埼玉県ヤードにおける自動車等の適正な取扱いの確保に関する条例

令和二年三月三十一日
条例第二十九号

改正

令和 二年 四月二四日条例第三一号

  


埼玉県ヤードにおける自動車等の適正な取扱いの確保に関する条例をここに公布する。
埼玉県ヤードにおける自動車等の適正な取扱いの確保に関する条例
(目的)
第一条 この条例は、ヤードにおける盗難自動車等の保管及び解体の状況に鑑み、県内のヤードにおける自動車等の適正な取扱いを確保するために必要な規制を行うことにより、自動車等の盗難の防止を図り、もって県民の平穏な生活の確保に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 ヤード 自動車等の保管又は解体(自動車等から部品その他の物品を分離する行為又は自動車等の車体を切断する行為をいう。第四号及び第五条において同じ。)の用に供する施設(その敷地を含む。)のうち、塀、垣、柵、コンテナその他これらに類する囲いであって、みだりに人が立ち入るのを防止することができるものが当該施設の周囲に設けられたものをいう。
 自動車等 自動車、原動機付自転車、自転車及び自動車部品であって、公安委員会規則で定めるものをいう。
 盗難自動車等 自動車等であって、盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得されたものをいう。
 ヤード内自動車等関連事業 ヤードにおいて行う自動車等の保管又は解体(公安委員会規則で定める規模未満のヤードにおいて行う自動車等の保管又は解体(業として行わないものに限る。)を除く。)であって、輸出、譲渡又は引渡しを目的とするものをいう。
 ヤード内自動車等関連事業者 ヤード内自動車等関連事業を行う者をいう。
(ヤード内自動車等関連事業に係る届出)
第三条 ヤード内自動車等関連事業を行おうとする者(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)は、あらかじめ、公安委員会規則で定めるところにより、ヤードごとに次に掲げる事項を公安委員会に届け出なければならない。
 氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人にあっては、その代表者(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものにあっては、その代表者又は管理人)の氏名
 ヤードの所在地
 ヤードの規模及び設備の概要
 その他公安委員会規則で定める事項
 前項の規定による届出をした者(次項及び第十条において「届出者」という。)は、その届出に係る事項に変更があったときは、その日から三十日以内に、公安委員会規則で定めるところにより、その旨を公安委員会に届け出なければならない。
 届出者は、そのヤード内自動車等関連事業を休止し、若しくは廃止し、又は休止したヤード内自動車等関連事業を再開したときは、その日から三十日以内に、公安委員会規則で定めるところにより、その旨を公安委員会に届け出なければならない。
(相手方の確認)
第四条 ヤード内自動車等関連事業者は、ヤード内自動車等関連事業に係る自動車等を受け取ろうとする場合には、公安委員会規則で定める方法により、当該自動車等を引き渡そうとする者(以下この条及び第六条第一項第四号において「相手方」という。)について、次の各号に掲げる相手方の区分に応じ、当該各号に定める事項の確認をしなければならない。
 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。第六条第一項第四号及び第十八条第一項において同じ。) 名称及び本店又は主たる事務所の所在地並びにヤード内自動車等関連事業者との間で現に自動車等の引渡しの任に当たっている個人の氏名、住所その他の公安委員会規則で定める事項
 個人 氏名、住所その他の公安委員会規則で定める事項
(盗難自動車等の申告)
第五条 ヤード内自動車等関連事業者は、ヤード内自動車等関連事業に係る自動車等を受け取り、保管し、又は解体しようとする場合において、当該自動車等について盗難自動車等の疑いがあると認めるときは、直ちにその旨を警察官に申告しなければならない。
(記録の作成等)
第六条 ヤード内自動車等関連事業者は、ヤード内自動車等関連事業に係る自動車等を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、公安委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項に関する記録(次項及び第十四条第二号において「取引記録」という。)を作成しなければならない。
 取引の年月日
 自動車等の品目及び数量
 自動車等の特徴
 相手方が法人である場合にあっては第四条第一号に定める事項、個人である場合にあっては同条第二号に定める事項
 第四条の規定により行った確認の方法
 その他公安委員会規則で定める事項
 ヤード内自動車等関連事業者は、取引記録をその作成の日から三年間、公安委員会規則で定めるところにより保存しておかなければならない。
(従事者名簿の備付け)
第七条 ヤード内自動車等関連事業者は、公安委員会規則で定めるところにより、ヤードごとに当該ヤードにおける業務に従事する者の名簿を備え、これに当該ヤードにおける業務に従事する者の氏名、住所その他の公安委員会規則で定める事項を記載しなければならない。
(土地等の譲渡等をしようとする者の責務)
第八条 県内に所在する土地又は建物(以下この条において「土地等」という。)の所有者は、当該土地等においてヤード内自動車等関連事業を行おうとする者(既に当該土地等においてヤード内自動車等関連事業を行っている者を含む。以下この項及び第三項において同じ。)に対し、当該土地等の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。以下この条において「譲渡等」という。)をしようとするときは、当該土地等の譲渡等に係る契約を締結する前に、当該契約の相手方に対し、当該土地等を盗難自動車等のヤード内自動車等関連事業の用に供するものでないことを確認するよう努めなければならない。ヤードを設置した者が、ヤード内自動車等関連事業を行おうとする者に対し当該ヤードの譲渡等をしようとするときも、同様とする。
 何人も、自己が譲渡等をしようとしている土地等が盗難自動車等のヤード内自動車等関連事業の用に供されることとなることを知って、当該土地等の譲渡等をしてはならない。
 ヤード内自動車等関連事業を行おうとする者に対し、土地等の譲渡等をしようとする者は、当該土地等が盗難自動車等のヤード内自動車等関連事業の用に供されることが判明し、又は供されたときに、当該譲渡等に係る契約の解除、当該土地等の買戻しその他の必要な措置を講ずるため、当該契約において、次に掲げる事項を定めるよう努めるものとする。
 当該土地等を盗難自動車等のヤード内自動車等関連事業の用に供してはならない旨
 当該土地等が盗難自動車等のヤード内自動車等関連事業の用に供されることが判明し、又は供されたときは、催告をすることを要しない契約の解除、買戻しその他の必要な措置を講ずることができる旨
(ヤードの視認性の確保)
第九条 ヤードを設置しようとする者及びヤードを使用しようとする者は、県民の平穏な生活を確保するため、公安委員会規則で定めるところにより、当該ヤードの内部を外部から見通すことができる構造とするよう努めなければならない。
(標識の掲示)
第十条 届出者は、公安委員会規則で定めるところにより、その届出に係るヤードごとに、公衆の見やすい場所に、氏名又は名称その他の公安委員会規則で定める事項を記載した標識を掲示しなければならない。
(立入検査等)
第十一条 公安委員会は、この条例の施行に必要な限度において、警察職員に、ヤード内自動車等関連事業を行っていると認められる者の事務所、ヤードその他の施設に立ち入り、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
 前項の規定により立入検査をする警察職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(適用除外)
第十二条 この条例の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第七十八条第四項に規定する自動車特定整備事業者が特定整備(同法第四十九条第二項に規定する特定整備をいう。)としてヤード内自動車等関連事業を行うとき。
 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律(昭和五十五年法律第八十七号)第六条第一項に規定する撤去した自転車等を保管するとき。
 次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める者については、適用しない。
 第三条 使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成十四年法律第八十七号)第二条第十七項に規定する関連事業者
 第五条 古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第十五条第三項の規定により警察官に申告しなければならない場合における古物商(同法第二条第三項に規定する古物商をいう。次項において同じ。)
 次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める者が当該各号に定める報告をした事項、とった措置又は記載をし、若しくは記録をした事項については、適用しない。
 第四条 使用済自動車の再資源化等に関する法律第九条第一項の規定により使用済自動車(同法第二条第二項に規定する使用済自動車をいう。以下この項において同じ。)を引き取らなければならない場合における引取業者(同法第二条第十一項に規定する引取業者をいう。次号において同じ。)、同法第十一条の規定により使用済自動車を引き取らなければならない場合におけるフロン類回収業者(同法第二条第十二項に規定するフロン類回収業者をいう。次号において同じ。)、同法第十五条の規定により使用済自動車を引き取らなければならない場合若しくは同法第十六条第六項の規定により使用済自動車を引き渡される場合における解体業者(同法第二条第十三項に規定する解体業者をいう。次号において同じ。)若しくは同法第十七条の規定により解体自動車(同法第二条第三項に規定する解体自動車をいう。次号において同じ。)を引き取らなければならない場合における破砕業者(同法第二条第十四項に規定する破砕業者をいう。次号において同じ。)が同法第八十一条第一項、第三項、第七項若しくは第十項の規定により情報管理センター(同法第百十四条に規定する情報管理センターをいう。次号において同じ。)に報告した事項又は古物営業法第十五条第一項の規定により相手方の真偽を確認するために古物商がとった措置
 第六条 使用済自動車の再資源化等に関する法律第九条第一項の規定により使用済自動車を引き取らなければならない場合若しくは同法第十条の規定により使用済自動車を引き渡さなければならない場合における引取業者、同法第十一条の規定により使用済自動車を引き取らなければならない場合若しくは同法第十四条の規定により使用済自動車を引き渡さなければならない場合におけるフロン類回収業者、同法第十五条の規定により使用済自動車を引き取らなければならない場合若しくは同法第十六条第四項若しくは第六項の規定により解体自動車若しくは使用済自動車を引き渡さなければならない場合若しくは同条第七項において準用する同条第四項若しくは第六項の規定により解体自動車を引き渡さなければならない場合における解体業者若しくは同条第四項若しくは第六項(同条第七項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定により解体業者から解体自動車若しくは使用済自動車を引き渡される場合における他の解体業者若しくは同法第十七条若しくは第十八条第三項の規定により解体自動車を引き取らなければならない場合若しくは同条第二項若しくは第七項の規定により解体自動車を引き渡さなければならない場合における破砕業者若しくは同条第二項若しくは第七項の規定により破砕業者から解体自動車を引き渡される場合における他の破砕業者が同法第八十一条第一項から第三項まで、第六項、第七項若しくは第九項から第十一項までの規定により情報管理センターに報告した事項又は古物営業法第十六条の規定により帳簿等に記載をし、若しくは電磁的方法により記録をしておかなければならない場合における古物商が記載をし、若しくは記録をした事項
一部改正〔令和二年条例三一号〕
(委任)
第十三条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、公安委員会規則で定める。
(罰則)
第十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
 第三条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしてヤード内自動車等関連事業を行った者
 第六条第一項の規定による取引記録を作成せず、若しくは虚偽の取引記録を作成し、又は同条第二項の規定による保存をしなかった者
第十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
 第三条第二項若しくは第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 第十一条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
第十六条 第七条に規定する名簿を備えず、又はこれに必要な記載をせず、若しくは虚偽の記載をした者は、二十万円以下の罰金に処する。
第十七条 第十条の規定に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。
第十八条 法人の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前四条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
附 則
(施行期日)
 この条例は、令和二年七月一日から施行する。
(経過措置)
 ヤード内自動車等関連事業を行おうとする者は、この条例の施行の日前においても、第三条第一項の規定の例により、公安委員会に対し、届出を行うことができる。
 この条例の施行の際現にヤード内自動車等関連事業者である者については、第三条第一項に規定するヤード内自動車等関連事業を行おうとする者とみなして、同項の規定を適用する。この場合において、同項中「あらかじめ」とあるのは、「令和二年九月三十日までに」とする。
 この条例の施行の際現にヤード内自動車等関連事業者である者については、第七条及び第十条の規定は、令和二年九月三十日までの間は、適用しない。
附 則(令和二年四月二十四日条例第三十一号)
この条例は、公布の日から施行する。