○障がいのある人もない人も共に暮らしやすい宮崎県づくり条例
平成28年3月23日条例第23号
障がいのある人もない人も共に暮らしやすい宮崎県づくり条例をここに公布する。
障がいのある人もない人も共に暮らしやすい宮崎県づくり条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 障がいのある人の権利利益の擁護
第1節 不利益な取扱いの禁止等(第7条・第8条)
第2節 不利益な取扱い等に関する相談(第9条・第10条)
第3節 不利益な取扱いに該当する事案の解決のための仕組み(第11条―第15条)
第3章 共生社会の実現に向けた施策の推進等(第16条―第19条)
第4章 雑則(第20条・第21条)
附則
全ての県民は、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人であり、障がいの有無によって分け隔てられることなく、互いに人格と個性を尊重し合いながら、共に生きる社会を実現する必要がある。
その社会の実現のためには、日常生活又は社会生活の様々な場において、障がいのある人の活動を制限し、社会への参加を制約している物理的な障壁、障がいのある人に対する誤解や偏見といった意識上の障壁等を取り除くための社会的な配慮が一層求められている。
また、今後少子高齢化が進み、地域の担い手が減少していく中、本県が持続可能な社会を構築していくためには、障がいのある人もない人もそれぞれが地域における役割を担い、共に生きる社会づくりを進めていく必要がある。
このような状況を踏まえ、人情味にあふれ、温もりのある県民性のもと、一人ひとりが思いやりの心を持って、障がいを理由とする差別的言動その他の障がいのある人の権利利益を侵害する行為をなくすとともに、全ての県民が障がいへの理解を深めるための取組を推進していかなければならない。
ここに、私たちは、障がいのある人もない人も身近な地域で共に支え合いながら、心豊かに生活できる宮崎県づくりを目指して、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、障がい及び障がいのある人に対する県民の理解を深めること及び障がいを理由とする差別を解消することに関し、基本理念を定め、県の責務並びに県民及び事業者の役割を明らかにし、障がいを理由とする不利益な取扱いの禁止及び差別の解消に関する施策の基本となる事項を定めることにより、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)と相まって、障がいの有無によって分け隔てられることなく、互いに人格と個性を尊重し合いながら、共に生きる社会(以下「共生社会」という。)の実現に寄与することを目的とする。
一部改正〔令和6年条例17号〕
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 障がいのある人 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がい(以下「障がい」と総称する。)がある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
(2) 社会的障壁 障がいのある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(3) 障がいを理由とする差別 障がいのある人に対し、正当な理由なく障がい又は障がいに関連する事由を理由として不利益な取扱いをすること又は社会的障壁の除去の実施について、それに伴う負担が過重でない場合に、必要かつ合理的な配慮をしないことをいう。
(基本理念)
第3条 共生社会の実現は、次の各号に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。
(1) 全ての県民は、障がいの有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有する個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること。
(2) 全ての障がいのある人は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。
(3) 全ての障がいのある人は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。
(4) 全ての障がいのある人は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。
(5) 全ての障がいのある人は、障がいがあることに加え、女性であること等性別、年齢その他の要因が複合することにより特に困難な状況に置かれる場合においては、その状況に応じた配慮がなされること。
(6) 障がいを理由とする差別の多くが障がい及び障がいのある人に対する誤解、偏見その他の理解の不足から生じていること及び誰もが障がいを有することとなる可能性があることを踏まえ、障がいを理由とする差別の解消について、障がいの有無にかかわらず、県民一人ひとりが自主的に取り組む環境が醸成され、障がい及び障がいのある人に対する理解が深められること。
(県の責務)
第4条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障がい及び障がいのある人に対する県民の理解を深め、障がいを理由とする差別の解消を推進するために必要な施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
(県と市町村の連携)
第5条 県は、障がい及び障がいのある人に対する住民の理解を深め、障がいを理由とする差別の解消を推進するために必要な施策を実施する市町村に対し、情報の提供、技術的な助言その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 県は、前条に規定する施策について、市町村に対し必要な協力を求めることができる。
(県民等の役割)
第6条 県民及び事業者は、基本理念にのっとり、障がい及び障がいのある人に対する理解を深めるとともに、障がいのある人が社会的障壁を除去するために必要な支援を周囲に気兼ねなく求めることができる社会環境の実現に寄与するよう努めるとともに、県及び市町村が実施する障がいを理由とする差別の解消を推進するために必要な施策に協力するよう努めるものとする。
2 障がいのある人は、社会的障壁を除去するために必要な支援について、可能な範囲内において周囲に伝えることにより、障がいに対する理解の促進が図られるよう努めるものとする。
第2章 障がいのある人の権利利益の擁護
第1節 不利益な取扱いの禁止等
(不利益な取扱いの禁止)
第7条 何人も、障がいのある人に対して、次の各号に掲げるものその他の障がいを理由とする不利益な取扱いをすることにより、障がいのある人の権利利益を侵害してはならない。
(1) 福祉サービスを提供する場合において、障がいのある人の生命又は身体の保護のためやむを得ないと認められるときその他の合理的な理由があるときを除き、福祉サービスの提供を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を付すこと。
(2) 医療を提供する場合において、障がいのある人の生命又は身体の保護のためやむを得ないと認められるときその他の合理的な理由があるときを除き、医療の提供を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を付すこと。
(3) 商品の販売又はサービスの提供を行う場合において、他の者に対するサービスの質が著しく損なわれるおそれがあるときその他の合理的な理由があるときを除き、商品の販売若しくはサービスの提供を拒み、若しくは制限し、又はこれらに条件を付すこと。
(4) 労働者の募集及び採用を行う場合において、合理的な配慮に係る措置を講じてもなお従事させようとする業務を適切に遂行することができないときその他の合理的な理由があるときを除き、募集若しくは採用を行わず、若しくは制限し、又はこれらに条件を付すこと。
(5) 障がいのある人を雇用する場合において、合理的な配慮に係る措置を講じてもなお従事させようとする業務を適切に遂行することができないときその他の合理的な理由があるときを除き、賃金その他の労働条件、配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格、教育訓練及び福利厚生について、不利益な取扱いをすること。
(6) 教育を行う場合において、次に掲げる不利益な取扱いをすること。
ア 障がいのある人の年齢、能力及び特性に応じた十分な教育が受けられるようにするために必要と認められる適切な指導又は支援を行わないこと。
イ 障がいのある人及びその保護者(学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条に規定する保護者をいう。)への意見聴取、必要な説明及び情報提供を行わず、又はこれらの者の意見を十分に尊重せずに、障がいのある人が就学すべき学校(同法第1条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校(前期課程に限る。)又は特別支援学校(小学部及び中学部に限る。)をいう。)を決定すること。
(7) 不特定かつ多数の者が利用する建物その他の施設を障がいのある人の利用に供する場合において、建物その他の施設の構造上又は障がいのある人の生命若しくは身体の保護のためやむを得ないと認められるときその他の合理的な理由があるときを除き、建物その他の施設の利用を拒み、若しくは制限し、又はこれらに条件を付すこと。
(8) 公共交通機関を障がいのある人の利用に供する場合において、旅客施設(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第2条第6号に規定する旅客施設をいう。)若しくは車両等(同条第8号に規定する車両等をいう。)の構造上又は障がいのある人の生命若しくは身体の保護のためやむを得ないと認められるときその他の合理的な理由があるときを除き、公共交通機関の利用を拒み、若しくは制限し、又はこれらに条件を付すこと。
(9) 不動産の売買、交換、賃貸借その他の不動産の取引(以下「不動産の取引」という。)を行う場合において、不動産の取引に係る建物の構造上やむを得ないと認められるときその他の合理的な理由があるときを除き、不動産の取引を拒み、若しくは制限し、又はこれらに条件を付すこと。
(10) 不特定かつ多数の者に対して情報を提供する場合において、当該情報を提供することに著しい支障があると認められるときその他の合理的な理由があるときを除き、情報の提供を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を付すこと。
(11) 不特定かつ多数の者から情報を受領する場合において、当該情報を受領することに著しい支障があると認められるときその他の合理的な理由があるときを除き、情報の受領を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を付すこと。
一部改正〔令和3年条例11号〕
(社会的障壁の除去のための合理的な配慮)
第8条 県は、その事務又は事業を行うに当たり、障がいのある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(障がいのある人の家族その他の関係者が本人を補佐して行う意思の表明を含む。次項において同じ。)があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がいのある人の権利利益を侵害することとならないよう、本人の性別、年齢及び障がいの状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
2 事業者は、その事業を行うに当たり、障がいのある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がいのある人の権利利益を侵害することとならないよう、本人の性別、年齢及び障がいの状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
一部改正〔令和6年条例17号〕
第2節 不利益な取扱い等に関する相談
(相談への対応)
第9条 何人も、県に対し、障がいを理由とする差別に関する相談をすることができる。
2 県は、前項の規定により相談を受けたときは、その内容に応じて次に掲げる対応をするものとする。
(1) 相談者に対して、必要な助言及び情報提供を行うこと。
(2) 相談に係る関係者間の必要な調整を行うこと。
(3) 関係行政機関への必要な通告、通報その他通知を行うこと。
(相談員の配置等)
第10条 知事は、前条第2項各号に掲げる対応をする者として、相談員を置くことができる。
2 相談員は、業務上知り得た秘密を漏らしてはならない。相談員でなくなった後も同様とする。
第3節 不利益な取扱いに該当する事案の解決のための仕組み
(宮崎県障がい者差別解消支援協議会)
第11条 法第17条第1項に規定する障害者差別解消支援地域協議会として、宮崎県障がい者差別解消支援協議会(以下「協議会」という。)を設置する。
2 協議会は、次の各号に掲げる事務を行うものとする。
(1) 障がいを理由とする差別の解消の推進に関する事項に関し、調査審議すること。
(2) 第7条各号に掲げる障がいを理由とする不利益な取扱いに該当する事案又は第8条第1項若しくは第2項の規定による合理的な配慮の提供義務の違反に該当する事案(以下「対象事案」という。)について、助言又はあっせんを行うこと。
3 協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。
一部改正〔令和6年条例17号〕
(助言又はあっせんの申立て)
第12条 障がいのある人は、自己に対する対象事案の解決を図るため、知事に対し、協議会による助言又はあっせんが必要である旨の申立てをすることができる。
2 障がいのある人の家族その他の関係者は、本人に代わって前項の規定による申立てをすることができる。ただし、当該申立てをすることが明らかに本人の意に反すると認められる場合は、この限りでない。
3 前2項の規定による申立ては、第9条第2項に規定する相談への対応を経た後でなければすることができない。
(助言又はあっせん)
第13条 知事は、前条第1項又は第2項の規定による申立てがあった場合は、協議会に対し、助言又はあっせんを求めることができる。
2 協議会は、前項の規定による知事からの求めがあった場合は、助言又はあっせんを行うものとする。ただし、助言若しくはあっせんを行うことが適当でないと認められるとき、又は助言若しくはあっせんを行うことが対象事案の解決に資すると認められないときは、この限りでない。
3 協議会は、助言又はあっせんのために必要があると認めるときは、対象事案の関係者に対し、助言又はあっせんを行うために必要な限度において、必要な資料の提出又は説明を求めることができる。
4 協議会は、第2項ただし書の規定により助言又はあっせんを行わないこととしたとき、あっせんが終了したとき、又はあっせんを打ち切ったときは、その旨を知事に報告するものとする。
(勧告)
第14条 協議会は、前条第2項の規定により助言又はあっせんを行った場合において、対象事案の関係当事者が、正当な理由なく、あっせん案を受諾せず、又はこれを受諾したにもかかわらず、あっせんに従わないときは、知事に対して、当該関係当事者が必要な措置をとるように勧告することを求めることができる。
2 知事は、前項の規定による協議会からの求めがあった場合において、必要があると認めるときは、対象事案の関係当事者に対して、必要な措置をとるよう勧告することができる。
一部改正〔令和6年条例17号〕
(公表)
第15条 知事は、前条第2項の規定による勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
2 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係る者に対してその旨を通知し、その者又はその代理人の出席を求め、意見を述べる機会を与えるものとする。
第3章 共生社会の実現に向けた施策の推進等
(啓発活動)
第16条 県は、障がい及び障がいのある人に対する県民の理解を深め、障がいを理由とする差別を解消することの重要性に関する県民の理解の増進が図られるよう、障がい及び障がいのある人に関する知識の普及啓発のための広報活動、障がいのある人とない人との交流の機会の提供その他必要な施策を講ずるものとする。
(教育の推進)
第17条 県は、学校、家庭、地域社会等において、子どもが障がい及び障がいのある人に関する正しい知識を持つための教育が行われるよう努めるものとする。
(文化芸術活動等の推進)
第18条 県は、障がいのある人が文化芸術活動、スポーツ等(以下「文化芸術活動等」という。)に参加することができる機会を確保するとともに、障がいのある人とない人が共に文化芸術活動等に参加することができる機会を提供することによって、その相互理解が促進されるよう努めるものとする。
(表彰)
第19条 知事は、共生社会の実現に向けた取組に関し特に顕著な功績があった者に対し、表彰を行うものとする。
第4章 雑則
(財政上の措置)
第20条 県は、障がい及び障がいのある人に対する県民の理解を深め、障がいを理由とする差別の解消に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、知事が別に定める。
附 則
この条例は、平成28年4月1日から施行する。
附 則(令和3年3月24日条例第11号)
この条例は、令和3年4月1日から施行する。ただし、「又は」を「若しくは」に改める部分は、公布の日から施行する。
附 則(令和6年3月22日条例第17号)
この条例は、令和6年4月1日から施行する。