○宮崎県水と緑の森林づくり条例
平成17年12月27日条例第82号
宮崎県水と緑の森林づくり条例をここに公布する。
宮崎県水と緑の森林づくり条例
宮崎県の森林は、県土の4分の3を占め、世界的にも貴重なしい、かし等の照葉樹林をはじめ、飫肥林業や耳川林業に代表されるすぎ林、海岸線のまつ林など、自然豊かな緑の県土を形成している。
この豊かな森林は、命の源である清らかな水を貯え、川や海を育み、自然災害から県民の生命、財産を守り、多様な生態系を保全し、木材等の林産物を供給するなど、私たちの暮らしに恵みと安らぎを与えるかけがえのない存在となっている。
その一方で、森林を支えてきた山村地域における過疎化や高齢化の進行、生活様式の変化などにより、人と森林とのかかわりが希薄化し、手入れの行き届かない森林が増えつつある。
このままでは、森林の有する多面的機能の発揮に支障を来し、県民の安全で豊かな生活に深刻な影響を及ぼすことが危惧される状況にある。
地球温暖化等の様々な環境問題への取組が求められている今日、森林を県民共有の財産としてとらえ、森林の有する多面的機能の持続的な発揮を重視した新たな森林づくりの展開が必要となっている。
このため、森林から様々な恵みを受けている私たちの総意として、主体的な参画や適切な役割分担と協働による森林づくりを進め、豊かな水と緑に恵まれた郷土を後世に引き継ぎ、持続可能な社会づくりに貢献していくことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、森林づくりについて、基本理念を定め、並びに県、県民、森林所有者及び事業者の責務を明らかにするとともに、県の施策の基本となる事項を定めて、森林づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるようにし、もって豊かな水と緑に恵まれた県土の形成及び県民の安全で豊かな生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 森林づくり 森林を守り、又は育てることをいう。
(2) 森林の有する多面的機能 県土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、木材等林産物の供給その他森林の有する多面にわたる機能をいう。
(3) 森林所有者 県内に所在する森林の所有者(国及び市町村を除く。)をいう。
(4) 森林資源の循環利用 森林を環境に配慮しつつ適正に整備し、再生産可能な資源として有効に利用することをいう。
(基本理念)
第3条 森林づくりは、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう、長期的な展望に立ち、地域の特性に応じて推進されなければならない。
2 森林づくりは、県並びに県民、森林所有者及び事業者(以下「県民等」という。)の適切な役割分担並びに協働により推進されなければならない。
3 森林づくりは、森林がその多面的機能により広く県民等に恵みをもたらしていることにかんがみ、県民等の主体的な参画により推進されなければならない。
4 森林づくりは、これを支える人材の育成を図ることにより推進されなければならない。
5 森林づくりは、森林資源の循環利用を図ることにより推進されなければならない。
(県の責務)
第4条 県は、前条に定める森林づくりについての基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、森林づくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び推進するものとする。
2 県は、森林づくりに関する施策の推進に当たっては、県民等との協働に努めるとともに、国及び市町村との緊密な連携を図るものとする。
(県民の責務)
第5条 県民は、基本理念に基づき、森林の有する多面的機能による恵みを享受していることを理解し、森林づくりに関する活動に積極的に参加するよう努めるものとする。
2 県民は、県が推進する森林づくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
(森林所有者の責務)
第6条 森林所有者は、基本理念に基づき、その所有する森林について、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう、適正な森林の整備及び保全に努めるものとする。
2 森林所有者は、県が推進する森林づくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念に基づき、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう配慮するものとする。
2 事業者は、県が推進する森林づくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
(森林の整備及び保全に関する指針の策定)
第8条 知事は、地域の自然的条件、社会的条件等を踏まえ、森林の整備及び保全に関する基本的な方針及び具体的な手法等を定めた指針を策定するものとする。
(森林の整備及び保全の促進)
第9条 県は、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう、その森林が果たすべき役割に応じた適切な森林施業(造林、保育、伐採等の行為をいう。以下同じ。)の促進、保安林の指定その他森林の整備及び保全に必要な措置を講ずるものとする。
(流域を単位とした森林づくりの促進)
第10条 県は、流域を単位とした森林づくりを促進するため、上流域と下流域の住民相互の交流及び連携に対する支援その他必要な措置を講ずるものとする。
(県民等の主体的な参画の促進)
第11条 県は、森林づくりに関する県民等の意識の高揚を図るため、情報の提供、普及啓発その他必要な措置を講ずるものとする。
2 県は、森林づくりに関する活動への県民等の主体的な参画を促進するため、県民等又はその組織する団体がこの条例の趣旨に基づき行う森林づくりに関する活動に対して、必要な支援を行うものとする。
(森林づくり推進期間)
第12条 県は、森林の果たしている大切な役割について県民等の理解と関心を深め、県民等による森林づくりに関する活動を促進するため、森林づくり推進期間を設ける。
2 森林づくり推進期間は、10月1日から11月30日までとする。
(協定に基づく森林づくりの促進)
第13条 県は、森林の適正な整備、保全等が円滑かつ確実に図られるよう、森林所有者と森林づくりを希望する団体等による協定の締結を促進するため、情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。
2 県は、前項の協定に基づく森林づくりに関する活動を支援するため、技術指導、助言その他必要な措置を講ずるものとする。
(森林づくり担い手の育成)
第14条 県は、地域における森林整備の中核的担い手となる森林組合等の林業事業体の育成を図るため、組織体制の充実、人材の育成その他能力向上のための取組に対し、必要な支援を行うものとする。
2 県は、森林整備の担い手となる林業後継者、林業技能者及び森林づくりに関する活動の指導者の確保及び育成に必要な措置を講ずるものとする。
(森林環境教育の推進)
第15条 県は、県民等の森林に対する理解と関心を深め、森林づくりに関する活動への参加を促進するため、体験活動の場の整備、指導者の養成、情報の提供その他森林環境教育の推進に必要な措置を講ずるものとする。
(森林資源の循環利用の促進)
第16条 県は、森林資源の循環利用を促進するため、適正な森林の整備、県産材の需要の拡大、利用技術の開発等に必要な措置を講ずるものとする。
(県営林の活用)
第17条 県は、県が管理運営する県営林において、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう、適切かつ計画的な森林施業を行うものとする。
2 県は、県民等の森林に対する理解及び森林づくりに関する活動を促進するため、森林環境教育、ボランティア活動、保健休養等の場として県営林が利用されるよう配慮するものとする。
(実施状況の公表等)
第18条 知事は、森林づくりに関する県民等の意向の把握に努めるとともに、森林づくりに関する施策の実施状況を毎年公表するものとする。
(財政上の措置)
第19条 県は、森林づくりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附 則
この条例は、平成18年4月1日から施行する。