埼玉県歯科口腔保健の推進に関する条例

平成二十三年十月十八日
条例第五十二号

埼玉県歯科口腔保健の推進に関する条例をここに公布する。
埼玉県歯科口腔保健の推進に関する条例
(目的)
第一条 この条例は、口腔の健康づくりが県民の健康の維持及び増進等に果たす役割の重要性に鑑み、歯科口腔保健の推進に関する法律(平成二十三年法律第九十五号。第六条第二項において「法」という。)に基づき、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持(以下「歯科口腔保健」という。)の推進に関し、基本理念を定め、及び県の責務等を明らかにするとともに、歯科口腔保健の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって県民の生涯にわたる健康で質の高い生活の確保に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第二条 歯科口腔保健の推進に関する施策は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。
 県民が、生涯にわたって日常生活において歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、歯科疾患を早期に発見し、早期に治療を受けることを促進すること。
 乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期における口腔とその機能の状態及び歯科疾患の特性に応じて、適切かつ効果的に口腔の健康を確保することを推進すること。
 保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育その他の関連分野における施策との連携を図りつつ、その関係者の協力を得て、総合的かつ計画的に歯科口腔保健を推進すること。
(県の責務)
第三条 県は、前条の基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、歯科口腔保健の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
 県は、歯科口腔保健の推進に当たっては、市町村並びに歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士その他の歯科医療又は保健指導に係る業務に従事する者(以下「歯科医療等業務従事者」という。)並びに保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育その他の関連分野に関する業務に従事する者及びこれらの業務を行う機関(以下「保健等業務従事者等」という。)との連携及び協力に努めるものとする。
 県は、市町村、事業者(他人を使用して事業を行う者をいう。次条において同じ。)、医療保険者その他のものが行う歯科口腔保健に関する取組の効果的な推進を図るため、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。
(歯科医療等業務従事者等の責務)
第四条 歯科医療等業務従事者は、歯科口腔保健(歯の機能の回復によるものを含む。)に資するよう、適切にその業務を行うとともに、県が歯科口腔保健の推進に関して講ずる施策に協力するよう努めるものとする。
 保健等業務従事者等は、県が歯科口腔保健の推進に関して講ずる施策に協力するよう努めるものとする。
 事業者は、県内の事業所で雇用する従業員の歯科に係る検診(健康診査及び健康診断を含む。以下同じ。)、保健指導の機会の確保その他の歯科口腔保健に関する取組を推進するよう努めるものとする。
 医療保険者は、県内の被保険者の歯科に係る検診、保健指導の機会の確保その他の歯科口腔保健に関する取組を推進するよう努めるものとする。
 歯科医療等業務従事者、保健等業務従事者等、事業者及び医療保険者は、歯科口腔保健の推進に当たっては、互いに緊密な連携及び協力を図るよう努めるものとする。
(県民の責務)
第五条 県民は、歯科口腔保健に関する正しい知識を持ち、生涯にわたって日常生活において自ら歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、定期的に歯科に係る検診を受け、及び必要に応じて保健指導を受けることにより、歯科口腔保健に努めるものとする。
(基本的事項の策定等)
第六条 知事は、歯科口腔保健の推進に関する施策につき、それらの総合的かつ計画的な実施のための方針、目標、計画その他の基本的事項を定めるものとする。
 前項の基本的事項は、法第十二条の規定に基づき厚生労働大臣が定める基本的事項を勘案して、次に掲げる事項について定めるものとする。
 県民の歯科口腔保健の推進に関する目標
 県民が、歯科口腔保健に関する正しい知識を持つとともに、生涯にわたって日常生活において歯科疾患の予防に向けた取組を行うことを促進するため、歯科口腔保健に関する知識及び歯科疾患の予防に向けた取組に関する普及啓発、歯科口腔保健に関する県民の意欲を高めるための運動の促進その他の必要な施策
 県民が定期的に歯科に係る検診を受けること及び必要に応じて保健指導を受けること(以下この条において「定期的に歯科検診を受けること等」という。)を促進するため、定期的に歯科検診を受けること等の勧奨その他の必要な施策
 障害者、介護を必要とする高齢者その他の者であって定期的に歯科検診を受けること等又は歯科医療を受けることが困難な者が、定期的に歯科検診を受けること等又は歯科医療を受けることができるようにするために必要な施策
 県民の口腔の健康に関する実態の定期的な調査、口腔の状態が全身の健康に及ぼす影響に関する研究、歯科疾患に係るより効果的な予防及び医療に関する研究その他の口腔の健康に関する調査及び研究の推進並びにその成果の活用の促進のために必要な施策
 幼児、児童及び生徒のう蝕予防のためのフッ化物応用を含めた科学的根拠に基づく総合的な歯科口腔保健の推進並びにこれらの者のう蝕罹患状況の地域間格差及び個人間格差の是正を図るために必要な施策
 かかりつけの歯科医師等の機能を活用することにより、う蝕、歯周疾患、外傷その他の事由による歯の喪失を防止し、生涯にわたり口腔機能を保持するために必要な施策
 妊娠期から子育て期における母子の歯科口腔保健の推進及び児童虐待の早期発見等の促進に必要な施策
 歯科口腔保健の観点からの食育並びに糖尿病、脳卒中、がんその他の生活習慣病対策並びに喫煙による影響対策の推進に必要な施策
 歯科口腔保健に関する施策の推進を図るため、県民に対する歯科口腔保健に関する相談業務等の実施及び歯科医療等業務従事者等に対する情報の提供、研修の実施その他の支援を行う体制の整備
十一 前各号に掲げるもののほか、歯科口腔保健に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
 知事は、第一項の基本的事項を定めるに当たっては、あらかじめ、県民、市町村、歯科医療等業務従事者その他のものの意見を聴くために必要な措置を講ずるものとする。
 知事は、第一項の基本的事項を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 知事は、歯科口腔保健に関する施策の進捗状況及び社会状況の変化を踏まえ、第一項の基本的事項について毎年度評価し、必要に応じ見直すものとする。
 第三項及び第四項の規定は、第一項の基本的事項の変更について準用する。
(財政上の措置等)
第七条 県は、歯科口腔保健に関する施策を推進するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。