埼玉県犯罪被害者等支援条例

平成三十年三月三十日
条例第十号

埼玉県犯罪被害者等支援条例をここに公布する。
埼玉県犯罪被害者等支援条例
目次
第一章 総則(第一条―第九条)
第二章 犯罪被害者等支援に関する基本的な施策(第十条―第十九条)
第三章 犯罪被害者等支援の推進体制の整備等(第二十条―第二十三条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、犯罪被害者等支援に関し、基本理念を定め、並びに県、県民、事業者及び民間支援団体の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等支援に関する施策の基本となる事項を定め、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、犯罪被害者等が受けた被害の早期の回復又は軽減を図り、もって犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができる社会を実現することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
 犯罪被害者等 犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいう。
 二次的被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、風評、ぼう中傷、報道機関(報道を業として行う個人を含む。)による過度な取材等により、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、身体の不調、プライバシーの侵害等の被害をいう。
 犯罪被害者等支援 犯罪被害者等がその受けた被害を回復し、又は軽減し、再び平穏な生活を営むことができるように支援する取組をいう。
 民間支援団体 犯罪被害者等支援を行うことを主たる目的とする民間の団体をいう。
(基本理念)
第三条 全て犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。
 犯罪被害者等支援は、被害の状況及び原因、二次的被害の状況等の犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に推進されなければならない。
 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、途切れることなく受けることができるように推進されなければならない。
(県の責務)
第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
 県は、前項の施策を実施するに当たっては、市町村その他の関係機関及び民間支援団体その他の関係する者(以下「関係機関等」という。)と相互に連携を図るものとする。
(市町村への協力)
第五条 県は、市町村が犯罪被害者等支援に関する施策を策定し、及び実施するために必要な情報の提供、助言その他の協力を行うものとする。
(県民の責務)
第六条 県民は、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、二次的被害が生ずることのないよう十分配慮するとともに、県及び市町村が行う犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第七条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、その事業活動を行うに当たっては、二次的被害が生ずることのないよう十分配慮するとともに、犯罪被害者等支援に努めるものとする。
(民間支援団体の責務)
第八条 民間支援団体は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等支援に関する専門的な知識及び経験を活用し、犯罪被害者等支援を推進するとともに、県及び市町村が行う犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(犯罪被害者等支援に関する指針)
第九条 県は、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、犯罪被害者等支援に関する指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。
 指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 犯罪被害者等支援に関する基本方針
 犯罪被害者等支援に関する具体的施策
 前二号に掲げるもののほか、犯罪被害者等支援に関する施策を推進するために必要な事項
 県は、指針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
第二章 犯罪被害者等支援に関する基本的な施策
(相談及び情報の提供等)
第十条 県は、犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、犯罪被害者等支援に精通している者の紹介その他の必要な施策を講ずるものとする。
(心身に受けた影響からの回復)
第十一条 県は、犯罪被害者等が心理的外傷その他の犯罪等により心身に受けた影響から回復することができるようにするため、その心身の状況等に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう必要な施策を講ずるものとする。
(日常生活の支援)
第十二条 県は、犯罪被害者等が早期かつ円滑に平穏な日常生活を営むことができるよう必要な施策を講ずるものとする。
(安全の確保)
第十三条 県は、犯罪被害者等が更なる犯罪等により被害を受けることを防止し、その安全を確保するため、一時保護、施設への入所による保護、防犯に係る指導、犯罪被害者等に係る個人情報の適切な取扱いの確保その他の必要な施策を講ずるものとする。
(居住の安定)
第十四条 県は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図り、又は犯罪被害者等が更なる犯罪等により被害を受けることを防止するため、犯罪被害者等の一時的な利用に供する住居の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
(雇用の安定)
第十五条 県は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るため、犯罪被害者等が置かれている状況について事業者の理解を深める等必要な施策を講ずるものとする。
(経済的な助成に関する情報の提供等)
第十六条 県は、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るため、経済的な助成に関する情報の提供及び助言その他の必要な施策を講ずるものとする。
(広報及び啓発)
第十七条 県は、広報活動及び啓発活動を通じて、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等について県民及び事業者が理解を深め、社会全体として犯罪被害者等支援が推進されるよう必要な施策を講ずるものとする。
(人材の育成)
第十八条 県は、犯罪被害者等支援の充実を図るため、相談、助言、日常生活の支援等の犯罪被害者等支援を担う人材を育成するための研修の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
(民間支援団体等による支援の推進)
第十九条 県は、民間支援団体その他の関係する者が適切かつ効果的に犯罪被害者等支援を推進することができるよう、情報の提供、助言その他の必要な施策を講ずるものとする。
第三章 犯罪被害者等支援の推進体制の整備等
(犯罪被害者等支援の推進体制の整備)
第二十条 県は、関係機関等と連携して、犯罪被害者等が必要な支援を途切れることなく受けることができるよう、犯罪被害者等支援を推進するために必要な体制の整備を行うものとする。
 前項の体制の整備に当たっては、県と民間支援団体が一体となって犯罪被害者等支援を総合的に行う体制の充実並びに関係機関等相互間の犯罪被害者等支援に係る情報の共有及び協議の促進その他の関係機関等相互間の連携の強化を図るものとする。
(市町村の総合的対応窓口の体制の充実)
第二十一条 県は、市町村が設置する犯罪被害者等支援を総合的に行う窓口の体制の充実を図るため、市町村に対する情報の提供、助言、研修の実施その他の必要な援助を行うものとする。
(財政上の措置)
第二十二条 県は、犯罪被害者等支援に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(議会への報告)
第二十三条 県は、犯罪被害者等支援に関して講じた施策の実施状況について、適宜、議会に報告するものとする。
附 則
(施行期日)
 この条例は、公布の日から施行する。
(見直し)
 県は、社会状況の変化等を踏まえ、必要に応じこの条例について見直しを行うものとする。
(埼玉県防犯のまちづくり推進条例の一部改正)
 埼玉県防犯のまちづくり推進条例(平成十六年埼玉県条例第三十六号)の一部を次のように改正する。
第二十条の見出し中「犯罪被害者」を「犯罪被害者等」に改め、同条中「犯罪により被害を被った者」を「犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族」に、「犯罪被害者」を「犯罪被害者等」に、「民間団体」を「民間支援団体」に、「講ずるよう努める」を「講ずる」に改める。