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改正 | 平成一八年 七月一一日条例第四九号 | 平成一九年一〇月 九日条例第五四号 |
| 平成二〇年 七月 八日条例第三九号 | 平成二七年 三月一七日条例第一〇号 |
| 平成三〇年 三月三〇日条例第一〇号 | 令和 四年一〇月一八日条例第四二号 |
注 令和四年一〇月一八日条例第四二号による改正は、令和五年四月一日から施行につき、現行条文と並列して登載した。 私たちのふるさと埼玉は、首都圏にあって、武蔵野の面影を残し、温暖な気候にも恵まれ、穏やかで、活力に満ちた彩り豊かな県である。
しかし、都市化や情報化の進展など社会環境の変化による価値観やライフスタイルの多様化、人間関係や地域の連帯感の希薄化、社会的な規範意識の低下などを背景に、子供、高齢者、女性等を狙った犯罪、インターネットを利用した犯罪、あるいは、街頭犯罪や侵入盗など、日常生活が営まれる場所で多くの犯罪が発生し、私たちの暮らしを脅かしている。
こうした犯罪は、人の目が行き届いていない、犯罪を行おうとする者が近づきやすい又は防犯意識が低い等の犯罪を行いやすい状況、すなわち、犯罪を誘発する「機会」を利用して行われる性格を有している。
このため、こうした犯罪の防止を図るためには、警察の活動とともに私たち一人一人が、自ら犯罪を防止する意識を持って、私たちが住む地域に目を注ぎ、地域のつながりを強めて、犯罪を誘発する機会を取り除き、「犯罪を起こさせにくい地域環境づくり」を推進することが必要である。
まず、隣近所同士で「おはよう」の挨拶を交わそう、そして、手を携えて「防犯のまちづくり」を推進しよう。
ここに、私たち県民は、共に力を合わせて、犯罪のない、安全に、安心して暮らせる埼玉を築くことを決意し、この条例を制定する。
第一条 この条例は、防犯のまちづくり(地域社会における犯罪を起こさせにくい環境の整備をいう。以下同じ。)に関し、県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、防犯のまちづくりに関する施策の基本となる事項を定め、もって県民が安心して暮らすことができる安全な社会の実現に寄与することを目的とする。
第二条 防犯のまちづくりは、地域社会において犯罪を誘発する機会を除去することにより、犯罪を起こさせにくい環境の整備を行い、犯罪のない安全で安心して暮らすことができる社会を実現することが、県民の豊かでゆとりある生活の基盤となることに鑑み、県と市町村、県民及び事業者との連携及び協力の下に、次に掲げる事項を基本として推進するものとする。
一 自分の安全は自分で守るという防犯意識の高揚を図ること。
第三条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、防犯のまちづくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。
2 県は、防犯のまちづくりの推進における市町村の役割の重要性にかんがみ、市町村が防犯のまちづくりに関する施策を実施する場合には、助言その他の必要な支援を行うものとする。
第四条 県民は、基本理念にのっとり、日常生活における自らの安全の確保に積極的に努めるとともに、相互の理解と協力の下に、地域における防犯のまちづくりに関する活動に自主的に取り組むよう努めるものとする。
2 県民は、県がこの条例に基づき実施する防犯のまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
第五条 事業者は、基本理念にのっとり、防犯のまちづくりについての理解を深め、事業者が所有し、又は管理する施設及び事業活動に関し、自らの安全の確保に積極的に努めるとともに、防犯のまちづくりのために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 事業者は、県がこの条例に基づき実施する防犯のまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
第六条 県民の防犯意識の向上と県民参加による取組により犯罪の減少を図るため、減らそう犯罪の日を設ける。
3 県は、減らそう犯罪の日の趣旨にふさわしい事業を実施するものとする。
第七条 県は、防犯のまちづくりを推進するための総合的な取組を実施するため、県、市町村、県民及び事業者が意見を交換し、及び相互に協力することができる推進体制を整備するものとする。
2 県は、防犯のまちづくりに関する情報収集に努めるとともに、市町村と協力して、自治会その他の地域における団体、事業者、県民等(以下これらを「県民等」という。)が行う防犯のまちづくりのための自主的な活動に対し、必要な情報提供、助言その他の支援を行うものとする。
第八条 県は、防犯のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。
2 推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 防犯のまちづくりに関する長期的な目標及び総合的な施策の大綱
二 その他防犯のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 県は、前項第一号の長期的な目標を策定するに当たっては、具体的な指標を定めるよう努めるものとする。
4 県は、推進計画を策定するに当たっては、あらかじめ県民及び事業者の意見を聴かなければならない。
5 県は、推進計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。
6 前二項の規定は、推進計画の変更について準用する。
7 県は、市町村が推進計画を策定する場合には、必要な情報提供、助言その他の支援を行うものとする。
第九条 県は、防犯のまちづくりについての県民等の関心及び理解を深めるため、市町村と連携して、啓発活動及び広報活動を行うものとする。
第十条 県は、市町村及び県民等と連携して、子供、高齢者、女性等犯罪被害を受けやすい者の安全を確保するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第十一条 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(大学を除く。)、同法第百二十四条に規定する専修学校の高等課程若しくは同法第百三十四条第一項に規定する各種学校で主として外国人の児童、生徒及び幼児(以下「児童等」という。)に対して学校教育に類する教育を行うもの又は
児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する児童福祉施設(以下これらを「学校等」という。)を設置し、又は管理する者は、次項に規定する児童等の安全の確保のための指針に基づき、当該学校等の施設内において、児童等の安全の確保をするよう努めるものとする。
2 知事、埼玉県教育委員会及び公安委員会は、共同して、学校等における児童等の安全の確保のための指針を定めるものとする。
一部改正〔平成一八年条例四九号・一九年五四号・二七年一〇号〕
第十二条 児童等が通学、通園等の用に供している道路及び児童等が日常的に利用している公園、広場等(以下「通学路等」という。)において、当該通学路等の施設の管理者、地域住民、児童等の保護者、学校等の管理者及び当該通学路等の所在する地域を管轄する警察署長は、連携して、児童等の安全を確保するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 知事、埼玉県教育委員会及び公安委員会は、共同して、前項の措置に関する指針を定めるものとする。
3 県民は、通学路等において、児童等が危害を受けていると認められる場合又は危害を受けるおそれがあると認められる場合には、警察官への通報、危害の発生を防止するための避難誘導等の保護の措置その他の適切な措置をとるよう努めるものとする。
第十三条 県は、学校等、家庭及び地域住民等と連携して、児童等が犯罪被害を受けないようにするための教育の充実に努めるとともに、児童等が犯罪を行うことのないよう、規範意識を養い、健全な社会生活を営むことができるようにするための教育の充実に努めるものとする。
第十四条 県は、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する道路、公園、自動車駐車場及び自転車駐車場の普及に努めるものとする。
2 知事及び公安委員会は、共同して、道路、公園、自動車駐車場及び自転車駐車場について、犯罪の防止に配慮した構造、設備等に関する防犯上の指針を定めるものとする。
3 自動車駐車場又は自転車駐車場(以下これらを「駐車場」という。)を設置し、又は管理する者は、前項に規定する防犯上の指針に基づき、当該駐車場を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第十五条 空地又は空家を所有し、又は管理する者は、当該空地又は空家について、柵を設置し、又は出入口を施錠する等、犯罪を防止するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第十六条 県は、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する住宅の普及に努めるものとする。
2 知事及び公安委員会は、共同して、住宅について、犯罪の防止に配慮した構造、設備等に関する防犯上の指針を定めるものとする。
3 住宅を設計し、又は建築しようとする事業者及び共同住宅を所有し、又は管理する者は、前項に規定する防犯上の指針に基づき、当該住宅を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
4 県は、県の区域において住宅を建築しようとする者、住宅を所有し、又は管理する者、住宅に居住する者等に対し、住宅の防犯性の向上のために必要な情報の提供、助言その他必要な措置を講ずるものとする。
第十七条 自動車、原動機付自転車又は自転車(以下「自動車等」という。)の製造又は販売を業とする者は、盗難の防止に配慮した構造及び設備を有する自動車等並びにひったくりによる被害その他の盗難を防止するための装置及び用具の普及に努めるものとする。
2 県は、前項の自動車等並びに装置及び用具の普及のため、自動車等の製造又は販売を業とする者に対する情報の提供、助言その他必要な措置を講ずるものとする。
第十八条 金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、株式会社日本政策金融公庫、株式会社商工組合中央金庫、労働金庫、農業協同組合、信用農業協同組合連合会及び
貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)第二条第二項に規定する貸金業者をいう。)は、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する店舗等の整備に努めるものとする。
2 深夜(午後十時から翌日の午前六時までの間をいう。)に物品の販売等を業として行う者(規則で定める者に限る。)は、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する店舗の整備に努めるものとする。
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注 令和四年一〇月一八日条例第四二号により、令和五年四月一日から施行 3 個室を設け、当該個室において客に図書等(
埼玉県青少年健全育成条例(昭和五十八年埼玉県条例第二十八号)第三条第三号に規定する図書等をいう。)の閲覧を行わせる営業を行う者又はインターネットの利用を行わせる営業を行う者は、防犯に係る責任者の設置、従業員に対する防犯に係る指導、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する店舗の整備その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
4 知事及び公安委員会は、共同して、前項の措置に関する指針を定めるものとする。
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一部改正〔平成一九年条例五四号・二〇年三九号・二七年一〇号〕
第十九条 道路、公園その他の公共の場所に防犯カメラ(犯罪の防止を目的として設置される映像機器及びこれに附属する機器をいう。以下同じ。)を設置する場合には、その設置者は、次項に規定する防犯カメラの適正な設置と利用に関する指針に基づき、人権を侵害することのないように配慮するものとする。
2 知事及び公安委員会は、共同して、防犯カメラの適正な設置と利用に関する指針を定めるものとする。
第二十条 県は、犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族(以下「犯罪被害者等」という。)に対し、市町村及び犯罪被害者等を支援する活動を行う民間支援団体と連携して、情報の提供、助言その他の必要な措置を講ずるものとする。
第二十一条 県は、防犯のまちづくりが総合的に推進されることが重要であることに鑑み、市町村及び防犯のまちづくりのための自主的な活動を積極的に支援するとともに、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
第二十二条 第八条第四項及び第五項の規定は、知事、埼玉県教育委員会及び公安委員会がこの条例の規定により指針を策定する場合に準用する。
第二十三条 県は、社会状況の変化等を踏まえ、必要に応じこの条例について見直しを行うものとする。
第二十四条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
この条例中第九条第一項の改正規定は学校教育法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第九十六号)の施行の日から、その他の規定は貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(平成十八年法律第百十五号)の施行の日から施行する。