○多摩市公契約条例
平成23年12月22日条例第19号
多摩市公契約条例
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 労働者等の賃金等(第6条・第7条)
第3章 公契約等の規定事項(第8条)
第4章 多摩市公契約審議会(第9条―第12条)
第5章 雑則(第13条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、多摩市(以下「市」という。)が締結する請負契約に基づく業務及び市が指定管理者に行わせる公の施設の管理業務において、当該業務に従事する者の適正な労働条件等を確保し、もって労働者等の生活の安定を図り、公共工事及び公共サービスの質の向上に資するとともに、地域経済及び地域社会の活性化に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(2) 受注者 市と公契約等を締結する者をいう。
(3) 下請負者 下請、再委託その他いかなる名義によるかを問わず、受注者その他の市以外の者から公契約等に係る業務の一部について請け負う者をいう。
(4) 受注関係者 次に掲げる者をいう。
ア 下請負者
イ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)の規定により受注者又は下請負者へ労働者を派遣する者
(5) 労働者等 次に掲げる者(第5条第2号及び第3号に規定する公契約等に係る業務にあっては、満60歳以上の者を除く。)をいう。
ア 受注者又は下請負者(同居の親族のみを使用する者を除く。)に雇用され、公契約等に係る業務に従事する労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者(家事使用人を除く。)
イ 労働者派遣法の規定により公契約等に係る業務に派遣される者
ウ 自らが提供する労務の対価を得るため、受注者又は下請負者との請負の契約により公契約等に係る業務に従事する者
(6) 賃金等 公契約等に係る労務の対価で、次に掲げるものをいう。
ア 前号ア又はイに該当する者がその雇用する者から得る賃金
イ 前号ウに該当する者が当該請負契約により得る収入
(市の責務)
第3条 市は、この条例の目的を達成するため、公契約等に関する施策を総合的に策定し、実施する責務を有する。
(受注者の責務)
第4条 受注者は、公契約等を締結した責任を自覚して、誠実に職務を遂行する責務を有し、その業務に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に努めなければならない。
2 受注者は、男女平等・男女共同参画を推進することにより、労働者の仕事と生活の調和の実現に努めなければならない。
(適用範囲)
第5条 この条例は、次に掲げる公契約等に適用する。
(1) 予定価格が5千万円以上の工事又は製造の請負契約
(2) 予定価格が1千万円以上の工事及び製造以外の請負契約のうち、多摩市長(以下「市長」という。)が別に定めるもの
(3) 指定管理協定のうち、市長又は多摩市教育委員会(以下「教育委員会」という。)が必要であると認めたもの
(4) 前3号に定めるもののほか、適正な賃金等の水準を確保するため、市長が特に必要であると認めるもの
第2章 労働者等の賃金等
(労働者等の賃金等)
第6条 市長、多摩市下水道事業管理者(以下「管理者」という。)又は教育委員会(以下これらを「市長等」という。)は、公契約等において、受注者及び受注関係者が、労働者等(最低賃金法(昭和34年法律第137号)第7条に規定する者を除く。)に対し、市長が定める額(以下「労務報酬下限額」という。)以上の賃金等を支払わなければならないことを定めるものとする。
2 労務報酬下限額には、工事又は製造以外の請負契約における最低賃金法第4条第3項各号に掲げる賃金は算入しない。
3 賃金等が時間以外の期間又は出来高払制その他の請負制によって定められている者の労務報酬下限額は、最低賃金法施行規則(昭和34年労働省令第16号)第2条の規定を準用する。
(労務報酬下限額)
第7条 市長は、労務報酬下限額を定めるときは、次の各号に掲げる労働者等に応じ、当該各号に定める額その他の事情を勘案するものとする。
(1) 工事又は製造の請負契約に係る業務に従事する労働者等のうち、市長が多摩市公契約審議会の意見を聴いた上で定める割合の人数の者 農林水産省及び国土交通省が公共工事の積算に用いるため、毎年度決定する公共工事設計労務単価(基準額)
(2) 前号以外の労働者等 業務の種類及び内容に応じて、当該業務の標準的な賃金と認められる額
2 市長は、労務報酬下限額を定めようとするときは、多摩市公契約審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、労務報酬下限額を定めたときは、これを告示する。
第3章 公契約等の規定事項
第8条 請負契約にあっては市長又は管理者及び受注者が相互に対等平等な関係にあることを、指定管理協定にあっては市長又は教育委員会及び受注者が共同して公の施設の管理の責任を負うことを前提として、両者が協力、共同して第1条の目的を実現し、第3条及び第4条に規定するそれぞれの責務を果たすため、第6条第1項に規定するもののほか、公契約等において別表に規定する事項を定めるものとする。
第4章 多摩市公契約審議会
(多摩市公契約審議会の設置)
第9条 第7条第1項第1号及び第2項に定めるもののほか、この条例に係る重要事項について、市長の諮問に応じ、調査審議するため、多摩市公契約審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長が別に定める期日までの間、この条例の施行状況について検証を行い、その結果に基づき必要があるときは、市長に提言することができる。
(構成)
第10条 審議会は、委員5人以内をもって構成する。
2 委員は、事業者、労働者及び学識経験を有する者のうちから市長が委嘱する。
3 委員のほか、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。
4 臨時委員は、学識経験を有する者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。
(任期)
第11条 委員の任期は、委嘱の日から2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における後任の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 臨時委員の任期は、委嘱の日から市長が必要と認める期間とする。
(組織・運営)
第12条 前2条に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第5章 雑則
(委任)
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則又は地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条に規定する管理規程で定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行し、第3条から第8条までの規定は、平成24年4月1日以後に締結する公契約等について適用する。
附 則(平成25年条例第8号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成28年条例第47号)
この条例は、平成29年4月1日から施行する。
附 則(平成30年条例第43号)
この条例は、公布の日から施行する。ただし、別表第1項第6号の改正規定は、平成32年4月1日から施行する。
別表(第8条関係)

1 公契約等に係る労働条件

受注者は、第2条第5号ア又はイに該当する労働者の労働条件に関して、次に掲げる法令等を遵守しなければならないこと。

(1) 労働基準法

(2) 労働組合法(昭和24年法律第174号)

(3) 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)

(4) 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)

(5) 労働契約法(平成19年法律第128号)

(6) 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号)第2条第3項に規定する短時間・有期雇用労働者にあっては、同法第5条第1項に規定する短時間・有期雇用労働者対策基本方針

2 公契約等に係る請負条件

受注者は、第2条第5号ウに該当する者と請負契約を締結するに当たっては、前項各号に掲げる関係法令の趣旨を尊重した契約条件としなければならないこと。

3 継続雇用

受注者は、継続性のある業務に関する公契約等を締結する場合は、当該業務に従事する労働者の雇用の安定並びに当該業務の質の維持及び継続性の確保に配慮し、当該公契約等の締結前から当該業務に従事していた労働者のうち希望する者を、特段の事情がない限り雇用するように努めること。

4 受注者の連帯責任

受注関係者が労働者等に対して支払った賃金等の額が労務報酬下限額を下回ったときは、その差額分の賃金等について、受注者は当該受注関係者と連帯して支払う義務を負うこと。

5 台帳の整備等

受注者は、労働者等の氏名、従事する職種、従事した時間、賃金等を支払われるべき日その他規則等で定める事項を記載した台帳を作成し、作業所等に備え、その記載事項について、市長等が指定する期日までに市長等に報告しなければならないこと。

6 労働者等への周知

受注者は、次に掲げる事項を、作業所等の労働者等が見やすい場所に掲示し、又は書面を交付すること。

(1) この条例が適用される労働者等の範囲

(2) 労務報酬下限額

(3) 賃金の支払いについて受注者に連帯責任があること。

(4) 労働基準法に規定する所定労働時間及び休日

(5) 次項の申し出をする場合の連絡先

(6) 次項の申し出をしたことを理由として、解雇、請負契約の解除その他不利益な取り扱いを受けないこと。

7 労働者等の申し出

労働者等(労働者等であった者を含む。第9項及び第10項において同じ。)は、受注者又は受注関係者が当該労働者等に対して負う義務を履行していないと認められるときは、市長等又は受注者若しくは受注関係者に申し出ることができること。

8 不利益取扱いの禁止

受注者及び受注関係者は、前項の申し出をしたことを理由として、その労働者等に対し、解雇、請負契約の解除その他の不利益な取り扱いをしてはならないこと。

9 受注者に対する報告及び立入検査

市長等は、次の各号のいずれかに該当する場合は、受注者に対して必要な報告を求め、又はその職員に、当該事業所に立ち入り、労働者等の労働条件若しくは契約条件がわかる書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができること。

(1) 労働者等から第7項の申し出があった場合

(2) この条例に定める事項の遵守状況を確認するために必要があると認める場合

10 受注関係者に対する報告及び立入検査

受注者は、受注者と受注関係者との間の契約において、市長等が前項各号のいずれかに該当すると認めた場合は、受注関係者に対して必要な報告を求め、又は市職員をして当該事業所に立ち入り、労働者等の労働条件等若しくは契約条件がわかる書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができること。

11 身分証明書の携帯及び提示

前2項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示すること。

12 是正命令

市長等は、第9項又は第10項の報告又は立入検査の結果、受注者又は受注関係者がこの条例の規定に違反していると認めるときは、当該受注者に対し、速やかに当該違反を是正するために必要な措置を講ずることを命じること。

13 是正報告

受注者は、前項の規定により違反を是正するために必要な措置を講ずることを命じられた場合には、速やかに是正の措置を講じ、市長等が定める期日までに、市長等に報告しなければならないこと。

14 公契約等の解除

市長等は、受注者又は受注関係者が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該公契約等を解除する(当該公契約等が指定管理協定であるときは、当該指定管理協定に関する公の施設の管理の指定を取消し、又は期間を定めて当該業務の全部若しくは一部の停止を命ずる。)ことができること。

(1) 第9項若しくは第10項の報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第9項若しくは第10項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

(2) 第12項の命令に従わないとき。

(3) 前項の報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

15 解除の効果

前項の規定により公契約等を解除又は指定管理協定に関して指定を取消し若しくは業務の停止を命令(以下「解除等」という。)した場合において、受注者及び受注関係者に損害が生じても、市長等は、その損害を賠償する責任を負わないこと。

16 公表

市長等は、公契約等の解除等をしたとき、又は公契約等の終了後に受注者若しくは受注関係者がこの条例の規定に違反したことが判明したときは、別に定めるところにより公表すること。

17 損害賠償

受注者は、公契約等の解除等によって市に損害が生じたときは、市長等がやむを得ない理由があると認めるときを除き、その損害を賠償しなければならないこと。

18 違約金

市長等は、受注者がこの条例の規定に違反したときは、違約金を徴収することができること。