沖縄県文化芸術振興条例

平成25年10月29日
条例第67号

沖縄県文化芸術振興条例をここに公布する。
沖縄県文化芸術振興条例
目次
前文
第1章 総則(第1条─第6条)
第2章 文化芸術の振興に関する基本的施策
第1節 文化芸術の振興(第7条─第10条)
第2節 人材の養成等(第11条─第14条)
第3節 文化芸術活動の充実(第15条・第16条)
第4節 文化芸術の活用(第17条─第19条)
第5節 文化芸術を支える基盤の強化(第20条─第23条)
第3章 施策の策定等に関し県が講ずる措置(第24条─第27条)
附則
沖縄は、古来、アジア諸国との交易を通じて多様な文化芸術を受け入れ、沖縄の精神的、文化的風土と融合させることで、亜熱帯の海に囲まれた美しい島々に、独特の文化芸術を育んできた。
文化芸術は、県民の生活に深く根ざし、繰り返された世変わりにおいても、新たな時代を切り開く心のよりどころとなった。
文化芸術は、長い歴史の過程で積み上げられ、伝えられた英知の結晶であり、人々が心豊かに生き、活力のある社会を築き、世界と友好を深めていく基盤として、本県の発展に欠かせないものである。
このような認識に立ち、私たちは、かつて琉球の時代に人と文化の架け橋となった先人の万国津梁しんりょうの精神を受け継ぎながら、守り育ててきた文化芸術を次代に引き継ぐとともに、これからの時代にふさわしい新たな文化芸術を創造していくことを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化芸術の振興に関し、基本理念を定め、県の責務並びに県民、文化芸術団体、事業者及び教育研究機関の役割を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策の基本となる事項を定め、及び当該施策の策定等に関し県が講ずる措置を定めることにより、当該施策の総合的な推進を図り、もって心豊かな県民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 文化芸術の振興に当たっては、県民一人一人が文化芸術の担い手であるという認識の下に、その自主性が尊重されなければならない。
 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術の担い手の創造性が十分に尊重されるとともに、その地位の向上が図られ、その能力が十分に発揮されるよう考慮されなければならない。
 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術を創造し、これを享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み、県民等(県内に居住する者及び滞在する者をいう。以下同じ。)が年齢、性別、出身地、居住する地域、障害の有無等にかかわらず、等しく文化芸術を鑑賞し、及び創造し、並びに文化芸術活動に参加することができるような環境の整備が図られなければならない。
 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術の多様性が尊重され、その保護及び発展が図られなければならない。
 文化芸術の振興に当たっては、質の高い文化芸術が人々に深い感動や新たな発見をもたらすとともに、人々の創造性を喚起するものであることに鑑み、本県において、質の高い文化芸術活動が活発に行われ、ひいては世界の文化芸術の発展に資するよう考慮されなければならない。
 文化芸術の振興に当たっては、本県の風土及び歴史によって培われてきた文化芸術が県民共通の財産として将来にわたり継承されるよう考慮されなければならない。
 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術に係る創造的活動が県民生活に豊かさを与えるとともに、文化芸術の発展、ひいては社会の発展の原動力となるよう、創造的活動の推進が図られなければならない。
 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術に係る交流が人々の相互理解並びに文化芸術及び社会の発展に資するよう、地域間の交流及び国内外との交流の推進が図られなければならない。
 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術の発展に資するような多様な人材の育成が図られなければならない。
10 文化芸術の振興に当たっては、県民、文化芸術活動を行う団体(以下「文化芸術団体」という。)、事業者、文化芸術に係る大学その他の教育研究機関(以下「教育研究機関」という。)、市町村及び県の相互の連携及び協力の下に、これが推進されるよう考慮されなければならない。
(県の責務)
第3条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、文化芸術の振興に関する施策(以下「文化芸術振興施策」という。)を総合的に策定し、及び実施するものとする。
 県は、文化芸術振興施策を安定的に実施するために必要な調査研究を行うものとする。
 第1項の規定による文化芸術振興施策の策定及び実施に当たっては、長期的かつ広域的な視点に立つとともに、広く県民等の意見が反映されるよう配慮するものとする。
 県は、県が行う施策に文化芸術の視点を取り入れるよう努めるものとする。
 県は、地域の特性を生かした文化芸術を振興する上で市町村が果す役割が重要であることに鑑み、市町村が行う文化芸術振興施策の実施に必要な協力及び助言を行うとともに、市町村相互の連携の確保に努めるものとする。
(県民及び文化芸術団体の役割)
第4条 県民及び文化芸術団体は、基本理念にのっとり、文化芸術の担い手として、自主的かつ主体的な文化芸術活動を通じて、文化芸術を振興する役割を果たすよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を通じて、自主的かつ主体的に文化芸術を振興する役割を果たすよう努めるものとする。
(教育研究機関の役割)
第6条 教育研究機関は、基本理念にのっとり、その有する人材、設備等を生かした文化芸術活動への支援、創造性豊かな人材の養成等を通じて、文化芸術の振興及び社会の発展に貢献する役割を果たすよう努めるものとする。
第2章 文化芸術の振興に関する基本的施策
第1節 文化芸術の振興
(伝統的な文化の継承及び発展)
第7条 県は、言葉が生活又は文化芸術の基層をなし、文化そのものであることに鑑み、しまくとぅばの日に関する条例(平成18年沖縄県条例第35号)第1条に規定するしまくとぅばが普及し、及び継承されるよう必要な施策を講ずるものとする。
 県は、組踊、さんしん音楽(さんしんを伴奏楽器とする音楽をいう。)、琉球舞踊その他の伝統芸能が将来にわたって継承され、及び発展するよう必要な施策を講ずるものとする。
 県は、空手道・古武道を普及し、将来にわたって継承し、及びそれらを介した国内外との交流を促進するため、必要な施策を講ずるものとする。
 県は、本県の歴史及び風土に培われたびんがた、織物、陶器、漆器その他の伝統工芸が将来にわたって継承され、及び発展するよう必要な施策を講ずるものとする。
 県は、前各項に規定するもののほか、本県の伝統的な行事、食文化その他の伝統的な文化が将来にわたって保存され、継承され、及び発展するため、必要な施策を講ずるものとする。
(芸術等の振興)
第8条 県は、文学、音楽、美術、演劇、舞踊、メディア芸術(映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術をいう。)その他の芸術の振興を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
 県は、芸能(前条第2項に規定する伝統芸能を除く。)及び生活文化(茶道、華道、書道その他の生活に係る文化をいう。)の振興を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
(文化財等の保存及び活用)
第9条 県は、有形及び無形の文化財の保存及び活用を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
 県は、本県に関する歴史的価値がある文書及び記録が適切に保存され、継承され、及び活用されるよう必要な施策を講ずるものとする。
(景観の形成等)
第10条 県は、歴史的又は文化的景観を保全し、及び活用を図るとともに、調和のとれた景観の形成のため、必要な施策を講ずるものとする。
 県は、県が設置する公共施設の外観等について、周囲の自然的環境、地域の歴史及び文化との調和を保つよう設計、意匠等に配慮するよう努めるものとする。
第2節 人材の養成等
(芸術家等の養成等)
第11条 県は、伝統文化を継承する者、文化芸術に関する創造的活動を行う者、文化財等の保存及び活用に関する専門的知識及び技能を有する者その他の文化芸術を担う者(以下「芸術家等」という。)の養成を図るものとする。
 県は、文化芸術活動の企画等を行う者並びに文化芸術施設の管理及び運営を行う者(以下「文化芸術活動の企画等を行う者等」という。)の養成及び確保を図るため、県内外における研修その他の必要な施策を講ずるものとする。
(文化芸術に関する教育の充実等)
第12条 県は、学校教育における文化芸術活動の充実を図るため、文化芸術に関する教育の充実並びに芸術家等、文化芸術活動の企画等を行う者等及び文化芸術団体による学校における文化芸術活動に対する協力への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
 県は、学校教育における文化芸術活動への支援を通じ、伝統芸能、伝統工芸その他の伝統的な文化に対する理解及び関心が深められるよう配慮するものとする。
(文化芸術団体への支援)
第13条 県は、文化芸術団体が行う活動が自主的に行われ、継続し、及び発展するため、必要な施策を講ずるものとする。
(顕彰)
第14条 県は、文化芸術活動で顕著な成果を収めたもの及び文化芸術の振興に寄与したものの顕彰に努めるものとする。
第3節 文化芸術活動の充実
(県民等の鑑賞等の機会の充実等)
第15条 県は、広く県民等が文化芸術を鑑賞し、及び創造し、並びに文化芸術活動に参加する機会の充実を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
 県は、高齢者が豊富な知識と経験を有する文化芸術の重要な担い手であることを踏まえ、高齢者が行う文化芸術活動の充実を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
 県は、障害者等の社会活動の充実及び発展に資するよう、これらの者の文化芸術活動が活発に行われるような環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。
 県は、次代の社会を担う青少年が豊かな人間性を育むことができるよう、文化芸術を体験し、及び表現する機会の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
(文化芸術交流の推進)
第16条 県は、文化芸術に係る地域間の交流及び国内外との交流を推進するため、必要な施策を講ずるものとする。
第4節 文化芸術の活用
(文化芸術による地域づくり)
第17条 県は、文化芸術が地域への愛着や誇りの醸成、特色ある地域産業の振興、地域社会の基盤の形成等に大きな役割を果すことに鑑み、地域において自主的かつ主体的な文化芸術による地域づくりが行われるため、必要な施策を講ずるものとする。
(文化芸術に関する産業の創出及び振興)
第18条 県は、映画、音楽、演劇、文芸その他の文化芸術に関する産業の創出及び振興を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
(地域産業との相互連携の促進)
第19条 県は、文化芸術が観光その他の地域産業の創出及び活性化に資するよう、文化芸術と地域産業との相互連携の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。
第5節 文化芸術を支える基盤の強化
(教育研究機関の機能強化)
第20条 県は、教育研究機関が文化芸術に関する調査研究の充実を図り、その成果をもって社会に貢献するため、その機能強化を図るよう努めるものとする。
(文化芸術施設等の充実及び活用)
第21条 県は、県民等の文化芸術活動の充実を図るため、劇場、美術館、博物館、図書館その他の文化芸術施設の充実及び活用に努めるものとする。
 県は、文化芸術施設以外の公共の施設を県民等の文化芸術活動の場として利用することができるよう配慮するものとする。
(知的財産に関する知識の普及)
第22条 県は、著作物その他の文化的所産の保護及び公正な利用が図られるとともに、それらの活用が積極的に行われ、その価値が最大限に発揮されるよう、著作者の権利及びこれに隣接する権利、意匠その他の知的財産について、これらに関する知識の普及に努めるものとする。
(企業等による支援活動の促進)
第23条 県は、個人、企業等が社会貢献の一環として行う文化芸術活動を支援する活動を促進するよう努めるものとする。
第3章 施策の策定等に関し県が講ずる措置
(県民等の意見の反映)
第24条 県は、文化芸術振興施策に県民等の意見を反映させるため、県民等に対し文化芸術振興施策に関する情報を公表し、県民等から意見を聴くものとする。
(沖縄県文化芸術振興審議会)
第25条 この条例の規定に基づく施策の策定その他文化芸術の振興に関する重要事項について、知事の諮問に応じ調査審議を行わせるため、沖縄県文化芸術振興審議会(以下「審議会」という。)を置く。
 審議会は、委員15人以内で組織する。
 委員は、学識経験のある者、文化芸術団体に属する者その他知事が適当と認める者のうちから、知事が任命する。
 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
 委員は、再任されることができる。
 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(推進体制の整備)
第26条 県は、文化芸術振興施策の総合的な推進を図るため、必要な体制の整備に努めるものとする。
(財政上の措置)
第27条 県は、文化芸術振興施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。