○西和賀町まちづくり基本条例
平成23年9月14日条例第8号
西和賀町まちづくり基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条-第3条)
第2章 目指すまちの姿(第4条)
第3章 まちづくりの基本原則(第5条)
第4章 町民の権利と責務(第6条-第8条)
第5章 議会等の責務(第9条・第10条)
第6章 町長等の責務(第11条・第12条)
第7章 情報共有と個人情報の保護(第13条・第14条)
第8章 参画と協働(第15条・第16条)
第9章 地域コミュニティ(第17条)
第10章 住民投票(第18条・第19条)
第11章 行財政運営(第20条-第28条)
第12章 国、他の地方公共団体等との関係(第29条-第31条)
第13章 条例の検証及び見直し(第32条・第33条)
第14章 補則(第34条)
附則
緑深い奥羽山脈の山懐に抱かれた西和賀町は、2005年11月、旧湯田町と旧沢内村との合併により誕生しました。北は和賀山塊、南は南本内岳に代表される山々は、山菜やきのこなどの豊かな山の恵みをもたらし、降り積もる雪は幾多の沢となり、和賀川の清流となって流れています。
岩手県の西端に位置し、秋田県と境を接するこの地域は、古くから東西の往来の中で独自の文化を育んできました。
恵まれた自然が時として脅威となるこの地には、一人ひとりの命を何よりも大事にする「生命尊重」の理念と、人と人とのつながりを大切にする「結い」の精神が強く息づいています。
私たちは、先人から受け継いだ自然、風土、文化を継承しながら、郷土を愛し、誇りを持ち、力を合わせて明るい未来を創造していかなければなりません。
そのためには、町民一人ひとりが互いの多様な考え方や生き方を尊重し合うとともに、町民、議会及び町の執行機関が情報を共有しながら共に考え、行動し、自治を展開していくことが必要です。
ここに、町民自らが自治の主役であることを自覚し、町民、議会及び町の執行機関の三者協働によるまちづくりを実現するため、西和賀町の最高規範としてこの条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、西和賀町(以下「町」といいます。)のまちづくりに関する基本的な事項を定めるとともに、まちづくりにおける町民、議会及び町の執行機関の役割を明らかにし、参画と協働による町民主体の自治を推進することにより、町民が住みよい、健康で安心して暮らせるまちをつくることを目的とします。
(条例の位置付け)
第2条 この条例は、町が定める最高規範であり、町民、議会及び町の執行機関は、この条例を誠実に遵守しなければなりません。
2 町の執行機関及び議会は、他の条例、規則等の制定若しくは改廃又はまちづくりに関する計画の策定若しくは変更に当たっては、この条例に適合させるものとします。
3 町の執行機関及び議会は、この条例に定める事項を実現するため、必要な措置を講ずるものとします。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによるものとします。
(1) 町民 町内に居住する人、町内で働く人及び学ぶ人並びに町内で事業を営み、及び活動する法人その他の団体をいいます。
(2) 町の執行機関 町長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(3) 参加 町民がまちづくりに関わり、意見を表明し、行動することをいいます。
(4) 参画 町民が町の政策の立案、実施及び評価の過程に主体的に参加し、その意思形成に関わることをいいます。
(5) 協働 町民、議会及び町の執行機関が、それぞれの役割と責任を持ち、対等な立場で協力して行動することをいいます。
(6) まちづくり 自分たちのまちを住みよくするための活動をいいます。
第2章 目指すまちの姿
第4条 町民、議会及び町の執行機関は、次に掲げるまちの実現に努めるものとします。
(1) お互いを尊重し、助け合い、誰もが生涯生き生きと暮らせるまち
(2) 保健、医療及び福祉が充実し、安心して健やかに暮らせるまち
(3) 子育て環境が充実し、安心して子どもを生み、育てられるまち
(4) 生涯にわたって学び続けられる環境が整備されたまち
(5) 郷土の歴史や伝統を継承し、新しい文化を創造するまち
(6) 地域資源を生かした産業の振興による活力に満ちたまち
(7) 生活基盤が整備され、安全で快適な暮らしを守るまち
(8) 除雪体制が充実し、冬でも快適に暮らせるまち
(9) 豊かな自然を守り、育て、共生する循環型のまち
第3章 まちづくりの基本原則
第5条 町民、議会及び町の執行機関は、次に掲げる基本原則に基づき、町民主体のまちづくりを進めるものとします。
(1) 情報共有の原則 町政に関する情報を互いに共有すること。
(2) 参画の原則 町民の参画を基本とした町政運営を行うこと。
(3) 協働の原則 三者協働を基本として公共的課題の解決に取り組むこと。
第4章 町民の権利と責務
(町民の権利)
第6条 町民は、生命及び健康が守られ、健やかに生きる権利を有します。
2 町民は、等しく学ぶ権利を有します。
3 町民は、町の執行機関及び議会が保有する情報を知る権利を有します。
4 町民は、まちづくりに参加するとともに、町政運営に参画する権利を有します。
(町民の責務)
第7条 町民は、町の課題を認識し、積極的に町政運営に参画し、まちづくりを推進するよう努めるものとします。
2 町民は、町政運営に参画するに当たっては、自らの発言と行動に責任を持つものとします。
3 町民は、地域を愛し、誇りを持ち、伝統文化を後世に伝えるよう努めるものとします。
4 町民は、結いの精神を大切にし、互いに尊重し、助け合うよう努めるものとします。
(子どもの権利)
第8条 子ども(満18歳未満の町民をいいます。次項において同じ。)は、よりよい環境のもと、健やかに成長する権利を有します。
2 子どもは、その年齢に応じ、まちづくりに参加するとともに、町政運営に参画する権利を有します。
第5章 議会等の責務
(議会の責務)
第9条 議会は、町民の視点から町政運営を監視しなければなりません。
2 議会は、町民に対して開かれた議会運営に努め、町民に対する説明責任を果たさなければなりません。
3 議会は、政策を立案し、提案するに当たっては、町民との対話の機会を積極的に設け、その意識の把握に努めなければなりません。
(議員の責務)
第10条 議員は、町民の代表者としての自覚を持ち、自ら研さんを重ね、政策立案能力を高めるよう努めるものとします。
2 議員は、政治倫理の更なる向上に努めるものとします。
第6章 町長等の責務
(町長の責務)
第11条 町長は、町民が健康で安心して暮らせるまちづくりのため行動しなければなりません。
2 町長は、この条例を遵守し、町の代表者として公正かつ誠実に町政運営を行わなければなりません。
3 町長は、効率的な行財政運営に努め、町が保有する財産を最大限に活用しなければなりません。
4 町長は、職員の能力の向上を図るとともに、能力を発揮できる環境づくりを行わなければなりません。
(職員の責務)
第12条 職員は、町民との対話に努め、共にまちづくりを推進するよう努めるものとします。
2 職員は、その能力を高め発揮するため、積極的に自己研さんに努めるものとします。
3 職員は、公正かつ公平に職務を遂行するものとします。
第7章 情報共有と個人情報の保護
(情報共有)
第13条 町の執行機関及び議会は、町政運営に関する情報を町民と共有するよう、保有する情報の積極的な提供に努めるものとします。
2 町の執行機関及び議会は、町民に情報を提供するに当たっては、分かりやすく、かつ、入手しやすい方法とするよう努めるものとします。
(個人情報保護)
第14条 町の執行機関は、保有する個人情報について、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の定めるところにより、及びその施行に必要な条例を定める等の措置を講じ、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利及び利益が侵害されることのないよう、適切に取り扱わなければなりません。
2 議会は、個人情報の保護に関する法律の趣旨にのっとり、その保有する個人情報について、別に条例を定め、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利及び利益が侵害されることのないよう、適切に取り扱わなければなりません。
第8章 参画と協働
(参画機会の保障)
第15条 町の執行機関は、町政に関する重要な計画の策定及び変更並びに住民生活に重大な影響を及ぼす施策及び制度の導入及び改廃をしようとするときは、町民の意見が町政に反映されるよう多様な参画の機会を設けるものとします。
(協働の推進)
第16条 町の執行機関は、協働によるまちづくりを推進するための制度を整備するものとします。
第9章 地域コミュニティ
第17条 町民は、地域コミュニティ(居住地を基本とした町民の多様な集まりをいいます。以下この条において同じ。)の一員であることを認識し、地域の課題解決のために主体的に活動するものとします。
2 地域コミュニティは、互いに連携及び協力し、まちづくりの推進に努めるものとします。
3 町の執行機関は、地域コミュニティの自主性及び自立性を尊重し、その活動を促進するために必要な措置を講ずるものとします。
第10章 住民投票
(住民投票)
第18条 町長は、町政に関する重要事項について直接、住民(町内に住所を有する者で、満15歳に達する日以後の最初の3月31日を経過したもの(外国人を含みます。)をいいます。次条において同じ。)の意思を確認するため、住民投票を実施することができます。
2 町長及び議会は、住民投票の結果を尊重するものとします。
(住民投票の請求等)
第19条 住民は、町政に関する重要事項について、その総数の6分の1以上の者の連署をもって、その代表者から町長に対して住民投票の実施を請求することができます。
2 議会は、町政に関する重要事項について、議員の定数の6分の1以上の者の賛成を得て議員提案され、かつ、出席議員の過半数の賛成により議決されたときは、町長に対して住民投票の実施を請求することができます。
3 町長は、町政に関する重要事項について、必要であると判断したときは、自らの意思により住民投票を実施することができます。
4 町長は、第1項又は第2項の規定による請求があったときは、住民投票を実施しなければなりません。
5 住民投票の実施に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
第11章 行財政運営
(総合計画)
第20条 町の執行機関は、総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想及びこれを実現するための基本計画(以下この条において「総合計画」といいます。)を策定するものとします。
2 総合計画は、議会の議決を経て定めるものとします。
3 町の執行機関は、総合計画の策定に当たっては、原案を公表するとともに、町民の意見を聴くものとします。
4 町の執行機関は、総合計画の進行管理を適切に行い、必要に応じて見直しを行うものとします。
5 町の執行機関の政策の立案、実施等は、総合計画に基づいて行わなければなりません。
(組織)
第21条 町の執行機関の内部組織は、町民に分かりやすく、効率的かつ機能的なものとします。
2 町長は、社会情勢の変化に柔軟に対応できる内部組織を編成するものとします。
(審議会等)
第22条 町の執行機関は、審議会、審査会その他の附属機関及びこれに類するもの(次項において「審議会等」といいます。)の委員を選任するに当たっては、原則として公募の委員を加えるとともに、男女の均衡を図るよう努めなければなりません。
2 審議会等の会議は、公開を原則とします。
(政策法務)
第23条 町の執行機関は、行政課題や町民の要望に対応するため、法令を主体的に解釈及び運用するとともに、条例、規則等の制定、改廃その他の方法により、政策の実現に努めるものとします。
(法令遵守)
第24条 町の執行機関は、町政運営の公正性及び透明性を確保するため、法令を誠実に遵守し、違法行為に対して直ちに必要な措置を講じなければなりません。
(財政運営)
第25条 町の執行機関は、財政状況を総合的に把握し、健全で効率的な財政運営を行わなければなりません。
2 町の執行機関は、財政状況を町民に分かりやすく公表するものとします。
(行政評価)
第26条 町の執行機関は、効果的かつ効率的な行政運営のため、客観的な行政評価を行い、その結果を公表するとともに、施策に反映させるよう努めるものとします。
2 町の執行機関は、行政評価の実施に当たっては、町民参画に努めるものとします。
(意見、要望、苦情等への対応)
第27条 町の執行機関は、町民からの意見、要望、苦情等を受けたときは、誠実に応じ、迅速かつ適切な措置を講じなければなりません。
(危機管理)
第28条 町の執行機関は、町民の生命、身体及び暮らしの安全を確保するとともに、緊急時に総合的かつ機能的な活動が図られるよう危機管理体制を確立しなければなりません。
2 町の執行機関は、町民並びに国、県及び近隣市町村と連携し、協力体制の確立を図るなど、災害その他の緊急事態に備えなければなりません。
第12章 国、他の地方公共団体等との関係
(国及び県との関係)
第29条 町は、国及び県と対等な立場であり、町民福祉の増進のため、国及び県と連携し協力するとともに、政策及び制度に関する提案を積極的に行うよう努めるものとします。
(近隣市町村との関係)
第30条 町は、町民サービスの向上及び広域的な政策課題を解決するため、近隣市町村と連携し、協力するよう努めるものとします。
(町外の人々との連携)
第31条 町は、町外に住む人々との交流及び連携を深め、その知恵や意見をまちづくりに生かすよう努めるものとします。
第13章 条例の検証及び見直し
(運用状況等の検証)
第32条 町長は、この条例に基づくまちづくりを推進するため、まちづくり基本条例検証委員会(以下この条において「委員会」といいます。)を設置します。
2 委員会は、この条例の運用状況について審議し、町長に答申するものとします。
3 委員会は、前項に規定するもののほか、まちづくりの推進に関する事項について、町長に提言することができます。
4 町長は、委員会の答申及び提言を尊重しなければなりません。
5 委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
(条例の見直し)
第33条 町は、社会情勢の変化その他の事情に対応するため、必要に応じ、この条例を見直すものとします。
第14章 補則
(委任)
第34条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定めます。
附 則
この条例は、平成24年1月1日から施行します。
附 則(令和5年3月2日条例第3号)
この条例は、令和5年4月1日から施行する。