第一条 この条例は、受動喫煙の防止に関し、県、県民、保護者及び事業者の責務を明らかにするとともに、県民が受動喫煙を避けることができる環境を整備することにより、望まない受動喫煙を生じさせることのない社会を実現することを目的とする。
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
二 既存特定飲食提供施設 健康増進法の一部を改正する法律(平成三十年法律第七十八号。第五号において「改正法」という。)附則第二条第二項に規定する既存特定飲食提供施設をいう。
三 管理権原者 法第二十六条に規定する管理権原者をいう。
四 管理権原者等 法第三十条第一項に規定する管理権原者等をいう。
五 喫煙可能室 改正法附則第二条第一項の規定により読み替えられた法第三十三条第三項第一号に規定する喫煙可能室をいう。
第三条 県は、受動喫煙の防止に関する総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。
第四条 県民は、他人に受動喫煙を生じさせることがないよう努めなければならない。
2 県民は、県が実施する受動喫煙の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。
第五条 保護者は、いかなる場所においても、その監護に係る未成年者の受動喫煙を防止するよう努めなければならない。
第六条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、受動喫煙を防止するための環境の整備に取り組むとともに、県が実施する受動喫煙の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。
第七条 既存特定飲食提供施設の管理権原者は、当該既存特定飲食提供施設に喫煙可能室を設置してはならない。
2 既存特定飲食提供施設の管理権原者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、前項の規定にかかわらず、当該既存特定飲食提供施設に喫煙可能室を設置することができる。
二 従業員を雇用しているときは、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める承諾を得た場合
イ 喫煙可能室を新たに設置する場合 全ての従業員の喫煙可能室を設置した既存特定飲食提供施設で勤務することについての書面による承諾
ロ 喫煙可能室の設置後に従業員を新たに雇用する場合 当該従業員の喫煙可能室を設置した既存特定飲食提供施設で勤務することについての書面による承諾
ハ 第九条第二項の報告を行う場合 全ての従業員の喫煙可能室を設置した既存特定飲食提供施設で勤務することについての書面による承諾
3 前項の規定により喫煙可能室を設置した後に同項第二号の承諾が撤回された場合であっても、管理権原者は次に第九条第二項の報告を行うまでの間は引き続き喫煙可能室を設置することができる。
4 前項の場合において、管理権原者が引き続き喫煙可能室を設置しようとするときは、当該従業員の望まない受動喫煙を防止するため、当該既存特定飲食提供施設の実情に応じ適切な措置をとるよう努めなければならない。
第八条 既存特定飲食提供施設の管理権原者等は、従業員が前条第二項第二号の承諾をしないことを理由として、当該従業員に対して不利益な取扱いをしてはならない。
第九条 第七条第二項の規定により喫煙可能室を設置した既存特定飲食提供施設の管理権原者は、規則で定めるところにより、速やかに同項に該当する旨を知事に届け出るものとする。
2 前項の規定による届出をした既存特定飲食提供施設の管理権原者は、規則で定めるところにより、従業員に係る状況を知事に報告するものとする。
第十条 第七条第二項の規定により喫煙可能室を設置した既存特定飲食提供施設の管理権原者は、規則で定めるところにより、同項に該当することを証明する書類を備え、これを保存しなければならない。
(既存特定飲食提供施設の管理権原者等に対する指導及び助言)
第十一条 知事は、既存特定飲食提供施設の管理権原者等に対し、当該既存特定飲食提供施設における望まない受動喫煙を防止するために必要な指導及び助言をすることができる。
(既存特定飲食提供施設の管理権原者に対する勧告、命令等)
第十二条 知事は、既存特定飲食提供施設の管理権原者が第七条第二項の規定に違反して喫煙可能室を設置していると認めるときは、当該管理権原者に対し、期限を定めて、当該喫煙可能室を廃止することを勧告することができる。
2 知事は、前項の規定による勧告を受けた既存特定飲食提供施設の管理権原者が、同項の期限内にこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。
3 知事は、第一項の規定による勧告を受けた既存特定飲食提供施設の管理権原者が、その勧告に係る措置をとらなかったときは、当該管理権原者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
第十三条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、既存特定飲食提供施設の管理権原者等に対し、当該既存特定飲食提供施設の状況その他必要な事項に関し報告をさせ、又はその職員に、当該既存特定飲食提供施設に立ち入り、当該既存特定飲食提供施設の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第十四条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
第十五条 第十二条第三項の規定による命令に違反した者は、五万円以下の過料に処する。
第十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、二万円以下の過料に処する。
一 第十条の規定による書類を備え付けず、又は保存しなかった者
二 第十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
2 第七条の規定は、この条例の施行の際現に喫煙可能室を設置している既存特定飲食提供施設についても、適用する。この場合において同条第二項第二号イ中「喫煙可能室を新たに設置する場合」とあるのは「この条例の施行日以後引き続き喫煙可能室を設置する場合」とする。
3 県は、社会状況の変化等を踏まえ、必要に応じこの条例について見直しを行うものとする。