民一人一人がその恩恵を享受している。
私たちは、世界の食料情勢や地球環境を視野に入れ、長期的視点に立って、生命と暮らしの根幹をなす食と環境を見つめ、それを支える農業及び農村を県民の貴重な財産として将来の世代に継承していく必要がある。
このため、農業に携わる人々が意欲を持って経営の効率化に取り組むことができ、県民が良質な県産農産物を安定的に消費し、良好な環境の下で健康的に生活できる社会が実現するよう、この条例を制定することにより、県民が一体となって21世紀における活力にあふれた山形県農業を新たに構築し、県民生活の安定向上を図るための基本姿勢と、その方策を明らかにするものである。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本県が活力ある豊かな農業県を目指していくための基本方針及びその実現を図るための基本となる事項を定めることにより、農業及び農村の振興が図られ、県民が農業の恩恵を享受できる施策を総合的かつ計画的に推進し、もって本県の農業の持続的な発展の下での豊かで住みよい地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(基本方針)
第2条 次に掲げる基本方針に基づき、前条の目的の達成に向けた取組を推進するものとする。
(1) 本県の農業が将来にわたって消費者に信頼される良質で安全な農産物を安定的に生産し、供給する役割を担うこと。
(2) 国内外の農業を取り巻く社会経済情勢の変化に的確に対応し、農業者が意欲を持って農業経営に取り組むことができる環境の整備を図るとともに、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立すること。
(3) 農業及び農村が持つ国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等の多面的な機能(以下「多面的機能」という。)の維持向上を図ること。
(県の責務)
第3条 県は、国、市町村、農業者及び農業に関する団体(以下「農業者等」という。)、食品産業等の事業者並びに県民と連携を図り、農業及び農村に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 市町村がその区域内の自然的経済的社会的諸条件に応じた農業及び農村に関する施策を策定し、及び実施しようとする場合には、県は、市町村の果たす役割の重要性にかんがみ、助言その他必要な支援を行うものとする。
(農業者等の役割)
第4条 農業者等は、自立的な農業経営の展開、消費者に信頼される良質で安全な農産物の安定的な生産及び供給並びに農産物の評価の向上に主体的に取り組むとともに、農業及び農村の振興に積極的な役割を果たすものとする。
(事業者の役割)
第5条 食品産業等の事業者は、農業及び農村の果たす役割に対する理解を深め、消費者への安全な食品の安定的な供給、県産農産物の利用の推進等に努めるものとする。
(県民の役割)
第6条 県民は、農業及び農村の果たす役割に対する理解を深め、県産農産物の利用の推進等に努めるものとする。
第2章 施策の実施及び推進方策
(県民の理解の促進)
第7条 県は、農業及び農村の果たす役割に対する県民の理解の促進に資するため、農産物の生産等に関する情報提供、農業に関する体験学習等食と農に関する教育の充実、健康的で豊かな日本型食生活(米飯を主食として野菜、魚介類、畜産物、果物等の多彩な副食を組み合わせた食事を基本とした食生活をいう。)の普及及び啓発、消費者と生産者との交流の推進等の施策を講ずるものとする。
(農産物の安定的な生産及び供給)
第8条 県は、農業者等が行う消費者に信頼される良質で安全な農産物の安定的な生産及び供給の取組を促進するため、産地の形成の推進、農業技術の普及、農業用の機械及び施設の整備の推進、流通の対策等の施策を講ずるものとする。
(環境保全型農業の推進)
第9条 県は、農業者等が行う有機物資源を活用した土づくり、化学肥料及び農薬の使用を低減した生産等による農業の有する物質を循環させる機能を生かした環境への負荷の低減に配慮した持続的な農業(以下「環境保全型農業」という。)の取組を促進するため、地域における有機物資源の循環的な利用に関する推進体制の整備、環境保全型農業に関する技術の開発及び普及等の施策を講ずるものとする。
(農業経営の複合化、周年化及び総合産業化の推進)
第10条 県は、経営の効率化、安定化及び改善による農業者の自立を促進するため、施設の整備等による農業経営の複合化及び周年化並びにグリーン・ツーリズム(余暇を利用して農村に滞在しつつ行う自然及び文化との触れ合い、地域住民との交流等の活動をいう。)の展開、付加価値を高めるための農産物の加工等による総合産業化(生産から加工、流通、販売までにわたり農業経営を総合的に展開していくことをいう。)の推進等の施策を講ずるものとする。
(県産農産物の評価の向上)
第11条 県は、県産農産物の評価の向上を図るため、農業者等が行う生産に関する情報提供、交流活動等を通じた消費者の信頼の醸成を図る取組を促進するとともに、情報を収集する機能の強化等流通及び販売に関する施策を講ずるものとする。
(地産地消の推進)
第12条 県は、地産地消(県内で生産される農産物を県内で消費することをいう。以下同じ。)を促進し、県民が良質で安全な県産農産物をいつでも合理的な価格で消費できるよう、県民の需要に応じた県産農産物の生産及び流通の体制の整備、県産農産物の価格の安定に向けた取組の推進等の施策を講ずるものとする。
(試験研究及び情報通信技術の活用)
第13条 県は、農業技術の向上を図るため、新品種の開発及び生産の安定化に資する技術、農作業の省力化に関する技術、農産物の加工に関する技術等の開発のための試験研究を推進するとともに、その成果の普及等の施策を講ずるものとする。
2 県は、農業者の自立的な農業経営を支援するため、情報通信技術を活用した、生産、流通、販売、消費者との交流及び試験研究に関する情報を提供する機能の整備、農業経営の診断、農業経営に関する研修等の施策を講ずるものとする。
(生産基盤の整備等)
第14条 県は、農業の生産性の向上及び農業生産の安定を図るため、畑作物の生産の振興に向けた水田の排水条件の整備その他の生産基盤の計画的な整備等の施策を講ずるものとする。
2 県は、農業生産に必要な農地の確保及び農地の有効利用を図るため、農地の利用の集積及び農地の効率的な利用の促進等の施策を講ずるものとする。
(担い手の育成及び確保)
第15条 県は、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立することが重要であることにかんがみ、意欲と経営感覚を持って効率的かつ安定的な経営を目指す農業者の経営改善のための積極的な取組に対する重点的な支援その他当該農業者の経営の安定のための施策を講ずるものとする。
2 県は、農業者が創意工夫を生かし、経営感覚に優れた自立的な農業経営を展開できるようにすることが重要であることにかんがみ、農業者の経営管理の能力の向上及び農業経営の法人化を推進するための施策を講ずるものとする。
3 県は、農業経営を担う人材の育成及び確保を図るため、新たに就農しようとする者に対する、農業の技術及び経営方法の習得の促進、就農時における投資に対する支援、就農に関する情報提供等の施策を講ずるものとする。
4 県は、女性の農業経営における役割が適正に評価され、女性が自らの意思によって農業経営及びこれに関連する活動に参画する機会の確保を図るための施策を講ずるものとする。
(地域営農の推進)
第16条 県は、地域における営農の維持及び発展を図るため、農業者等が行う地域の合意に基づく農地の利用の調整、農産物の加工等の営農の活動の取組を促進するとともに、高齢者等が能力を発揮できる環境の整備の推進等の施策を講ずるものとする。
(農村の環境の整備等)
第17条 県は、美しく豊かな農村地域の環境を保全するため、自然環境等に配慮しながら生活環境の計画的な整備等を推進するとともに、農村の住民が、農村における生活の豊かさを享受できるよう、地域文化の継承及び都市の住民との多様な交流の推進等の施策を講ずるものとする。
(中山間地域等の振興)
第18条 県は、中山間地域等(山間地及びその周辺の地域その他の地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域をいう。)の活性化を図るため、地域の特性に応じて、地域特産物の生産及び販売等を通じた農業その他の産業の振興に努めるとともに、当該地域において、多面的機能が確保され、適切な農業生産活動が継続的に行われるよう、生産基盤及び生活環境の計画的な整備等の施策を講ずるものとする。
(施策の推進及び連携)
第19条 県は、第2条に定める基本方針にのっとり、第7条から前条までに掲げる施策の実施に当たっては、市町村、農業者等、食品産業等の事業者及び県民と連携を図りつつ、総合的かつ計画的に推進するものとする。
2 県は、農林水産業の果たすべき役割並びに農村と山村及び漁村との密接な関係を踏まえ、第7条から前条までに掲げる施策の実施に当たっては、森林、林業及び山村並びに水産業及び漁村に関する施策との連携に努めるものとする。
(重点施策の推進)
第20条 県は、第7条から第18条までに掲げる施策のうち、重点的に取り組む次に掲げる施策について、実行計画を策定し、計画的に推進するものとする。
(1) 農業及び農村の果たす役割に対する理解の促進並びに地産地消の推進
(2) 環境と調和した持続性の高い農業の展開並びに安全かつ安心な農産物の生産及び供給の推進
(3) 畑作物の生産の振興等による農業経営の効率化及び安定化の推進
(実施状況の報告等)
第21条 知事は、毎年度、議会に農業及び農村の動向並びに県が農業及び農村に関して実施した施策並びにその効果に関する報告を提出するとともに、これを公表するものとする。
2 知事は、前項の報告の作成に当たっては、山形県農業・農村政策審議会の意見を聴くものとする。
(財政上の措置)
第22条 県は、農業及び農村に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
第3章 農業・農村政策審議会
(審議会の設置)
第23条 農業及び農村に関する重要事項について、知事の諮問に応じ、調査審議させるため、山形県農業・農村政策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(組織等)
第24条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 委員は、学識経験を有する者のうちから、知事が任命する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることを妨げない。
(会長)
第25条 審議会に会長を置き、委員の互選により定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。
(会議)
第26条 審議会の会議は、会長が招集する。
2 会長は、前項の会議の議長となる。
3 審議会の会議は、委員の過半数の出席がなければ、開くことができない。
4 審議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(庶務)
第27条 審議会の庶務は、農林水産部において処理する。
(委任)
第28条 この条例に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。