○名張市子ども条例
平成18年3月16日条例第14号
名張市子ども条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 子どもの大切な権利とその保障(第10条―第16条)
第3章 子どもの権利の普及(第17条・第18条)
第4章 子どもの健全育成のための施策(第19条―第22条)
第5章 子ども権利委員会(第23条)
第6章 雑則(第24条)
附則
子どもは、かけがえのない大切な宝です。そして、この子どもたちに、名張市の将来を託すことになります。
子どもは、日本国憲法や国際連合で採択された「児童の権利に関する条約」に明記されているように、基本的人権としての自由、平等の権利などとともに、生きる権利、育まれる権利、守られる権利、参加する権利、教育を受ける権利などを有しています。
しかし、子どもを取り巻く環境は大きく変化しており、本市においても、いじめ、児童虐待その他子どもの権利が侵害されるなど、子どもの健全育成の達成には多くの課題が残されています。
今こそ、わたしたち名張市民は、子どもの権利を最大限尊重し、子どもが自らの権利を行使できるよう保障するとともに、健全な育成を社会全体で支えるまちづくりに努めなければなりません。
ここに、わたしたち名張市民の宝である子どもたちが、健やかに育まれ、将来に夢と希望をもって力強く生きることができるよう、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、名張市で育つ子どもの最善の利益を尊重し、子どもの権利を保障するとともに、市、市民及び事業者が、子どもを社会の構成員として認め、それぞれの役割を明確にし、社会全体で子どもの成長を支えることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 子ども 名張市で育つ18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者をいう。
(2) 関係施設 児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する児童福祉施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校その他これに類する施設をいう。
(基本理念)
第3条 市、市民及び事業者は、子どもの権利を尊重し、その保障に努めるとともに、相互に協力し、子どもが安全に安心して暮らし、健全に育つまちづくりに努めなければならない。
(市の役割)
第4条 市は、基本理念にのっとり、子どもを取り巻く状況に充分配慮し、あらゆる施策を推進するものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、子どもが心豊かに育つ生活環境及び教育環境の向上を目指したまちづくりに努めなければならない。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、雇用する市民が養育する子ども及び雇用する子どもの権利の保障並びに健全な育成について市の施策に協力するとともに、子育てをしやすい環境の整備に努めなければならない。
(保護者の役割)
第7条 保護者は、その養育する子どもの権利の保障及び健全な育成に努めるべき第一義的な責任者であること並びに家庭が子どもの成長に大きな役割を果たすことを理解し、子どもの成長に合わせて適切な支援をしなければならない。
(関係施設の役割)
第8条 関係施設の設置者、管理者及び職員(以下「施設関係者」という。)は、市の施策に協力し、その施設において子どもが自ら考え、学べる環境の整備に努めるとともに、保護者その他地域の住民との連携を図り、子どもの自主的な活動が安全に行われるよう配慮しなければならない。
2 施設関係者は、子ども、保護者及び地域の住民に対して施設に関する情報を積極的に提供するとともに、その施設の運営等に関し意見を聴く機会を持つ等、開かれた施設の運営に努めなければならない。
(子どもの役割)
第9条 子どもは、自らの個性を大切にしながら、他人の権利を尊重し、家族、友達及び隣人を大切にし、思いやりとゆとりのある心を持って行動するよう努めなければならない。
第2章 子どもの大切な権利とその保障
(生きる権利)
第10条 子どもは、命が守られ、尊重され、安心して生きる権利を有する。
(育まれる権利)
第11条 子どもは、愛情と理解をもって、成長にふさわしい環境で育まれ、個性と能力の発達に合わせて、適切な指導及び教育を受ける権利を有するとともに、必要な休息、余暇又は遊びの機会を得る権利を有する。
(守られる権利)
第12条 子どもは、安心して育つために、虐待をはじめ、身体的及び精神的に有害な環境から保護される権利を有するとともに、プライバシーが守られ、名誉及び信用が傷つけられないことが保障される。
(参加する権利)
第13条 子どもは、自由に自己の表現や意見を表明する権利を有し、そのための十分な機会が得られ、また仲間づくり及び健全な集いの自由が認められる。
(権利侵害の禁止)
第14条 何人も、子どもの権利を侵害してはならない。
(権利の侵害等からの救済及びその回復)
第15条 市は、権利の侵害を受けた子どもに対する迅速かつ適切な救済及びその回復を図るための具体的な方策を確立しなければならない。
2 子どもの権利の侵害に関する相談を受けた者は、その解決に必要な者及び関係する機関等と連携し、救済及びその回復に努めなければならない。この場合において、加害者となる子どもがいる場合は、当該子どもに対しても適切な対応に努めるものとする。
3 市は、関係施設及び地域社会等と連携し、虐待、体罰及びいじめの防止並びにその早期発見のための具体的な施策を推進するものとする。
4 施設関係者は、子どもが虐待、体罰及びいじめに関し、安心して相談ができる仕組みの整備を図るとともに、その防止に関する研修等の実施に努めなければならない。
(権利の救済)
第16条 市長の附属機関として、子どもの権利救済委員会(以下「救済委員会」という。)を設置する。
2 何人も、子どもの権利に関する事項について、救済委員会に相談し、又は救済を申し立てることができる。
3 救済委員会は、前項による相談を受けたとき又は救済の申立てを受理したときは、規則の定めるところにより、事案の調査及び審議等を行うものとする。
4 救済委員会は、必要があると認めるときは、関係機関に対し説明を求め、又は書類その他の公開を求めることができる。
5 救済委員会は、必要があると認めるときは、当該申立人、親族等の関係者(以下「関係者」という。)に対し説明を求め、又は関係者の協力を得た上で、書類その他の公開を求めることができる。
6 救済委員会は、調査及び審議の結果、必要があると認めるときは、関係機関及び関係者に対して、助言又は是正の要望等を行うことができる。
7 救済委員会は、救済の申立てを受理した日から起算して90日以内に、前3項に基づく調査結果及び助言又は是正の要望等があった場合にはその内容を市長に報告するとともに、当該申立人に通知するよう努めなければならない。
8 救済委員会は、市長の諮問に応じ、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)第28条第1項の規定による調査の結果について調査審議する。
9 救済委員会は、学識経験を有する者のうちから市長が任命する委員3名以内で組織する。
10 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任は妨げない。
11 前各項に定めるもののほか、救済委員会に関し必要な事項は、規則で定める。
第3章 子どもの権利の普及
(子どもの権利の普及及び啓発)
第17条 市は、子どもの権利について広く市民に理解されるよう努めなければならない。
2 市は、家庭教育、幼児教育、学校教育及び社会教育の中で、子どもの権利についての学習等が推進されるよう必要な条件の整備に努めるとともに、市民及び事業者等が子どもの権利について自主的な活動に取り組むことに対し、必要な支援に努めなければならない。
3 市は、子どもの権利の保障に職務上関係のある者に対し、子どもの権利についての理解がより深まるよう研修等の機会を提供するものとする。
(子どもの権利を考える週間)
第18条 子どもの権利について市民の関心と理解を深めるとともに、本条例の目的の遂行を検証するため、名張市子どもの権利を考える週間(以下「子ども権利週間」という。)を設ける。
2 市は、子ども権利週間に際して、その趣旨にふさわしい事業を実施し、広く市民の参加を求めるものとする。
第4章 子どもの健全育成のための施策
(施策の基本方針)
第19条 市は、子どもの大切な権利が保障され、子どもが心身ともに健全に成長するよう、子どもを取り巻くあらゆる環境を整備することを施策の基本とする。
2 市は、子どもが自主的かつ健全にスポーツ、文化、読書等の活動をするための場所づくりに努めるものとする。
(基本計画)
第20条 市は、前条の基本方針に基づき、子どもの健全育成に関する基本計画(以下「基本計画」という。)を作成しなければならない。
2 市は、基本計画を作成するにあたっては、子どもから意見を聴くものとする。
3 基本計画は、策定後5年ごとに、推進状況等を勘案し、必要があると認めるときは、見直しをするものとする。
4 市長は、基本計画の推進状況を毎年、議会へ報告しなければならない。
(市の推進体制)
第21条 市は、子どもの健全育成の施策を総合的に実施するために必要な体制を整備しなければならない。
2 市長は、基本計画を計画的に推進するため、市長を本部長とする子ども健全育成推進本部を設置する。
(子ども会議)
第22条 市長は、市政について、子どもの意見を求めるため、子どもの自主的及び自発的な取組により運営される子ども会議を開催する。
2 子ども会議は、その主体である子どもが定める方法により、子どもの総意としての意見等をまとめ、市長その他の執行機関に提出することができる。
3 市長その他の執行機関は、前項の規定により提出された意見等を尊重しなければならない。
4 市長その他の執行機関は、子ども会議にあらゆる子どもの参加が促進され、その会議が円滑に運営されるよう必要な支援を行うものとする。
第5章 子ども権利委員会
(子ども権利委員会)
第23条 市長は、子どもに関する施策の充実を図り、子どもの権利の保障を推進するため、子ども権利委員会を置くものとする。
2 子ども権利委員会は、子どもの権利の保障にかかわる総合的かつ計画的な施策について、市長の諮問に応じるとともに、定期的に又は必要に応じて会議を開催し、子どもに関する施策における子どもの権利の保障の状況について調査審議する。
3 子ども権利委員会は、10人以内で構成するものとし、その委員は、人権、教育、福祉等子どもの権利にかかわる分野における学識経験者及び市長が必要と認める者とし、市長が委嘱する。
4 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任は妨げない。
5 子ども権利委員会は、必要があると認めるときは、委員以外の子どもの権利に関係する者に委員会への出席を求め、子どもの権利の保障について意見を聴くことができる。
6 市長その他の執行機関は、子ども権利委員会の答申又は調査審議の結果を尊重し、必要な措置を講じなければならない。
7 子ども権利委員会の組織及び運営に関して必要なその他の事項は、市長が別に定める。
第6章 雑則
(委任)
第24条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。
附 則
この条例は、平成19年1月1日から施行する。ただし、第20条の規定は、平成19年4月1日から施行する。
附 則(平成26年12月25日条例第30号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(令和6年3月28日条例第11号)
この条例は、公布の日から施行し、改正後の第20条第3項の規定は、同日以後に策定する基本計画について適用する。