○西和賀町自然環境保全条例
平成17年11月1日条例第93号
西和賀町自然環境保全条例
目次
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 自然環境保全地域(第9条―第13条)
第3章 保全地域内における開発行為の事前協議(第14条―第18条)
第4章 雑則(第19条―第24条)
第5章 罰則(第25条―第28条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、良好な自然環境を保全(自然空間を創出することを含む。以下同じ。)するため必要な事項を定めるとともに、町、事業者及び町民の責務を明らかにすることにより、豊かな自然との共生を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 自然環境 大気、水、大地とこれらによりはぐくまれた動植物等を一体として総合的にとらえたもので、人間の生存の基盤となるものをいう。
(2) 開発行為 ゴルフ場、スキー場、宅地の開発などの自然環境を損傷するおそれがある行為をいう。
(財産権の尊重及び他の公益との調整)
第3条 自然環境の保安に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、町土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、自然環境の保全のために必要な施策を総合的に講ずるものとする。
(事業者及び町民の責務)
第5条 事業者及び町民は、自然環境を保全するために町が行う施策に協力するとともに、自ら自然環境の保全に努めるものとする。
(生態系への配慮)
第6条 何人も、正当な理由がなく次に掲げる行為を行ってはならない。
(1) 自然環境を損傷すること。
(2) 動植物の採捕及び損傷、外来種(今まで生息していなかった地域に、自然状態では通常起こり得ない手段によって移動し、そこに定着して自然繁殖するようになった種をいう。)の導入その他の行為により自然が形成する生態系に著しい影響を与えること。
2 町、事業者及び町民は、緑化の推進等、生態系の維持増殖に努めるものとする。
(開発行為における配慮)
第7条 開発行為を行う者は、自然環境に影響を及ぼすと認められる行為の実施に当たっては、自然環境の保全に努めるものとする。
(野生動植物の保護)
第8条 町長は、野生動植物の保護を必要と認めるときは、専門家等の意見を聴き、保護施策を講じなければならない。
第2章 自然環境保全地域
(自然環境保全地域の指定)
第9条 町長は、次の各号のいずれかに該当する地域のうち、自然的社会的諸条件からみて、その地域における自然環境を保全することが特に必要な地域を西和賀町自然環境保全地域(以下「保全地域」という。)として指定することができる。
(1) 動植物を含む自然環境がすぐれた状態を維持している山岳、丘陵、樹林、草生地、河川、湖沼等の地域
(2) 野生動物の生息地、植物の自生地又は地形若しくは地質が特異であり、若しくは特異な自然の現象が生じている土地の地域
2 町長は、保全地域を指定しようとするときは、あらかじめ、専門家等による詳細な基礎調査を行い、その結果を検討して実施するものとする。
3 町長は、保全地域を指定しようとするときは、土地所有者の同意を得て行う。
4 町長は、保全地域を指定しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を告示し、その案を当該告示の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。
5 前項の規定による告示があったときは、当該地域に係る町民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された案について、町長に意見書を提出することができる。
6 町長は、前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があったとき、又は当該保全地域の指定に関して広く意見を聴く必要があると認めるときは、必要に応じて公聴会を開催するものとする。
7 町長は、保全地域を指定する場合には、その旨並びに保全地域の名称及びその地域を告示しなければならない。
8 保全地域の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
9 第2項、第6項及び前項の規定は保全地域の指定の解除について、第2項から前項までの規定は保全地域の拡張について準用する。
10 町民は、保全地域として指定を受けるべき土地があると思うときは、保全地域の指定について、町長に意見を申し出ることができる。
(保全事業の執行)
第10条 当該保全地域における自然環境の保全のための施設等の保全事業は規則で定める。
(保全地域における行為の許可等)
第11条 保全地域において次に掲げる行為をしようとする者は、町長の許可を受けなければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。
(1) 建築物その他工作物を新築し、改築し、増築し、又は改装すること。
(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。
(3) 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
(4) 木竹を伐採すること。
(5) 水面を埋め立てること。
(6) 井戸を掘削すること。
(7) 排水を放流すること。
2 前項の許可には、当該保全地域における自然環境の保全のために必要な限度において、条件を付けることができる。
3 町長は、第1項各号に掲げる行為で規則で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。
4 前3項の規定は、変更の許可について準用する。
5 保全地域内において非常災害のために必要な応急措置として第1項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して14日以内に、町長にその旨を届け出なければならない。
6 保全地域が指定され、若しくはその地域が拡張された際当該保全地域内において第1項各号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は地域の拡張の日から起算して6月間は、同項の規定にかかわらず、引き続き当該行為をすることができる。
7 前項に規定する者が同項の期間内に当該行為について町長に届け出たときは、第1項の許可を受けたものとみなす。
8 次に掲げる行為については、第1項の規定は、適用しない。
(1) 保全事業の執行として行う行為
(2) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち規則で定めるもの
(3) 第1項第1号から第7号までに掲げる行為で自然公園地域、岩手県自然環境保全地域及び環境緑地保全地域で行われるもの
(4) 国及び地方公共団体が行う行為で規則で定めるもの
(中止命令等)
第12条 町長は、保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは、前条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定に違反し、又は同条第2項(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定により許可に付けられた条件に違反した者に対して、その行為の中止を命じ、又は相当の期限を定めて、原状回復を命じ、若しくは原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。
(報告)
第13条 第11条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)の許可を受けた者及び同条第7項の届出をした者は、当該行為が完了したときは、町長にその旨を報告しなければならない。
第3章 保全地域内における開発行為の事前協議
(事前協議)
第14条 保全地域内において、面積が500平方メートル以上の土地の形質を変更しようとする者は、規則で定めるところにより、当該行為の計画の内容について当該行為に着手しようとする日の60日前までに町長に協議しなければならない。
(自然環境影響調査)
第15条 保全地域内において、開発行為をしようとする者は、その規模が規則で定める基準を超える場合で、土地の形質の変更を伴う場合は、規則で定めるところにより、あらかじめ次に掲げる事項について総合的な調査を実施し、その結果を当該行為に着手しようとする日の60日前までに町長に届け出なければならない。
(1) 当該行為の影響が及ぶ地域の自然の現況及び特質
(2) 当該行為の自然環境に及ぼす影響の内容及び程度
(3) 前2号に掲げるもののほか規則で定める事項
(公表)
第16条 町長は、前条の自然環境影響調査の届出があったときは、その内容について、町民に対して周知しなければならない。
(適用除外)
第17条 前2条の規定は、環境影響評価に関する手続が定められているものとして規則で定める法律及び岩手県の条例の適用を受ける対象事業については、適用しない。
(指導、勧告、中止措置等)
第18条 町長は、第14条の規定による事前協議において、当該行為が自然環境の保全を阻害すると認めるときは、当該行為をしようとする者に対し、自然環境の保全のため必要な措置を講ずべきことを指導し、若しくは勧告し、又は計画の変更若しくは中止その他の措置を求めることができる。
第4章 雑則
(検査及び立入り)
第19条 町長は、自然環境の保全のために必要な限度において、第11条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)の許可を受けた者に対し、当該行為の実施状況その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に保全地域内の土地若しくは建物内に立ち入り、当該行為の実施状況を検査させ、若しくは当該行為の自然環境に及ぼす影響を調査させることができる。
2 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
(原因者負担)
第20条 第11条第1項各号に掲げる行為により自然環境が著しく損傷され、その修復が必要となった場合は、その原因となった行為を行った者が自らの責任と負担において、復元しなければならない。
(実地調査)
第21条 町長は、保全地域の指定若しくはその地域の拡張、保全計画の決定若しくは変更又は保全事業の執行に関し、実地調査のため必要があると認めるときは、その職員に、他人の土地に立ち入り、測量させ、又は実地調査の障害となる木竹若しくは垣、さく等を伐採させ、若しくは除去させることができる。
2 町長は、その職員に前項の規定による行為をさせようとするときは、あらかじめ、土地の所有者(所有者の住所が明らかでないときは、その占有者。以下この条において同じ。)及び占有者並びに木竹又は垣、さく等の所有者にその旨を通知し、意見書を提出する機会を与えなければならない。
3 第1項の職員は、日の出前及び日没後においては、宅地又は垣、さく等で囲まれた土地に立ち入ってはならない。
4 第1項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
5 土地の所有者若しくは占有者又は木竹若しくは垣、さく等の所有者は、正当な理由がない限り、第1項の規定による立入りその他の行為を拒み、又は妨げてはならない。
(自然環境保全監視員)
第22条 町長は、自然環境の保全のために自然環境保全監視員(以下「監視員」という。)を置くことができる。
2 監視員は、町民であって、自然環境の保全に関心があり、知識知見と経験を兼ね備えた者のうちから町長が委嘱する。
3 監視員は、町の自然環境の保全に関する施策に協力し、必要に応じて自然環境の損傷並びに地形、地質及び希少動植物の状況等について町長に報告するものとする。
(違反者の公表)
第23条 町長は、この条例の規定に違反し、自然環境を損傷し、又は生態系に著しく影響を与えた者があるときは、その違反の事実及び違反者の氏名を公表することができる。この場合において、町長は、あらかじめ当該行為をした者に対し、その理由を書面により通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が定める。
第5章 罰則
第25条 第12条の規定による命令に違反した者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第26条 第11条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者又は同条第2項(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定により許可に付けられた条件に違反した者は、6月以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
第27条 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。
(1) 第13条若しくは第19条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は立入検査若しくは立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
(2) 第21条第5項の規定に違反して、同条第1項の規定による立入りその他の行為を拒み、又は妨げた者
(両罰規定)
第28条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し前3条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年11月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の湯田町自然環境保全条例(平成元年湯田町条例第22号)又は沢内村自然環境保全条例(平成2年沢内村条例第5号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。