埼玉県子どもの権利擁護委員会条例

平成十四年三月二十九日
条例第二十四号

改正

平成二一年一二月二五日条例第七〇号

令和 二年一二月二二日条例第五一号


埼玉県子どもの権利擁護委員会条例をここに公布する。
埼玉県子どもの権利擁護委員会条例
(目的)
第一条 この条例は、子どもに対する身体的又は精神的な暴力等子どもの権利の侵害に関して簡易迅速な救済を行うため、埼玉県子どもの権利擁護委員会に関し必要な事項を定め、もって子どもの権利の侵害を防止し、心身の健全な成長を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において「子ども」とは、十八歳未満の者及びこれに準ずる者として規則で定める者をいう。
 この条例において「県の機関」とは、県の執行機関、公営企業管理者、下水道事業管理者、警察本部(警察署を含む。)又はこれらに置かれる機関をいう。
一部改正〔平成二一年条例七〇号・令和二年五一号〕
(埼玉県子どもの権利擁護委員会の設置等)
第三条 県は、子どもの権利の侵害(県内に住所を有し、又は在勤し、若しくは在学する子どもに係るものに限る。以下同じ。)に関する救済を行う機関として、埼玉県子どもの権利擁護委員会(以下「委員会」という。)を置く。
 委員会は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百三十八条の四第三項の規定に基づく知事の附属機関とする。
 県は、委員会との連携を図り、児童の権利に関する条約及びこの条例の趣旨の啓発を図るとともに、子どもの権利の擁護に必要な施策を推進するものとする。
 県民は、家庭、学校、地域社会等において、子どもの心身の成長及び人格形成に重大な影響を与える暴力等子どもの権利の侵害を防止するとともに、委員会の職務の遂行に協力するよう努めなければならない。
(委員会の組織等)
第四条 委員会は、委員三人をもって組織する。
 委員会に、委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。
 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
 委員は、人格が高潔で、子どもの権利に関し優れた識見を有する者のうちから知事が委嘱する。
 委員の任期は、二年とする。
 委員は、再任されることができる。ただし、任期を通算して六年を超えることはできない。
 知事は、委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、これを解嘱することができる。
(委員会の職務)
第五条 委員会は、次に掲げる職務を行う。
 子どもの権利の侵害に関する相談に関して、必要な助言及び支援を行うこと。
 子どもの権利の侵害に関する救済の申立て等に関して、調査、勧告、意見表明、要請等を行うこと。
 勧告、意見表明等の内容を公表すること。
 その他子どもの権利の擁護に関する普及啓発を行うこと。
(委員の責務)
第六条 委員は、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。
 委員は、関係する県の機関との連携を図り、職務の円滑な遂行に努めなければならない。
 委員は、相談又は救済の申立てを行った者に不利益が生じないように、その職務を遂行しなければならない。
 委員は、その地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。
 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(兼職の禁止)
第七条 委員は、地方公共団体の議会の議員若しくは長又は政党その他の政治団体の役員と兼ねることができない。
 委員は、県と特別な利害関係にある法人その他の団体の役員と兼ねることができない。
(救済の申立て)
第八条 何人も、知事に対し、子どもの権利の侵害に係る事項について、文書又は口頭により、救済を申し立てることができる。
 知事は、前項の規定による申立てに係る事項についての調査等を委員会に速やかに付託するものとする。
(調査)
第九条 委員会は、前条第二項の規定により付託があった場合には、当該申立てに係る事項について調査をするものとする。ただし、当該申立てが次の各号のいずれかに該当すると認められる場合は、この限りでない。
 判決、裁決等により確定した権利関係に関する事案であるとき。
 裁判所において係争中の事案及び行政庁において不服申立ての審理中の権利関係に関する事案であるとき。
 議会に請願又は陳情を行っている事案であるとき。
 申立ての原因となった事実のあった日から三年を経過している事案であるとき。ただし、正当な理由があるときを除く。
 前各号に掲げるもののほか、調査することが適当でないと認められる事案として規則で定めるものであるとき。
 委員会は、前項に定めるもののほか、子どもが現に権利の侵害を受けており、その救済のため緊急の必要性があると認めるときは、当該権利の侵害の事実について調査をすることができる。
 委員会は、前条の規定による申立てが救済に係る子ども又はその保護者以外の者からなされた場合及び前項の規定による調査をする場合においては、当該子ども又は保護者の同意を得て調査をしなければならない。ただし、当該子どもが置かれている状況等を考慮し、委員会がその必要がないと認めるときは、この限りでない。
 委員会は、第一項ただし書の規定により調査をしない場合は、その旨を理由を付して、申立てを行った者(以下「申立人」という。)に速やかに通知しなければならない。
(調査の中止等)
第十条 委員会は、調査を開始した後においても、前条第一項各号のいずれかに該当することとなったときその他その必要がないと認めるときは、調査を一時中止し、又は打ち切ることができる。
 委員会は、調査を一時中止し、又は打ち切ったときは、その旨を理由を付して、申立人又は前条第三項の同意を得た者(以下「申立人等」という。)に速やかに通知しなければならない。
(県の機関に対する調査等)
第十一条 委員会は、県の機関に対し調査を開始するときは、当該機関に対し、その旨を通知するものとする。
 委員会は、調査のため必要があると認めるときは、子どもの権利の侵害に関する救済を図るため必要な限度において、県の機関に対し、資料の提出及び説明を求めることができる。
 委員会は、調査の結果必要があると認めるときは、権利の侵害の是正のための調整(以下単に「調整」という。)を行うことができる。
 委員会は、調査及び調整の結果について、申立人等に速やかに通知するものとする。ただし、第十三条第四項の規定により通知する場合は、この限りでない。
 県の機関は、委員会の職務の遂行に関して、その独立性を尊重するとともに、積極的に協力し、及び援助しなければならない。
(県の機関以外のものに対する調査等)
第十二条 委員会は、調査のため必要があると認めるときは、子どもの権利の侵害に関する救済を図るため必要な限度において、県の機関以外のものに対し、資料の提出及び説明について協力を求めることができる。
 委員会は、調査の結果必要があると認めるときは、調整について協力を求めることができる。
 委員会は、調査又は調整の結果について、申立人等に速やかに通知するものとする。
(県の機関に対する勧告等)
第十三条 委員会は、必要があると認めるときは、関係する県の機関に対し、次に掲げる事項について勧告又は意見表明をすることができる。
 当該県の機関が自ら是正その他必要な措置を講ずるよう求めること。
 当該県の機関が県の機関以外のもの(当該県の機関が法令に基づく監督の権限を有するものに限る。)に対し是正その他必要な措置を講ずるよう求めること。
 県の機関は、前項の規定による勧告又は意見表明を受けたときは、当該勧告又は意見表明を尊重しなければならない。
 委員会は、第一項の規定により勧告又は意見表明をしたときは、県の機関に対し、是正その他必要な措置の状況について、相当の期限を付して報告を求めるものとする。
 委員会は、第一項の規定により勧告又は意見表明をしたとき及び前項の規定による報告があったときは、その内容を申立人等に速やかに通知しなければならない。
 委員会は、第一項の規定による勧告又は意見表明及び第三項の規定による報告の内容を公表することができる。
(県の機関以外のものに対する要請)
第十四条 委員会は、県の機関以外のものが、重大な子どもの権利の侵害を行っていると認められる場合において、第十二条第一項の資料の提出及び説明の求めに応じないとき又は同条第二項の調整にもかかわらず是正のための取組を行っていないと認められるときは、当該県の機関以外のものに対し、これらの求めに応じ、又は是正その他必要な措置を講ずるよう要請することができる。
(申立ての処理の状況等の報告及び公表)
第十五条 委員会は、救済の申立ての処理の状況等について、知事に報告するとともに、毎年度一回、当該処理の状況等に係る報告書を作成し、公表するものとする。
(委任)
第十六条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。ただし、第一条から第四条まで、第五条第四号、第六条、第七条及び第十六条の規定は、平成十四年八月一日から施行する。
(平成十四年十一月規則第百十一号で、同十四年十一月一日から施行)
附 則(平成二十一年十二月二十五日条例第七十号抄)
(施行期日)
 この条例は、平成二十二年四月一日から施行する。
附 則(令和二年十二月二十二日条例第五十一号抄)
(施行期日)
 この条例は、令和三年四月一日から施行する。