○野木町自治基本条例
平成28年12月22日条例第46号
野木町自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 町民(第6条―第11条)
第3章 議会(第12条)
第4章 町(第13条・第14条)
第5章 情報の共有(第15条・第16条)
第6章 町政への参画(第17条・第18条)
第7章 自治運営(第19条―第24条)
第8章 条例の改正(第25条)
附則
私たちの住む野木町は、栃木県の最南端に位置し、ラムサール条約登録湿地である渡良瀬遊水地に面した自然豊かなまちです。県内では一番小さなまちですが、住宅街と田園風景がほどよく調和した大変住みよいまちでもあります。
国指定重要文化財である旧下野煉化製造会社煉瓦窯(通称・野木町煉瓦窯)や野木神社など、後世に誇れる歴史的文化遺産を有しており、近世では、特に野木宿が日光街道の要衝として発展してきました。明治22年の市制及び町村制施行以来、合併をすることなく現在に至っている県内で唯一の自治体です。
しかし、近年では、野木町も例に漏れず、人口減少・少子高齢化が進み、若者の町外流出や農業後継者不足、地域内雇用の減少などが大きな問題となっています。
野木町が、今後も持続していくためには、こうした問題を克服していくとともに、私たち一人ひとりが地域社会の主役であることを十分に自覚し、町の規模、財政の見通しに見合った野木町らしいまちづくりを進めることが必要です。
今後も、先人たちが築いた野木町をさらに発展させ、これからも誇りと愛着を持って暮らしていけるように次世代に継承していかなければなりません。そのためには、町民一人ひとりが自律と自助の精神を持ち、積極的にまちづくりに参画し、住みよい野木町を築くよう努めなければなりません。
町民、議会、町、企業、NPO団体、ボランティア団体など多様な主体が役割と責任を分担し、協働と地域総合力により、みんなでよりよい野木町をつくり上げていくことが重要です。
私たちは、自治の基本理念に則り、その基本的事項を定めた野木町自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本町における自治の基本理念を明らかにするものであり、町民、議会及び町の役割と責務を定めることにより、町民が主役のまちづくりの実現を図ることを目的とする。
(位置付け)
第2条 この条例は、本町における自治の最も基本となる規範であり、最大限尊重されるものである。
2 町は、条例、規則等の制定及び改廃に当たっては、この条例の趣旨に基づき整合性を図らなければならない。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 住民 地方自治法(昭和22年法律第67号)第10条に規定する者をいう。
(2) 町民 次のいずれかに該当する者をいう。
ア 前号に規定する住民
イ 町内に勤務している者又は学んでいる者
ウ 町内の事業者又は活動する法人及びその他の団体(以下「事業者等」という。)
(3) 議会 議会及び議員をいう。
(4) 町 町長及び町の執行機関をいう。
(5) 協働 町民、議会及び町がそれぞれに果たす責任と役割を認識し、対等な立場で相互に補完、協力することをいう。
(6) 参画 町民が町の立案、実施、評価及び見直しの各段階における意思形成に関わることをいう。
(基本理念)
第4条 町における自治の基本理念は、次のとおりとする。
(1) 人間性の尊重 すべての町民が平等で、人間性を尊重したまちづくりを行うこと。
(2) 自然との共生 自然と暮らしが調和した、憩いとやすらぎのあるまちづくりを行うこと。
(3) 多様な主体による協働 多様な主体が、ともに支え合い、助け合い、協力し合うまちづくりを行うこと。
(4) 地域力の育成 地域の特性を活かし、地域力を高めるまちづくりを行うこと。
(5) 自主自律の精神 自らがまちづくりの担い手となって行動する、自主自律のまちづくりを行うこと。
(基本原則)
第5条 次に掲げる事項をまちづくりの基本原則とする。
(1) 協働の原則
(2) 参画の原則
(3) 情報共有の原則
第2章 町民
(町民の権利)
第6条 町民は、次に掲げる権利を保障されるものとする。
(1) 安全で安心して暮らす権利
(2) 平等に公共サービスを受ける権利
(3) 町政に参画し、提案する権利
(4) 町政に関する情報を知る権利
(町民の責務)
第7条 町民は、次に掲げる責務を有するものとする。
(1) 自らの発言及び行動に責任を持つこと。
(2) 地域社会の発展に貢献するよう努めること。
(3) まちづくりに関する活動や行事に参画するよう努めること。
(4) 地域における見守りや美化などに協力し、地域で助け合うよう努めること。
(事業者等の権利及び責務)
第8条 事業者等は、町民や町とともに、まちづくりに関する活動や行事に参画し、貢献するよう努める。
(子どもの参画)
第9条 町民、議会及び町は、子どもがそれぞれの年齢等に応じてまちづくりに参画する機会を積極的につくり、その意見を尊重するものとする。
2 町民、議会及び町は、子どもが安全で安心して健やかに育つ環境の整備に努める。
(地域自治組織)
第10条 町民は、互いに協力し合い、身近な地域の課題を解決していくとともに、自主的な地域の自治活動に積極的に参加し、その活動を守り育てるよう努める。
(町民活動への支援)
第11条 町は、町民が行う自発的、公益的な町民活動を尊重し、その活動促進のための支援に努める。
第3章 議会
(議会の役割と責務)
第12条 議会は、野木町議会基本条例(平成26年野木町条例第32号)に基づき、議事機関として町政に係る意思決定を行うとともに、町政運営状況の監視及び評価や政策立案等を行うものとする。
2 議会は、住民の代表として、広く町民の意見を聴取し、また議会活動に関する情報の公開・発信を積極的に行い、公正かつ開かれた議会運営を行うものとする。
第4章 町
(町長の責務)
第13条 町長は、町民の安全・安心な暮らしの実現を第一とし、持続可能な町政運営を行うこと。
(職員の責務)
第14条 本町の職員は、町民の視点に立ち、町民の思いを理解し、公正かつ誠実な職務を遂行しなければならない。
第5章 情報の共有
(情報の共有及び活用)
第15条 町は、町民の情報公開請求に対して、その保有する情報を適切に公開しなければならない。
2 町は、町政に関する情報について町民に分かりやすく提供するものとする。
3 町は、町民の意見・要望や地域課題の把握に努め、町民と情報の共有を図り、まちづくりに活用するものとする。
(個人情報の保護)
第16条 議会及び町は、保有する個人情報を適正に管理するとともに、町民が自己の個人情報の開示等を請求する権利を保障することにより、町民の権利及び利益を保護しなければならない。
第6章 町政への参画
(意見公募手続)
第17条 町は、町政に係る基本的な計画等を定めようとするときは、あらかじめ、その案を公表し、広く町民等の意見を求めなければならない。
(住民投票)
第18条 選挙権を有する住民は、町民生活にとって重大な影響を及ぼすと考えられる事項に関し、地方自治法の定めるところにより、その代表者から町長に対し、住民投票を求める条例の制定を請求することができる。
2 町長は、前項に定めるもののほか、町政に係る重要事項について、直接住民の意思を確認するため、住民投票を実施することができる。
3 議会及び町は、住民投票の結果を尊重しなければならない。
4 前各項に定めるもののほか、住民投票に参加できる者の資格及び住民投票の実施に関する手続きその他必要な事項は、事案ごとに別に条例で定める。
第7章 自治運営
(総合計画)
第19条 町は、この条例の基本理念に則り、総合的かつ計画的な町政運営を図るための計画(以下「総合計画」という。)を策定し、その計画の適切な進行管理及び評価を行わなければならない。
2 町は、総合計画の策定に当たっては、町民参画を原則とする。
(行政評価)
第20条 町は、効果的かつ効率的な町政の推進を図るため、外部有識者等による行政評価を実施し、総合計画の進行を管理するとともに、事業の改善等に反映させなければならない。
2 町は、行政評価の結果を公表するとともに、総合計画及び個別計画の進行管理並びに予算編成に反映させなければならない。
(財政運営)
第21条 町は、経営的視点に立ち、常に健全な財政運営に取り組まなければならない。
(行政手続)
第22条 町は、処分、行政指導及び届出に関する手続を適切かつ迅速に行い、町政における公正の確保及び透明性の向上を図らなければならない。
(説明責任)
第23条 町は、政策の立案、実施、評価等において、それらの内容を町民にわかりやすく説明しなければならない。
(危機管理)
第24条 町は、緊急時に備え、総合的かつ機動的な危機管理体制の強化を図らなければならない。
2 町は、緊急時において、速やかに正しい情報を発信するとともに、町民の身体、生命及び財産の安全性の確保を図らなければならない。
3 町民は、緊急時において、近隣同士で助け合い、正しい情報の入手に努め、自らの安全確保を図るものとする。
第8章 条例の改正
(条例の改正)
第25条 町は、この条例の改正が必要であると認めるときは、この条例の基本理念を尊重しつつ、適切な措置を講じるものとする。
附 則
この条例は、平成29年4月1日から施行する。