○焼津市自治基本条例
平成26年3月26日条例第1号
焼津市自治基本条例
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 市民が尊重されること及び守ること等(第5条―第10条)
第3章 議会及び議員の役割及び責務(第11条・第12条)
第4章 市長等及び職員の役割及び責務(第13条・第14条)
第5章 市民参加及び協働(第15条―第18条)
第6章 市政運営(第19条―第24条)
第7章 他の自治体との連携及び協力(第25条)
第8章 危機管理(第26条・第27条)
第9章 条例の実効性の確保及び見直し(第28条―第30条)
附則
焼津市は、日本一深い湾である駿河湾に臨み、東洋一の漁港とうたわれた焼津港や大井川の様々な恵みと共に発展してきた歴史あるまちです。
私たちは、これまでもこうした先人たちが築いてきた貴重な歴史、文化、豊かな自然を生かし、希望に満ちた平和なまちを目指してきました。
今後も、未来を担う子どもたちが健やかに成長し、安心して幸せに暮らし続けることができる、市民に愛される焼津市を引き継いでいくためには、私たち一人一人がまちの未来をどのように創っていくのかを考えるとともに、市民、議会、市長等が焼津市の自治の当事者として、課題の解決に向かって、お互いに尊重しつつそれぞれが持つ特性や能力を発揮していくことが必要です。
そこで、ここに、焼津市の自治の基本原則を明らかにするとともに、自治推進のための基礎として、焼津市自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、焼津市のまちづくりの推進に関する基本原則並びに市民が尊重されること及び守ること並びに議会及び市長等の役割及び責務を明らかにするとともに、自治を推進するための基本的な事項を定め、もって自治の確立を図ることを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによります。
(1) 住民 市内に住所を有する個人をいいます。
(2) 事業者 市内に事務所又は事業所を有し事業を行う個人及び法人その他の団体をいいます。
(3) 地縁コミュニティ 住民等が地縁によってつながりを持ち、お互いに助け合い、共通の目的を達成するために活動する団体をいいます。
(4) 公益コミュニティ 構成員が共通の目的を持ち公益の推進に資する活動を行う団体で、市内に事務所を有し活動するものをいいます。
(5) 市民 住民、市内に通学又は通勤する住民以外の個人、事業者、地縁コミュニティ及び公益コミュニティをいいます。
(6) 市長等 市長(水道事業管理者の権限を行う市長を含みます。)、病院事業管理者、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(7) まちづくり 市民の暮らしにおける課題その他の地域社会の課題を解決し、まちの魅力及び活力を高めるための持続的な活動をいいます。
(条例の位置付け)
第3条 市民、議会及び市長等は、この条例を焼津市の自治を進めるための基本的指針として尊重します。
2 議会及び市長等は、他の条例、規則等の制定、改廃及び運用に当たっては、この条例との整合を図ります。
(まちづくりの推進に関する基本原則)
第4条 市民、議会及び市長等は、次に掲げる基本原則により、まちづくりを進めます。
(1) 情報共有の原則 市民、議会及び市長等は、まちづくりに関する情報をお互いに提供し、共有します。
(2) 参加の原則 議会及び市長等は、市民参加により、まちづくりを進めます。
(3) 協働の原則 市民、議会及び市長等は、協働により、まちづくりを進めます。
2 市民は、まちづくりに関し合意を形成するに当たっては、市民同士の対話を十分に行うことに努めます。
第2章 市民が尊重されること及び守ること等
(市民が尊重されること)
第5条 住民は、まちづくりの当事者として市長等が行うまちづくりに参加する権利を有します。
2 市民(住民を除きます。)は、住民に準じ、市長等が行うまちづくりに参加することができます。
3 市民は、市政に関する情報を取得する権利を有します。
(市民が守ること)
第6条 市民は、まちづくりへの参加に当たっては、お互いに認め合い、思いやりの心を大切にします。
2 市民は、まちづくりにおいて、自分と違う意見を持つ他者の価値観の多様性を認め、論議します。
3 市民は、住みよいまちの実現に努めます。
4 住民は、次世代への責任を認識し、まちづくりの当事者として、自らの生活や地域社会のあり方を考え行動します。
(子どもが尊重されること)
第7条 市民、議会及び市長等は、未来の焼津市の担い手である子どもが安心して健やかに育つ安全な環境の整備に努めます。
2 市長等は、子どもにまちづくりに関する意見を述べる機会を与えることが特に重要であることに鑑み、子どもがその意見を述べる機会を設けるよう努めます。
(事業者が尊重されること及び守ること)
第8条 事業者は、地域社会の一員として、周辺環境との調和に留意し、暮らしやすいまちづくりに寄与するよう努めます。
2 市民(事業者を除きます。)、議会及び市長等は、事業者が行う経済活動がまちづくりに貢献するものであることに鑑み、事業者の活動に対する理解に努め、事業者とともにまちづくりに取り組みます。
(地縁コミュニティ)
第9条 地縁コミュニティは、地域社会の課題解決に向けて自発的に活動します。
2 地縁コミュニティは、住民の意見を調整し合意を形成し、それを実践します。
3 地縁コミュニティは、公益コミュニティ、事業者、学校等の団体及び市長等と連携して活動します。
4 市長等は、地縁コミュニティの自律を尊重し、かつ、その力が最大限発揮されるように支援します。
(公益コミュニティ)
第10条 公益コミュニティは、地域社会を構成する一員として、地縁コミュニティ、事業者、学校等の団体及び市長等と連携して活動します。
第3章 議会及び議員の役割及び責務
(議会の役割及び責務)
第11条 議会は、焼津市の意思決定機関として、市民の意思を把握し、その意思を市政に反映させるように努めます。
2 議会は、市政運営に対する監視機能を果たします。
3 議会は、意思決定の内容及び過程を市民に分かりやすく説明し、開かれた議会運営を行います。
(議員の役割及び責務)
第12条 議員は、議会の役割及び責務を認識し、地域社会の課題及び市民の意見を把握するとともに、総合的な視点に立ち、公正かつ誠実に職務を行います。
2 議員は、職務に伴う調査研究活動等を通じ、議会における審議及び政策立案の充実に努めます。
第4章 市長等及び職員の役割及び責務
(市長等の役割及び責務)
第13条 市長は、焼津市の代表者として、政治倫理を守り、公正かつ誠実に職務を行います。
2 市長は、市政に関する基本方針を広く市民に明らかにし、総合的見地から市政運営を行います。
3 市長は、職員が市民のためにその能力を最大限に発揮して職務に取り組むことができるよう、職員に研修や実践の機会を与えるように努めます。
4 市長等(市長を除きます。)は、その権限及び責任において、公正かつ誠実に職務を行います。
(職員の役割及び責務)
第14条 職員は、全体の奉仕者であることを自覚し、公正、誠実かつ適切に行動します。
2 職員は、社会状況の変化、市民ニーズ等を的確にとらえるとともに、事務事業の目的を常に意識し、職務を行います。
3 職員は、市民との対話を大切にし、市民の求めに対して、適切に説明します。
4 職員は、政策等を立案し、及び遂行する能力の向上に努めます。
第5章 市民参加及び協働
(市民参加)
第15条 議会及び市長等は、まちづくりのための政策や事業の決定及び実施に当たって、多様な形での市民参加により行います。
2 市民は、市の説明会などに参加するほか、広報紙、インターネット等様々な方法を通じて情報を取得するとともに、自らも市やその他の市民にまちづくりに関する情報を積極的に発信するように努めます。
3 市長等は、まちづくりのための政策や事業の決定及び実施に当たって市民が参加しやすいように、様々な形の参加の機会を設けるとともに、市民へ参加を働きかけます。
4 市長等は、まちづくりのための政策や事業の決定及び実施に当たって市民の参加を働きかける場合には、幅広い市民の声を反映することができるような手法を採るように配慮します。
(協働)
第16条 市民、議会及び市長等は、地域社会の課題の解決に向けて、それぞれの自覚と責任の下に、その立場や特性を認め合い、目的を共有し、一定の期間において連携・協力する協働の取組により、まちづくりを進めます。
2 市長等は、まちづくりを進めるに当たっては、事業者、地縁コミュニティ及び公益コミュニティの果たす役割が重要であることに鑑み、積極的にこれらの者と協働し、まちづくりを進めます。
3 市民、議会及び市長等は、それぞれの担う領域や役割分担を定めた協働のルールを創ります。
4 市民、議会及び市長等は、協働によるまちづくりを進めるための人材の発掘及び育成並びに情報の収集及び提供に努めます。
5 市民及び市長等は、協働によるまちづくりを進めるため、双方が対話の場を設けるように努力します。
(まちづくり市民集会)
第17条 市長は、協働してまちづくりを進めるため、まちづくり市民集会を開催します。
2 まちづくり市民集会は、市民、議員及び市長等が参加し、地域社会の課題や焼津市の未来について意見交換し、情報を共有することを目的とします。
3 市長は、特別の事情がない限り、まちづくり市民集会を年1回以上開催します。
4 まちづくり市民集会の実施に関し必要な事項は別に定めます。
(まちづくりサポーター)
第18条 市長は、焼津市以外に住んでいる焼津市出身者、焼津市にゆかりのある人及び焼津市のまちづくりを応援してくれる人又は法人その他の団体で希望するものが焼津市まちづくりサポーターとしてまちづくりに関わってもらえるよう努めます。
第6章 市政運営
(情報の管理及び提供)
2 市長等は、決定した結果を公開するだけでなく、その過程も公開するように努めます。
3 市長等は、様々な発信手段を活用し、市民が必要とする情報を適切かつ迅速に提供するように努めます。
4 市長等は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき個人に関する情報を厳格に管理し、及び保護し、関係者に不利益が生じないよう適正に取り扱います。
(市の組織)
第20条 市長等は、社会情勢の変化に迅速かつ効率的に対応できるように、その組織をつくります。
2 市長等は、多様な課題に対応するため、組織相互の連携及び協力を図り、一体として、行政機能を発揮します。
3 市長等は、より少ない人数で最大の効果を挙げられるように職員を適切に登用し、配置します。
(総合計画)
第21条 市長は、市政運営を総合的かつ計画的に進めるための基本構想及びこれを具現化するための計画(以下「総合計画」をいいます。)を策定します。
2 市長は、総合計画の策定に当たっては、市民の参加のもとに十分話し合い、総合計画に市民と市長等の役割分担について、明記します。
3 市長は、基本構想の策定及び変更に当たっては、議会の議決を得なければなりません。
(行政評価)
第22条 市長等は、効率的かつ効果的にまちづくりの課題解決を図り、市民にとっての成果を高めるために、行政評価による計画・実行・評価のマネジメント・サイクルに基づく市政運営を行います。
2 市長等は、行政評価の実施に当たっては、市民の視点に立った成果指標を定め、その達成度等について評価するものとし、その評価表を作成します。
3 市長等は、行政評価の結果を市民に分かりやすく公表します。
4 市長等は、行政評価を活用し、総合計画の策定及び進行管理を行います。
(財政運営)
第23条 市長は、市政の運営が市民の負担の上に成り立っていることに鑑み、最少の経費で最大の効果を挙げる健全な財政運営を行います。
2 市長は、焼津市の財政状況を総合的に把握するとともに、財政指標の目標値を定めて財政計画をつくり、健全な財政運営を行います。
3 市長は、焼津市の財政運営の状況を取りまとめ、その情報を市民に分かりやすく公表します。
4 市長は、総合計画及び行政評価を踏まえて、事業に優先順位をつけ、財源が適切に配分されるよう予算編成を行います。
(公共施設)
第24条 市長は、財政や人口の状況等に応じて公共施設の適正な配置を行うとともに、配置された公共施設を効率的かつ効果的に管理し、及び運営します。
2 市民は、まちづくりのために公共施設を有効に活用するように努めます。
第7章 他の自治体との連携及び協力
(他の自治体との連携及び協力)
第25条 市長等は、共通する地域課題を解決するための施策の実施、効率的かつ効果的な市政運営のための広域にわたる事務処理、大規模災害時の相互応援等について、他の自治体と連携し、協力するよう努めます。
第8章 危機管理
(大地震等自然災害への備え)
第26条 市長等は、大地震等自然災害の発生に備えて、市の機能を維持・継続できるように体制整備をするとともに、計画を策定し、それを有効に活用できるようにします。
2 市民は、日頃から防災に関心を持ち、自ら備えるほか、大地震等自然災害の発生に際しては、地域での活動が大きな役割を果たすことを理解し、日頃から地域での訓練などの活動を行い、災害に強い地域づくりに努めます。
(大地震等自然災害以外の非常事態への対応)
第27条 市民、議会及び市長等は、大地震等自然災害以外の重大な事故、事件、感染症の拡大その他の非常事態に対しても適切な対応が行えるように日頃から事前の準備に取り組みます。
第9章 条例の実効性の確保及び見直し
(条例の実効性の確保)
第28条 市長は、この条例の実効性を確保するため、毎年、市民へ啓発及び職員研修等を実施します。
2 市長は、この条例に基づく市長等の取組の進行を管理するとともに、その結果を取りまとめ、市民に公表します。
(推進委員会)
第29条 この条例の運用状況を点検するとともに、この条例の趣旨に関し普及啓発を図るため、焼津市自治基本条例推進委員会(以下「推進委員会」といいます。)を設置します。
2 推進委員会の組織及び運営について必要な事項は、市長が規則で定めます。
(条例の見直し)
第30条 市長は、この条例の施行の日から4年を超えない期間ごとに、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて見直しを行う等の必要な措置を講じます。
2 市は、この条例の見直しに当たっては、広く市民の意見を聴かなければなりません。
附 則
この条例は、平成26年10月1日から施行します。
附 則(令和4年12月19日条例第22号抄)
(施行期日)
第1条 この条例は、令和5年4月1日から施行する。