○豊川市公契約条例
平成30年9月27日条例第22号
豊川市公契約条例
(目的)
第1条 この条例は、公契約に係る基本方針を定め、市及び事業者の責務を明らかにすることにより、公契約の適正な履行及び労働者の適正な労働環境の確保を図り、もって地域経済の健全な発展及び市民の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 公契約 市が締結する売買、賃借、請負その他の契約をいう。
(2) 受注者 市と公契約を締結する者をいう。
(3) 下請負者 下請、再委託その他いかなる名称であるかを問わず、受注者その他の市以外の者から公契約に係る業務の一部を請け負い、又は受託する者をいう。
(4) 事業者 次に掲げる者をいう。
ア 受注者
イ 下請負者
ウ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)の規定により受注者又は下請負者へ労働者を派遣する者
(5) 労働者 次に掲げる者をいう。
ア 事業者に雇用され、公契約に係る業務に従事する労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)
イ 自らが提供する役務の対価を得るため、受注者又は下請負者との請負の契約により公契約に係る業務に従事する者
(基本方針)
第3条 市は、公契約に係る施策の実施に当たって、次に掲げる事項を基本方針とする。
(1) 公契約の過程及び内容の透明性を確保すること。
(2) 不正行為の排除を徹底し、公平かつ公正な競争を促進すること。
(3) 公契約の品質及び適正な履行を確保すること。
(4) 労働者の適正な労働環境の確保のための措置を講ずること。
(5) 地域経済の健全な発展の推進を図ること。
(市の責務)
第4条 市は、この条例の目的を達成するため、前条に規定する基本方針にのっとり、公契約に係る施策を総合的に実施するものとする。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、公契約に携わる者としての社会的な責任を自覚し、法令を遵守するとともに、公契約を誠実かつ適正に履行しなければならない。
2 事業者は、公契約に係る業務の品質を確保するとともに、労働者の適正な労働環境を確保するよう努めなければならない。
3 事業者は、市が実施する公契約に係る施策に協力するよう努めなければならない。
(労働報酬下限額)
第6条 公契約のうち規則で定めるもの(以下「特定公契約」という。)に係る事業者は、当該特定公契約に係る労働者に対し、市長が定める額(以下「労働報酬下限額」という。)以上の賃金その他の労働報酬(以下「賃金等」という。)を支払わなければならない。
2 市長は、労働報酬下限額を定めようとするときは、第14条に規定する豊川市公契約審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、労働報酬下限額を定めたときは、これを告示するものとする。
(労働環境の確認)
第7条 市長は、特定公契約に係る労働者の適正な労働環境が確保されていることを確認するため、当該特定公契約に係る受注者に対し、必要な報告を求めるものとする。
(労働者への周知)
第8条 受注者は、次に掲げる事項について、特定公契約に係る業務が行われる作業所等の見やすい場所に掲示し、又は書面で交付することにより、労働者に周知しなければならない。
(1) 労働者の範囲
(2) 労働報酬下限額
(3) 次条の規定による申出をする場合の申出先
(4) 次条の規定による申出をしたことを理由に、解雇、請負契約の解除その他不利益な取扱いを受けないこと。
(労働者の申出)
第9条 特定公契約に係る労働者は、賃金等が支払われるべき日において、支払われるべき賃金等が支払われていないとき、又は支払われた賃金等の額が労働報酬下限額を下回るときは、市長又は事業者にその事実を申し出ることができる。
(不利益な取扱いの禁止)
第10条 事業者は、労働者から前条の規定による申出があったときは、誠実に対応するとともに、当該労働者が当該申出をしたことを理由に、解雇、請負契約の解除その他不利益な取扱いをしてはならない。
(立入調査等)
第11条 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、事業者に対し、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又は職員に当該事業者の事業所等に立ち入り、必要な調査をさせることができる。
(1) 労働者から第9条の規定による申出を受け、その申出の事実を確認するため必要があると認めるとき。
(2) 前号に掲げる場合のほか、特定公契約に係る労働者の労働環境を確認するため必要があると認めるとき。
2 前項の規定により立入調査をする場合において、市長は、必要があると認めるときは、労働者その他の関係者に協力を求めることができる。
3 第1項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者から請求があったときは、これを提示しなければならない。
4 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(是正措置)
第12条 市長は、前条第1項の規定による報告若しくは資料の提出又は立入調査の結果、事業者がこの条例の規定に違反していると認めるときは、事業者に対し、是正措置を講ずるよう求めるものとする。
2 前項の規定により是正措置を講ずるよう求められた事業者は、速やかに是正措置を講ずるとともに、講じた措置の内容及びその結果を市長に報告しなければならない。
(公表等)
第13条 市長は、事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その旨の公表をし、又は指名停止措置若しくは関係機関への通報を行うことができる。
(1) 第7条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
(2) 第11条第1項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料の提出をし、又は立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
(3) 前条第2項の規定による是正措置を講ぜず、又は報告をせず、若しくは虚偽の報告をしたとき。
(審議会の設置)
第14条 市長の諮問に応じ、労働報酬下限額その他公契約に係る重要事項について調査審議するため、豊川市公契約審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会の組織)
第15条 審議会は、委員6人以内をもって組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験者
(2) 事業者の代表者
(3) 労働者の代表者
(委員の任期)
第16条 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員に欠員が生じた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(審議会の会長及び副会長)
第17条 審議会に会長及び副会長各1人を置く。
2 会長は委員の互選により定め、副会長は委員のうちから会長が指名する。
3 会長は、会務を総理し、審議会を代表するとともに、審議会の会議(以下「会議」という。)の議長となる。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第18条 会議は、会長が招集する。
2 会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。
3 会議の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(意見の聴取等)
第19条 審議会は、必要があると認めるときは、委員以外の者を会議に出席させ、その意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
(審議会の運営)
第20条 第14条から前条までに定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。
(指定管理者との協定)
第21条 豊川市公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例(平成17年豊川市条例第14号)第7条第1項の規定に基づき市長又は教育委員会が締結する公の施設の管理に関する協定で、規則で定めるものについては、特定公契約とみなして、この条例の規定を適用する。この場合において、第7条、第11条第1項及び第2項、第12条並びに第13条中「市長」とあるのは「市長又は教育委員会」と、第9条中「市長」とあるのは「市長若しくは教育委員会」と読み替えるものとする。
(委任)
第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附 則
1 この条例は、平成31年2月1日から施行する。ただし、第6条第2項及び第14条から第20条までの規定は、公布の日から施行する。
2 この条例は、平成31年2月1日以後に公告その他の申込みの誘引を行い、かつ、平成31年4月1日以後に業務を開始する公契約について適用する。