○中野市環境保全及び公害防止に関する条例
平成17年4月1日条例第115号
中野市環境保全及び公害防止に関する条例
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 責務
第1節 市の責務(第4条・第5条)
第2節 市民の責務(第6条・第7条)
第3節 事業者等の責務(第8条・第9条)
第3章 公害の防止等
第1節 公害の防止(第10条―第20条)
第2節 排水処理浄化槽の設置等(第21条―第27条)
第4章 環境の保全(第28条―第32条)
第5章 電波障害の防止(第33条―第35条)
第6章 環境保全及び公害防止協定等(第36条―第38条)
第7章 雑則(第39条―第42条)
第8章 罰則(第43条・第44条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市民の健康で文化的な生活を確保するため、環境保全及び公害防止(以下「環境保全等」という。)に対する市、市民、事業者等の責務を明らかにするとともに、環境保全等に関する市の基本的な施策について必要な事項を定め、もって市民の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 公害 事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の状態又は底質が悪化することを含む。以下同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(2) 環境の基準 水質汚濁に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準をいう。
(3) 規制基準 大気の汚染、水質の汚濁若しくは土壌の汚染となる物質(ばい煙、粉じん、有害ガス、汚水及び廃液)、騒音、振動又は悪臭を発生し、排出し、又は飛散する量、濃度若しくは大きさの許容限度をいう。
(4) 事業者等 工場又は事業所において事業を行う者、牛、豚、鶏等の家畜を飼育する者、毒物及び劇物(毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)第2条に規定するものをいう。以下同じ。)を使用する者並びにこれに準ずる者をいう。
(5) 特定事業施設 工場又は事業所に設置される施設のうち、汚水、ガス、ばい煙、粉じん、騒音、振動及び悪臭(以下「汚水等」という。)を排出し、又は発生させる施設で、公害を発生し、又は発生させるおそれがあるものとして規則で定めるものをいう。
(6) 工場等 工場又は事業所において生産の用に供する施設及びこれらに準ずる施設等をいう。
(7) 有害物質 カドミウムその他人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質として規則で定めるものをいう。
(8) 井戸 地下水(温泉法(昭和23年法律第125号)第2条に規定する温泉を除く。以下同じ。)を採取するための施設をいう。
(9) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条に規定する建築物及び特殊建築物並びに建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第138条に規定する工作物をいう。
(10) 建築 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。
(11) 生活排水 日常生活により排出される排出水をいう。
(12) 事業排水 事業活動により排出される排出水をいう。
(13) 排水処理浄化槽 生活排水又は事業排水を浄化する施設で規則で定める浄化槽をいう。
(14) 公共用水域 水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第2条に規定するものをいう。
(15) 環境保全地区 市長が環境を保護することが必要と認めて指定した地区(長野県自然環境保全条例(昭和46年長野県条例第35号)に規定する長野県自然環境保全地域及び郷土環境保全地域並びに
中野市自然保護条例(平成17年中野市条例第114号)に規定する自然休養地を除く。)をいう。
(財産権等の尊重)
第3条 この条例に定める環境保全等に当たっては、関係者の所有権、その他の財産権を尊重し、公益との調整に留意しなければならない。
第2章 責務
第1節 市の責務
(基本的責務)
第4条 市は、第1条に規定する目的を達成するため、あらゆる施策を通じて環境保全等に努めなければならない。
(施策)
第5条 市長は、環境保全等を図るため、次に掲げる施策を講じなければならない。
(1) 環境保全等に係る規制基準等を達成するために必要な措置を講ずること。
(2) 環境保全等に必要な測定及び調査を行い、環境保全等を損なうおそれのある者に対し、環境保全及び公害防止協定を締結する等必要な規制措置を講ずること。
(3) 市民及び事業者等が行う環境保全等のための施設の整備を促進するため、その施設の設置又は改善につき、必要な技術的助言、資金のあっせん等の援助に努めること。
(4) 環境保全等に係る苦情又は紛争について、適正な解決に努めること。
(5) 環境保全等に関する意識の向上及び知識の普及に努めるとともに環境保全等の方法等に関し必要と認める事項を市民に周知すること。
第2節 市民の責務
(基本的責務)
第6条 市民は、市長が行う環境保全等に関する施策に協力するとともに良好な生活環境の確保に努めなければならない。
(施設の管理義務)
第7条 市民は、その所有又は管理に属する土地、その他の施設等について、常に適正な管理を行い地域の生活環境の保全に努めなければならない。
第3節 事業者等の責務
(基本的責務)
第8条 事業者等は、その事業活動により環境の破壊を防止するため、適切な措置を講じ、市長が行う環境保全等に関する施策に協力しなければならない。
(施設の管理義務)
第9条 事業者等は、その所有又は管理に属する土地、その他の施設等について、常に適正な管理を行い地域の環境保全等に関する施策に協力するとともに、人の健康又は生活環境に障害を及ぼすおそれのないように努めなければならない。
第3章 公害の防止等
第1節 公害の防止
(水質の環境の基準)
第10条 市長は、規則で河川の水質に係る環境の基準を定めなければならない。
2 市長は、前項の基準を定めるに当たっては、人の健康の保護を優先させるものとする。
(規制基準)
第11条 市長は、公害を防止するため、水質汚濁等の規制基準を規則で定めるものとする。
2 市長は、前項に規定する規制基準を定めようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
(特定事業施設の設置の届出)
第12条 特定事業施設を設置しようとする者は、工事着手前30日までに次に掲げる事項を市長に届け出なければならない。当該届け出た事項を変更しようとするときもまた同様とする。
(1) 氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地並びにその代表者の氏名)
(2) 施設の設置場所
(3) 施設の種類、構造及び数量
(4) 汚水等の処理方法
(5) その他市長が必要と認める事項
2 市長が、新たに特定事業施設を定めた際、現に当該施設を設置している者は、当該施設について市長が規則で定めた日から起算して30日以内に前項に規定する届出を行わなければならない。
3 特定事業施設を設置している者が、当該施設を廃止したときは、廃止した日から起算して30日以内にその旨を届け出なければならない。
(指導、勧告又は命令)
第13条 市長は、前条第1項及び第2項に規定する届出があった場合において、当該特定事業施設の設置によって水質汚濁等の発生のおそれがあると認めるときは、その届出をした者に対し、その原因の除去又は減少のため必要な措置を講ずるよう施設の改善について指導し、勧告し、又は命令することができる。
(毒物及び劇物の使用)
第14条 毒物及び劇物を使用しようとする者は、法令の取扱い規定を厳守し、公共用水域を汚濁しないよう努めなければならない。
(油類の流出防止の措置)
第15条 何人も、油類の保管に関し、流出を防止するための適切な措置をしなければならない。
(排出水の地下浸透防止の措置)
第16条 工場等から排出水を排出する者は、有害物質を含む汚水等(これを処理したものを含む。)を地下に浸透させないよう適切な措置をしなければならない。
(地下水の保全及び地盤沈下の防止)
第17条 揚水設備(動力を用いて地下水を採取するための設備をいう。)を設けて地下水を採取しようとする者は、地下水を保全し、地下水の採取に伴う地盤の沈下を防止するため次の各号のいずれかに該当する場合には、申請書を提出して市長の許可を受けなければならない。許可を受けた事項の変更又は地下水を採取していた者が第3号に該当する行為に変更する場合も同様とする。
(1) 第28条第1項に規定する環境保全地区での地下水の採取
(3) 前2号に規定する区域を除いた区域で、規則で定める基準による地下水の採取
2 市長は、次のいずれにも適合すると認めるときでなければ、前項の許可をしてはならない。
(1) 申請に係る井戸から地下水を採取することにより中野市水道事業の給水の水源の保全、既設井戸の地下水の採取に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められること。
(2) 地下水を申請の用途に供することが必要かつ適当と認められること。
3 第1項の許可には、条件を付することができる。
4 第1項の規定により許可を受けた者は、井戸が完成したとき、井戸を廃止したとき又は井戸の掘削を中止したときは、市長に届け出なければならない。
5 第1項の規定にかかわらず、国又は地方公共団体が同項の規定に該当する行為をしようとするときは、同項の許可を要しない。ただし、あらかじめ市長に協議しなければならない。
(土壌の汚染の防止)
第18条 工場等を設置している者は、ばい煙、粉じん又は汚水で、人の健康に係る被害を生ずるおそれがある有害物質を含む物を排出し、これに起因する土壌の汚染を生じさせないようにしなければならない。
(騒音発生行為の禁止)
第19条 何人も、付近の生活環境を損なう音響機器音、楽器音、爆音器等によりみだりに騒音を発生させる行為をしてはならない。
(粉じん発生防止の措置)
第20条 何人も、付近の生活環境を損なうおがくず等により、粉じんの発生をさせないよう適切な措置をしなければならない。
第2節 排水処理浄化槽の設置等
(設置義務)
第21条 建築物等を建築しようとする者であって、当該建築物等の建築により生活排水又は事業排水を公共用水域に排出するもの(以下「建築者」という。)は、排水処理浄化槽を設置しなければならない。ただし、公共下水道事業区域又は農業集落排水事業区域の建築者及び浄化槽法(昭和58年法律第43号)第2条第1号に規定する浄化槽を設置する建築者は除くものとする。
(届出)
第22条 建築者は、工事着手前30日までに排水処理浄化槽の設置について市長に届け出なければならない。
2 建築者は、排水処理浄化槽の設置を完了したときは、設置を完了した日から起算して7日以内に市長に届け出なければならない。
(確認)
第23条 市長は、前条第2項の届出があったときは、速やかに現地調査を行い、排水処理浄化槽の設置について確認するものとする。
(勧告)
第24条 市長は、排水処理浄化槽の設置を怠った者に対して、その設置について必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(維持管理)
第25条 排水処理浄化槽の所有者又は占有者は、その機能が良好な状態で保持できるよう維持管理しなければならない。
(既存家屋等所有者の義務)
第26条 この条例施行の際、現に存する建築物等又は工事中の建築物等を所有する者(以下「既存家屋等所有者」という。)は、その生活排水又は事業排水が公共用水域の汚濁発生の原因とならないよう努めなければならない。
(勧告)
第27条 市長は、既存家屋等所有者が排出する生活排水若しくは事業排水が、公共用水域の汚濁発生の原因となり、又はそのおそれがあると認める場合には、当該既存家屋等所有者に対して排水処理浄化槽の設置等必要な措置を講ずるよう改善勧告を行うことができる。
第4章 環境の保全
(環境保全地区の指定)
第28条 市長は、環境を保全するために必要と認めた場合には、環境保全地区(以下「保全地区」という。)を指定するものとする。
2 市長は、前項の指定をしようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
(指定の告示)
第29条 市長は、前条の規定により保全地区を指定したときは、その旨を告示しなければならない。
(保全地区の変更及び解除)
第30条 市長は、指定した保全地区について必要があると認めるときは、その区域を変更し、又は指定を解除することができる。
2 第28条第2項及び前条の規定は、前項の規定による保全地区の区域の変更又は指定の解除について準用する。
(届出)
第31条 保全地区内において、次に掲げる行為をしようとする者は、当該行為開始前30日までにその旨を市長に届け出なければならない。
(1) 建築物等の新築、改築又は増築
(2) 宅地の造成、土地の開墾その他土地の形質の変更
(3) 立木の伐採
(4) 土石類の採取
(5) その他前各号に準ずる行為
2 前項の規定にかかわらず、非常災害のために必要な応急措置を行った者については、当該措置の完了後届出をすることができる。
3 保全地区が指定され、又はその区域が拡張された際、既に第1項各号に規定する行為に着手している者は、速やかに市長に第1項に規定する届出をしなければならない。
(勧告)
第32条 市長は、環境保全のために必要があると認めるときは、当該保全地区内において、届出を要する行為をしようとする者又は届出を要する行為をした者に対して、当該行為の中止又は改善等必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。
第5章 電波障害の防止
(建築物等に係る電波障害防止の措置)
第33条 建築物を建築しようとする者は、当該建築物等により電波障害を生ずるおそれがある場合には、あらかじめその影響が予想される区域の受信状況を調査し、障害防止の施設を設置する等必要な措置を講じなければならない。
2 建築物等の建築により電波障害が生じたときは、建築者は、速やかに障害を受けた区域に対し、その解消のために必要な措置を講じなければならない。
(開発行為に係る電波障害防止の措置)
第34条 開発行為(土地の区画、形質の変更をいう。以下同じ。)を行おうとする者は、当該開発行為に係る事業計画区域周辺の山岳、丘陵又は建築物等による電波障害を防止するため、あらかじめその事業計画区域内の実情を調査し、電波が良好に受信できるよう必要な措置を講じなければならない。
(勧告)
第35条 市長は、電波障害が発生した場合で建築物等を建築した者又は開発行為を行った者が前2条に規定する措置を怠ったと認める場合には、電波障害防止又は解消のために必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
第6章 環境保全及び公害防止協定等
(環境保全協定の締結)
第36条 保全地区内で開発行為をしようとする者又は開発行為をした者は、市長が環境破壊防止のために必要があると認めて要請したときは、環境破壊の防止に関する協定を締結しなければならない。
(公害防止協定の締結)
第37条 工場若しくは事業場を設置しようとする者又は設置した者は、市長が公害の防止のために必要があると認めたときは、公害の防止に関する協定を締結しなければならない。
(環境保全及び公害防止協定の履行の確保)
第38条 市長は、前2条の規定により締結した環境保全及び公害防止に関する協定に違反する行為をしようとする者及び行為をしたと認める者に対して、当該協定の履行の確保について必要な措置をとらなければならない。
第7章 雑則
(環境公害防止指導員)
第39条 市長は、環境保全等の効果的な推進を図るため、環境公害防止指導員を任用するものとする。
(立入検査等)
第40条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、関係職員を公害が発生するおそれがある場所又は保全地区内の土地に立ち入らせ、調査若しくは検査又は関係人に対する指示若しくは指導を行わせることができる。
2 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を関係人に提示しなければならない。
(報告)
第41条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、公害を発生させ、若しくは環境を破壊した者又はそれらのおそれのある者から必要な事項を報告させることができる。
(委任)
第42条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
第8章 罰則
(罰則)
第43条 第13条に規定する改善命令に従わなかった者は、10万円以下の罰金に処する。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金に処する。
(1) 第17条第1項の規定に違反した者
(2) 第17条第3項の規定により、許可に付された条件に違反した者
(3) 偽りその他不正の手段により、第17条第1項の許可を受けた者
3 次の各号のいずれかに該当する者は、3万円以下の罰金に処する。
(1) 第12条第1項若しくは第2項、第17条第4項、第22条第1項又は第31条に規定する届出を故意に怠った者
(2) 第40条第1項に規定する立入調査若しくは検査を拒み、妨げ又は忌避した者
(3) 第41条に規定する報告を故意に怠った者又は虚偽の報告をした者
(両罰規定)
第44条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人、その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに、合併前の中野市環境保全及び公害防止に関する条例(昭和51年中野市条例第8号。以下「合併前の条例」という。)の規定に基づきなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定に基づきなされたものとみなす。
3 施行日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお合併前の条例の例による。
附 則(平成20年9月19日条例第34号)
(施行期日)
1 この条例は、平成21年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に中野市自然保護条例(平成17年中野市条例第114号)の規定により受けている井戸の掘削の許可は、この条例による改正後の中野市環境保全及び公害防止に関する条例の相当規定により受けた許可とみなす。
3 この条例の施行の日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附 則(令和2年3月27日条例第10号)
この条例は、令和2年4月1日から施行する。ただし、第2条第1号の改正規定は、公布の日から施行する。