○多治見市子どもの権利に関する条例
平成15年9月25日条例第27号
多治見市子どもの権利に関する条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 子どもの権利の普及(第5条・第6条)
第3章 子どもの生活の場での権利の保障(第7条―第9条)
第4章 子どもの意見表明や参加(第10条―第12条)
第5章 子どもの権利侵害からの救済と回復(第13条―第18条)
第6章 子どもに関する施策の推進と検証(第19条―第22条)
第7章 雑則(第23条)
附則
すべての子どもは、誰かに命を奪われることや自ら命を失うことがあってはなりません。また、どのような状況でも、すべての人が子どもの命を守るよう努めなければなりません。
私たちは、次のようなまちづくりをめざして、児童の権利に関する条約(平成6年条約第2号。以下「子どもの権利条約」といいます。)の精神をふまえ、多治見市が子どもの権利を尊重するまちであることを明らかにし、多治見市子どもの権利に関する条例を制定します。
(子ども一人ひとりの違いを大切にし個性として尊重するまち)
子どもは、それぞれ一人の人間であり、かけがえのない存在です。子どももおとなも命を大切に生きている仲間です。子どもは、一人の人間としてその権利が尊重されます。子どもは、その権利が保障されるなかで、すこやかに成長していくことができます。
(子どもが安心して自分らしく生きることができるまち)
子どもは、それぞれに苦しいこと、心配なことなどがあります。子どもは、安心して助けてと言うことができ、守ってもらえます。
子どもは、それぞれに思いがあります。たとえ小さい子どもでも意志や考えを持っています。子どもは、その思いや意見を自由に言うことができ、それらを尊重してもらえます。
子どもは、それぞれに可能性や成長のしかたがあります。子どもは、ゆっくり自分をつくっていくことや子ども同士が育ち合うことができます。
(お互いを尊重し、共に支え合うまち)
子どもは、自分を大切にし始めるとき、他の人を大切にする気持ちを持つことができるようになります。子どもは、自分の権利について学び、気づき、身につけていくなかで、他の人の権利を大切にし、お互いに権利を尊重し合える力をつけていくことができます。
子どもは、子ども同士や子どもとおとなとの良い関係をつくっていけるように支援されます。
(子どもが多治見の今と未来をつくっていくことのできるまち)
子どもは、多治見を共につくっていく仲間としてまちづくりに参加ができます。子どもが幸せなまちはおとなも幸せなまちです。子どもは、社会の一員として重んじられ、それぞれの役割を果たしていけるように支援されます。
(平和と環境を大切にし、世界とつながっていくまち)
子どもは、平和と豊かな環境のなかですこやかに成長していくことができます。子どもは、日本と世界の子どもたちのことについて考え、自分たちのできることをしていけるように支援されます。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、子どもの権利条約に基づいて、子どもの権利の普及、子どもの権利を守り、成長を支援するしくみなどについて定めることにより、子どもの最善の利益を第一に考えながら命などの子どもの権利の保障を図ることを目的とします。
一部改正〔令和2年条例5号〕
(定義)
第2条 この条例において「子ども」とは、18歳未満の人をいいます。ただし、これらの人と同等に子どもの権利を持つことがふさわしいと認められる人も含みます。
2 この条例において「子ども施設」とは、児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する児童福祉施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校その他の子どもが育ち、学ぶために入り、通い、利用する施設をいいます。
(責務)
第3条 市は、子どもの権利を尊重し、あらゆる施策を通じてその権利の保障に努めます。
2 親など保護者は、その養育する子どもの権利の保障に努める第一義的な責任者であることを認識し、その養育する子どもの権利の保障に努めます。
3 子ども施設の設置者、管理者、職員(以下「子ども施設関係者」といいます。)は、子ども施設において子どもの権利の保障に努めます。
4 市民は、子どもにかかわる場や機会において、子どもの権利の保障に努めます。
5 市、親など保護者、子ども施設関係者、市民は、お互いに連携して命などの子どもの権利の保障に努めます。
6 市は、国、他の地方公共団体などと協力し、市の内外において子どもの権利が保障されるよう努めます。
一部改正〔令和2年条例5号〕
(成長への支援)
第4条 市、親など保護者、子ども施設関係者、市民は、子どもが一人の人間として自分らしくすこやかに成長していくことができるよう支援します。
第2章 子どもの権利の普及
(子どもの権利の普及)
第5条 市は、子どもの権利について、さまざまな方法を通じて普及に努めます。
2 市は、家庭、子ども施設、地域において、子どもの権利について教育や学習が行われるよう支援します。
3 市は、子どもの権利について、子ども自身による学習を支援します。
(子どもの権利の日)
第6条 子どもの権利についての関心や理解を深め、取組みを進めるために、たじみ子どもの権利の日を設けます。
2 たじみ子どもの権利の日は、11月20日とします。
3 市は、たじみ子どもの権利の日の趣旨にふさわしい事業を市民参加のもとで行います。
第3章 子どもの生活の場での権利の保障
(家庭における権利の保障)
第7条 親など保護者は、子どものすこやかな成長や権利の保障にとって家庭が果たす役割を認識し、その養育する子どもの権利を保障します。
2 市は、親など保護者が、安心して子育てができ、その責任を果たせるよう支援します。
3 親など保護者などの子どもと同居するおとなは、虐待、体罰などの子どもの権利を侵害することをしてはいけません。
4 市は、虐待や体罰を受けた子どもの速やかな発見、適切な救済や回復、虐待や体罰の予防のために関係機関や関係者と連携を図ります。
一部改正〔令和2年条例5号〕
(子ども施設における権利の保障)
第8条 子ども施設関係者は、子どもの権利が保障されるなかで、子どもが主体的に育ち、学ぶことができるよう支援します。
2 子ども施設の設置者や管理者は、その職員に対して子どもの権利を保障できるよう支援します。
3 子ども施設関係者は、虐待、体罰などの子どもの権利を侵害することをしてはいけません。
4 子ども施設関係者は、いじめなどをなくすよう努めます。
5 子ども施設関係者は、虐待、体罰、いじめなどについての相談、救済、防止などのために関係機関や関係者と連携を図ります。
6 子ども施設関係者は、関係者や関係機関と連携を図りながら、不登校などについて適切な対応をします。
7 子ども施設関係者は、育ちや学びに関する情報の開示に努めるとともに、説明責任を果たします。
(地域における権利の保障)
第9条 市民は、地域において、子どもの権利が保障され、子どもがすこやかに成長していくことができるよう努めます。
2 市は、子どもの成長にかかわる市民の活動を支援し、連携を図ります。
3 市民は、地域において、子どもが安心して休み、遊び、学び、人間関係を作り合うことなどができるような居場所を確保・充実し、これらの活動を支援するよう努めます。
第4章 子どもの意見表明や参加
(意見表明や参加の促進)
第10条 市、親など保護者、子ども施設関係者、市民は、子どもが家庭、子ども施設、地域において、意見を表明し、参加できるよう支援します。
(子ども会議)
第11条 市は、子どもがまちづくり、市政などに意見を表明し、参加できるようにするために、たじみ子ども会議を開催します。
2 たじみ子ども会議は、会議としての意見などをまとめ、市に提出することができます。
3 市は、たじみ子ども会議が提出した意見などを尊重します。
(子ども施設での意見表明や参加)
第12条 子ども施設関係者は、子どもの意見表明や参加を進めるために、子どもの自主的で主体的な活動を奨励し、支援します。
2 学校の設置者や管理者は、子どもの意見表明や参加を進めるために、子ども、親など保護者、職員その他の関係者が参加し意見を述べ合う場や機会の提供をします。
第5章 子どもの権利侵害からの救済と回復
(子どもの権利擁護委員)
第13条 子どもの権利侵害に対して、その子どもの速やかで適切な救済を図り、回復を支援するために、多治見市子どもの権利擁護委員(以下「擁護委員」といいます。)を設けます。
2 擁護委員は、3人以内とします。
3 擁護委員は、子どもの権利の擁護に理解や豊かな経験がある人のうちから、市長が議会の同意を得て選任します。
4 擁護委員の任期は、3年とします。ただし、再任を禁止するものではありません。
5 市長は、擁護委員が心身の故障のため職務を行うことができないと認める場合、職務上の義務違反その他擁護委員としてふさわしくない行いがあると認める場合は、議会の同意を得て、やめさせることができます。
6 擁護委員は、市長の同意を得て、辞職することができます。
一部改正〔令和2年条例5号〕
(擁護委員の職務)
第14条 擁護委員は、次のことをします。
(1) 子どもの権利侵害について相談に応じ、その子どもの救済や回復のために、助言や支援をすること。
(2) 子どもの権利侵害にかかわる救済の申立てを受けて、また、必要があるときには自らの判断で、その子どもの救済や回復にむけて調査、調整、勧告、是正要請をすること。
(3) 前号の勧告、是正要請を受けてとられた措置の報告を求めること。
2 擁護委員は、必要に応じ、前項第2号の勧告、是正要請、同項第3号の措置の報告を公表することができます。
3 擁護委員は、職務上知ることができた秘密をもらしてはいけません。その職を退いた後も同様とします。
(勧告などの尊重)
第15条 前条第1項第2号の勧告、是正要請を受けた者は、これを尊重し、必要な措置をとるよう努めます。
(救済や回復のための連携)
第16条 擁護委員は、子どもの権利侵害について、その子どもの救済や回復のために関係機関や関係者と連携を図ります。
(擁護委員に対する支援や協力)
第17条 市は、擁護委員の独立性を尊重し、その活動を支援します。
2 親など保護者、子ども施設関係者、市民は、擁護委員の活動に対して協力します。
(報告)
第18条 擁護委員は、毎年その活動状況などを市長や議会に報告するとともに、広く市民にも公表します。
第6章 子どもに関する施策の推進と検証
(施策の推進)
第19条 市は、子どもの権利に関する推進計画を作り、子どもに関する施策を総合的に行います。
2 市は、前項の推進計画を作るときには、市民や次条に定める多治見市子どもの権利委員会の意見を聴きます。
(子どもの権利委員会)
第20条 この条例に基づく施策の実施の状況を検証し、子どもの権利を保障するために、多治見市子どもの権利委員会(以下「権利委員会」といいます。)を設けます。
2 権利委員会は、10人以内の委員で組織します。
3 委員は、人権、福祉、教育などの子どもの権利にかかわる分野において学識経験のある人や市民のうちから市長が委嘱します。
4 委員の任期は3年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とします。ただし、再任を禁止するものではありません。
(権利委員会の職務)
第21条 権利委員会は、市長の諮問を受けて、また、必要があるときは自らの判断で、子どもの権利の状況、子どもに関する施策における子どもの権利保障の状況などについて調査や審議をします。
2 権利委員会は、前項の審議に当たっては、市民から意見を求めることができます。
(提言やその尊重)
第22条 権利委員会は、調査や審議の結果を市に報告し、提言します。
2 市は、権利委員会からの提言を尊重し、必要な措置をとります。
第7章 雑則
(委任)
第23条 この条例の施行に必要なことがらは、市長その他の執行機関が定めます。
附 則
1 この条例は、規則で定める日から施行します。(平成15年規則第86号により、平成16年1月1日から施行。ただし、第13条第3項中議会の同意を得ることに関する部分は、平成15年12月19日から施行)
別表中
を
に、
を
に改めます。
附 則(令和2年3月24日条例第5号)
この条例は、令和2年4月1日から施行します。