○鳥羽市議会基本条例
平成22年12月28日条例第30号
鳥羽市議会基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条―第4条)
第3章 市民と議会の関係(第5条)
第4章 議会及び議員と市長等との関係(第6条―第9条)
第5章 討論の拡大(第10条)
第6章 委員会の活動(第11条)
第7章 議会及び議会事務局の体制整備(第12条―第16条)
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第17条―第19条)
第9章 最高規範性と見直し手続き(第20条―第22条)
附則
鳥羽市議会(以下「議会」という。)は、鳥羽市民(以下「市民」という。)から選挙で選ばれた鳥羽市議会議員(以下「議員」という。)により構成され、同じく市民から選挙で選ばれた鳥羽市長(以下「市長」という。)とともに二元代表制の理念に基づき、鳥羽市の代表機関を構成する。
この2つの代表機関は、二元代表制の趣旨を踏まえ、互いに健全な緊張関係を保持しつつ、競い合い、協力し合いながら鳥羽市として最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。
議会は、市民の代表として、市長等執行機関(以下「市長等」という。)を監視するとともに、合議機関として政策提案等を通じ、市民の多様な意見を市政に反映し、自治体事務の立案、決定、執行及び評価における論点及び争点を市民に明らかにして、開かれた議会、責任ある議会へと自らを改革していかなければならない。
このような使命を達成するために、我々は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)が定める概括的な規定を遵守するとともに、積極的な情報の公開、監視、調査、政策立案及び立法への機能強化、多様な市民意見の把握と市民参加の推進、議員間の自由かっ達な討議の展開、市長等との持続的緊張の保持、議員の自己研さんと資質の向上、公正性と透明性の確保、議会活動を支える活動の整備等について、ここにより良い鳥羽市の姿を市民とともに考え、創造できる議会づくりへ、より一層努めるとともに鳥羽市の発展に寄与していくことを決意し、議会の最高規範として、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の理念に基づき、市政の情報公開と市民参加を原則とした、自主自立の地方分権時代にふさわしい、市民に身近な議会及び議員活動の活性化と充実のために、必要な議会運営の基本事項を定めることにより、市民が安全、安心に生活できる豊かなまちづくりの実現、市民福祉の向上及び地域社会の発展に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、市民を代表する議事機関であることを常に自覚して、公正性、透明性及び信頼性を確保し、市長等の市政運営状況を監視するものとする。
2 議会は、責任ある議会として、市民の多様な意見を把握して市政に反映させるために、必要な政策を自ら立案し、又は市長等に提案することにより、市民とともに鳥羽市の豊かなまちづくりの実現に向けて取り組むものとする。
3 議会は、市民に開かれた議会を目指して、情報公開により一層取り組むとともに市民に対して議会の議決又は運営について、その経緯、理由等を説明する責任を果たすものとする。
5 議会は、市民の傍聴の意欲を高めるような議会運営に努めるものとする。
6 議会は、他市議会等との交流を積極的に努めるものとする。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互の自由な討議を尊重するものとする。
2 議員は、議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとらわれず、市民全体の福利の向上を目指して活動しなければならない。
3 議員は、市政全般についての課題及び市民の意見、要望等を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんに努め、市民の代表としてふさわしい活動をするものとする。
4 議員は、議会活動を最優先しなければならない。
(災害及び感染症まん延時等の議会対応)
第4条 議会は、災害及び感染症まん延時等においても、議会機能を的確に維持しなければならない。
2 災害及び感染症まん延時等における議会の対応に関しては、別に定める。
第3章 市民と議会の関係
(市民参加及び市民との連携)
第5条 議会は、議会の活動に関する情報公開を徹底するとともに、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、全ての会議を原則公開するものとする。
3 議会は、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)における参考人制度及び公聴会制度を積極的に活用して、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。
5 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を積極的に設けるものとする。
6 議会は、市政の諸課題に柔軟に対処するため、市政全般にわたって、市民及び議員が情報及び意見を交換する議会報告会又は意見交換会を行うものとする。
第4章 議会及び議員と市長等の関係
(緊張感の保持)
第6条 議案審議において、議員と市長等の長及びその職員は、二元代表制の意義を共に意識し、緊張感の保持に努めなければならない。
2 議会の一般質問においては、広く市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。
3 市長等の長及びその職員は、議員の質問等に対して、議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
(市長による政策の形成過程の説明)
第7条 議会は、市長が提案する政策について、より一層、深まりのある議論ができるように、市長に対して、次に掲げる事項の説明に努めるよう求めるものとする。
(1) 重要な政策の発生源
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 市民参加の実施の有無及びその内容
(5) 総合計画との整合性
(6) 財源措置
(7) 将来にわたる費用対効果
2 議会は、前項の政策の提案を審議するに当たっては、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
(予算及び決算における政策説明資料の作成)
第8条 議会は、市長が予算案及び決算を議会に提出し、議会の審査に付すに当たっては、前条の規定に準じて市長に対し施策別又は事業別の政策説明資料の作成に努めるよう求める。
(法第96条第2項の議決事件)
第9条 法第96条第2項の規定に基づく議会の議決事件は、次の各号に掲げるとおりとし、市政全般にわたり重要な計画などについて、議会と市長等がともに市民に対する責任を担いながら、計画的かつ市民の視点に立った透明性の高い市政の運営に資するものとする。
(1) 鳥羽市基本構想並びに鳥羽市基本計画
(2) 前号に掲げるもののほか、市政の各分野における、政策及び施策の基本的な方向を定める計画、指針その他これらに類するものに関する重要な計画等(行政内部の管理にかかる計画、特定の地域を対象とする計画及び計画期間が5年未満の計画を除く。)又は議長が必要と認めるもの
(3) 市が他団体と結ぶ提携又は協定のうち、予算を伴うもの
第5章 討論の拡大
(討論による合意形成)
第10条 議会が議員による討論の場であることを認識し、議長は、議員相互の討論を中心とした運営に努めるものとする。
2 議会は、本会議及び委員会において議員提出、委員会提出及び市長提出の議案並びに市民提案に関して審議し結論を出す場合、議員相互において十分な討論、議論を尽くして合意形成に努めるとともに、その結果について市民に対して説明責任を果たさなければならない。
3 議員は、前2項による議員相互の討論を拡大するため、政策、条例、意見書等の議案を積極的に提出するよう努めるものとする。
第6章 委員会の活動
(委員会の適切な運営)
第11条 議会は、社会経済情勢等により新たに生じる行政課題等に迅速かつ的確に対応するため、委員会の専門性と特性をいかし適切な運営に努めなければならない。
2 委員会は、積極的に調査、研究等に努めるものとする。
3 委員会は、市民からの要請に応じ、審査の経過を説明するとともに、市民及び議員が自由に情報及び意見を交換する場等を積極的に設けるよう努めるものとする。
第7章 議会及び議会事務局の体制整備
(適正な予算の確保)
第12条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を充実するとともに円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとする。
(議員研修の充実強化)
第13条 議会は、議員の資質並びに政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。
(議会事務局の体制整備)
第14条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るよう努めるものとする。
2 議長は、法第138条第5項の規定に基づく任免権を行使する場合において、議会事務局の職員人事に関し、あらかじめ市長と協議するものとする。
3 議長は、議会事務局の体制整備の強化を目的として、大学等研究機関並びに専門的な知識及び経験を有する者の積極的な活用を図ることができる。
(議会図書室の設置及び公開)
第15条 議会に、議会図書室(以下「図書室」という。)を設置する。
2 図書室は、議員のみならず、誰もがこれを利用できるものとする。
3 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、図書の充実に努めるものとする。
(議会広報の充実)
第16条 議会は、市政に係る重要な情報を議会独自の視点から、常に市民に対して公表するとともに、市民からの意見、要望等を取り上げ、その内容及び対応について定期的に市民に周知するよう努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第17条 議員の政治倫理は、別に条例で定める。
2 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚するとともに、別に定める条例を規範とし、遵守しなければならない。
(議員定数)
第18条 議員定数は、別に条例で定める。
2 議員定数の見直しに当たっては、行財政改革の視点及び他市との比較だけでなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、市民の意見を聴取するため、参考人制度、公聴会制度等を積極的に活用するものとする。
(議員報酬)
第19条 議員報酬は、別に条例で定める。
2 議員報酬の見直しに当たって、議員が提案する場合は、行財政改革の視点及び他市との比較だけではなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、市民の意見を聴取するため、参考人制度、公聴会制度等を積極的に活用するものとする。
第9章 最高規範性と見直し手続
(最高規範性)
第20条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会に関係する条例、議会規則、議会告示等(以下「議会関係条例等」という。)を制定してはならない。
2 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例に関する研修を行わなければならない。
(議会及び議員の責務)
第21条 議会及び議員は、この条例の理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される議会関係条例等を遵守して議会を運営し、もって市民を代表する合議制の機関として、市民に対する責任を果たさなければならない。
(見直し手続)
第22条 議会は、必要に応じて、この条例の目的が達成されているかどうかを検証するものとする。
2 議会は、前項の検証の結果、議会関係条例等の改正が必要と認められる場合は、適切な措置を講じるものとする。
附 則
この条例は、平成23年4月1日から施行する。
附 則(平成25年3月28日条例第12号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(令和2年1月22日条例第2号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(令和4年3月28日条例第9号)
この条例は、令和4年4月1日から施行する。