○関市森林づくり条例
平成20年6月30日関市条例第26号
関市森林づくり条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 基本的施策(第9条―第16条)
第3章 基本構想及び森林づくり計画(第17条―第19条)
第4章 推進組織(第20条・第21条)
第5章 雑則(第22条・第23条)
附則
関市は、市域の8割を超える約380平方キロメートルの森林を有する。ここにある自然豊かな天然林や桧などの人工林は、森林としての多面的な機能を有し、土砂流出や山地崩壊の防止、水源かん養など私たちの生活に様々な恵みを与えている。
しかしながら、近年の社会的変化の影響により健全な森林を形成することが困難になってきている。このままでは、自然景観や森林が果たしている機能が低下し、市民生活への影響も懸念されるところである。
とりわけ地球規模の環境問題においては、温暖化の防止や循環型社会への転換などを進める上で森林に対する期待は大きく膨らみ、すべての市民にとって自然との共生が求められる現在、災害に強く、人々に潤いや安らぎを与えてくれる森林との繋がりを、絶やすことなく次世代に引き継いでいくことが重要である。
ここに私たちは、森林が多面的機能を持続できるよう、生態系に配慮し、長期的展望に立って、森林所有者や林業関係者のみならず、市民一人ひとりが理解し、協力して森林づくりに真剣に取り組むことを目指し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、森林の持つ多面的機能を持続できるような森林づくりを行うための基本理念を定め、市及び森林組合の責務並びに市民、森林所有者及び事業者の役割を明らかにし、森林の保全と創造に関する施策その他の取組を総合的かつ計画的に推進することにより、健全で豊かな資源と人にやさしい環境を育む森林づくりを目指し、次世代へ継承することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 森林 市内に存する森林法(昭和26年法律第249号。以下「法」という。)に規定する森林をいう。
(2) 多面的機能 土砂流出又は山地崩壊の防止、洪水軽減、水源かん養、自然環境の保全、地球温暖化の防止、保健休養、木材等林産物の生産又は供給その他森林の有する多面にわたる機能をいう。
(3) 公益的機能 多面的機能のうち、木材等林産物の生産及び供給を除いた機能をいう。
(4) 森林づくり 多面的機能を発揮させるため、森林を適切に整備し守り育てるとともに活用することをいう。
(5) 人工林 植栽、種まき又はさし木により成立した森林(伐採跡地を含む。)をいう。
(6) 天然林 人工林以外の森林をいう。
(7) 森林組合 森林組合法(昭和53年法律第36号)に規定する組合をいう。
(8) 森林所有者 権原に基づき森林の土地を所有する者又は森林の土地にある木竹を所有する者若しくは育成することができる者(国及び県を除く。)をいう。
(9) 市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する個人及び市内において事業若しくは活動を行う個人又は法人その他の団体(次号に掲げるものを除く。)をいう。
(10) 事業者 森林の施業、木材その他の林産物の生産加工又は流通の事業を行う者(森林組合を除く。)をいう。
(基本理念)
第3条 森林づくりは、この条例の目的を達成するため、森林の有する自然の恵みを享受するすべての人々が連携して、次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき行われるものとする。
(1) 森林の有する公益的機能が市民生活の安全かつ安心の基盤であることから、自然の仕組みを重視し、生物の多様性に配慮し、及び立地条件の特性に応じて的確に森林整備を行うこと。
(2) 林業及び木材産業の振興が人工林の健全な育成に寄与することから、木材資源の循環利用が可能な森林づくりを推進すること。
(3) 森林づくりが山間地域の活性化及び再生に役立つことから、山里の文化及び歴史の継承を通じて、地域づくりと一体となって森林づくりを推進すること。
(4) 継続的な森林づくりを行うためには、多様な人材が必要なことから、市民、森林所有者、森林組合及び事業者が協同して森林づくりの担い手の確保を推進すること。
(市の責務)
第4条 市は、この条例の目的を達成するため、森林づくりに関し総合的かつ計画的な施策の推進に努めなければならない。
2 市は、国、県その他の公共団体及び公共的団体等に対し、必要に応じて理解、協力又は支援を求め、森林づくりの円滑な推進に努めなければならない。
3 市は、森林づくりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。
(森林組合の責務)
第5条 森林組合は、中核的な担い手として専門的立場から森林整備を主体的に行うとともに、木材その他の林産物の生産、供給等を通じて健全で豊かな森林づくりに取り組まなければならない。
(森林所有者の役割)
第6条 森林所有者は、森林づくりの重要性を再認識し、後継者の確保、森林の境界及び木竹の状況を把握し、当該森林の適切な整備に努めなければならない。
2 森林所有者は、市が行う森林づくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。
(市民の役割)
第7条 市民は、森林の有する公益的機能を認識し、森林づくりに関する取組に協力し、又は参加するよう努めるものとする。
2 市民は、市内及び県内の森林から生産される木材(以下「県産材」という。)その他の林産物の利用に努めるものとする。
(事業者の役割)
第8条 事業者は、森林の有する公益的機能が発揮される森林づくり及び木材その他の林産物の循環利用が可能な森林づくりに努めなければならない。
2 事業者は、市が行う森林づくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。
第2章 基本的施策
(森林整備の基本方針)
第9条 市は、森林の有する多面的機能を持続的に発揮させるため、次に掲げる方針に基づき、森林整備に関する施策を実施するものとする。
(1) 天然林は、植生遷移(地域の植生が時間とともに自然に移り変わっていく現象をいう。)を基本として維持し、立地条件に応じて必要な保全整備を行う。
(2) 人工林は、立地条件等による林業の採算性及び森林の持つ公益的機能を考慮した森林づくりを行うため、間伐を中心とした整備を計画的に推進する。
(森林の把握)
第10条 市は、森林の有する公益的機能の維持及び回復を図るため、関係行政機関、森林所有者、森林組合及び事業者(以下「関係機関等」という。)と連携し、森林の現状を調査し、その状態を把握するよう努めるとともに森林の被害等に関する対策その他必要な措置を講ずるものとする。
(県産材の利用の拡大)
第11条 市は、県産材の利用の拡大を図るため、県産材の住宅等への活用の推進、県産材の加工及び流通に係る体制の整備その他必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、前項の体制を整備するため、利用可能な木材資源の把握、林業生産基盤の整備その他必要な措置を講ずるものとする。
(地域づくりの支援)
第12条 市は、魅力ある地域づくりを推進するため、森林づくりに伴う就業機会の確保、定住に対する支援、地域間交流の促進その他必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、各地域に伝承されてきた森林に関わる歴史や文化を継承するための取組を必要に応じて支援するものとする。
(協同による森林づくり)
第13条 市は、市民との協同による森林づくりを推進するため、市民が森林で活動する機会及び情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。
(森林づくりの担い手の育成)
第14条 市は、森林づくりの担い手を育成するため、市民及び関係機関等と連携して必要な措置を講ずるものとする。
(森林に関する教育の推進)
第15条 市は、市民が森林づくりについて理解及び関心を深めることができるよう、森林に関する教育を推進するものとする。
(森林づくりの普及啓発)
第16条 市は、市民に対して、森林づくりに関する普及啓発を行うものとする。
2 前項に規定する普及啓発を推進するため、2月7日をせき森林の日と、2月をせき森林づくり月間と定める。
第3章 基本構想及び森林づくり計画
(基本構想)
第17条 市長は、森林づくりに関する施策その他の取組を総合的かつ計画的に推進するため、関市・人にやさしい森林づくり構想(以下「基本構想」という。)を策定するものとする。
2 基本構想には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 森林の立地条件等の特性に応じた区分及びそれに応じた目標とする森林像
(2) 目標とする森林像を実現するための指針
(3) 木材資源の循環利用のための指針
(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
3 市長は、必要があると認めたときは、基本構想を見直すことができる。
4 市長は、基本構想の策定及び見直しに当たっては、あらかじめ第20条に規定するせき森林づくり委員会の意見を聴かなければならない。
5 市長は、基本構想の策定及び見直しをしたときは、これを公表しなければならない。
(森林づくり計画)
第18条 市長は、法第10条の5第1項に規定する森林整備計画のほかに、基本構想を実現するため、おおむね10年間の計画(以下「関市森林づくり計画」という。)を策定し、具体的な必要施策を定めるものとする。
2 市長は、おおむね5年ごとに関市森林づくり計画を見直すものとする。
3 前条第4項及び第5項の規定は、関市森林づくり計画の策定及び見直しについて準用する。
(経過報告書)
第19条 市長は、森林の状況及び関市森林づくり計画に基づき実施された施策の状況等について、前条第2項の見直しを行う際に経過報告書を作成し、これを公表するものとする。
第4章 推進組織
(せき森林づくり委員会)
第20条 基本理念に基づく森林づくりを継続して推進するため、せき森林づくり委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、次に掲げる事項について協議、調査、提言及び評価を行う。
(1) 基本構想及び関市森林づくり計画に関すること。
(2) 次条に規定する地域組織の育成及び運営に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が必要と認めること。
3 委員会は、委員20人以内をもって組織し、委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 森林所有者
(3) 森林組合の代表者
(4) 事業者の代表者
(5) 公募による市民
(6) 前各号に掲げるもののほか、市長が適当と認める者
4 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
5 前項の規定にかかわらず、委員が欠けた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 前各項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(地域組織)
第21条 森林所有者及び市民は、集落等の単位において、その地域の森林づくりに係る組織(以下「地域組織」という。)を設置することができる。
2 森林所有者及び市民は、地域組織を設置したときは、規則で定めるところにより、その旨を市長に届け出るものとする。
3 市は、地域組織の活動に必要な支援をするものとする。
第5章 雑則
(立入調査)
第22条 市長は、第10条の調査を行うため特に必要があると認めるときは、職員を森林に立ち入らせて、調査させることができる。
2 前項の規定による立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の要求があるときは、これを提示しなければならない。
(委任)
第23条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、市長が定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。