条文目次 このページを閉じる


○京都市京町家の保全及び継承に関する条例
平成29年11月16日条例第12号
京都市京町家の保全及び継承に関する条例
目次
前文
第1章 総則(第1条~第10条)
第2章 京町家の保全及び継承に関する基本的施策
第1節 京町家保全・継承推進計画(第11条)
第2節 本市による京町家の保全及び継承のための施策(第12条・第13条)
第3節 事業者による京町家の保全及び継承のための取組(第14条)
第3章 京町家の保全及び継承に係る協議(第15条)
第4章 京町家保全重点取組地区の指定(第16条)
第5章 重要京町家の指定等(第17条・第18条)
第6章 京町家の解体に係る届出等(第19条~第21条)
第7章 京町家保全・継承審議会(第22条~第26条)
第8章 雑則(第27条・第28条)
第9章 罰則(第29条)
附則
ここ京都では、悠久の歴史の中で、趣のある美しい町並みが形成されるとともに、茶道や華道に代表される伝統文化や、四季折々の自然と共生する都市居住文化など、個性豊かで洗練された文化がはぐくまれてきた。京町家は、このような先人から受け継いできた本市固有の景観や文化を象徴するものであるとともに、今日においても、まちの暮らしの基盤として、また、様々な社会的・創造的活動の拠点として、京都の魅力あるまちづくりの貴重な資源となっている。
一方で、戦後、社会システムが変容し、また、経済効率性を優先する価値観が浸透していく中で、多くの京町家が取り壊され、失われてきた。現在では、京都文化への関心や環境意識の高まりなどを背景に、京町家の有する多様な価値が見直されつつあるとともに、市民をはじめとした多様な主体により、京町家の保全・再生を目的とした取組が行われ、成果を挙げているが、それでもなお、京町家の滅失が進行し続けている。これは、京都のアイデンティティを脅かす、重大な危機である。
このような状況において、京都がこれからも世界の人々を魅了する都市であり続けるためには、その貴重な財産である京町家を保全し、これを将来の世代に受け継いでいく必要がある。
ここに、本市は、京町家の所有者その他多様な主体との協働の下に、京町家の保全及び継承を推進することにより、京都の伝統的な町並みや暮らしの文化を守り育て、もって、環境と調和した持続可能な社会の実現に寄与することを目指して、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、京町家の保全及び継承に関し、その基本理念を定め、並びに本市、京町家の所有者(以下単に「所有者」という。)、管理者等及び事業者の責務並びに市民等、自治組織及び市民活動団体等の役割を明らかにするとともに、京町家の保全及び継承に関する施策その他必要な事項を定めることにより、京町家を保全し、及び将来の世代に継承することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 京町家 建築基準法の施行の際現に存し、又はその際現に建築、修繕若しくは模様替えの工事中であった木造の建築物であって、伝統的な構造及び都市生活の中から生み出された形態又は意匠(平入りの屋根その他の形態又は意匠で別に定めるものをいう。)を有するものをいう。
(2) 管理者等 京町家の管理者又は占有者をいう。
(3) 事業者 本市の区域内において不動産業又は建設業を営む者をいう。
(4) 市民等 市民及び事業者(前号に規定する事業者を除く。)をいう。
(5) 自治組織 自治会、町内会その他の地域住民の組織する団体をいう。
(6) 市民活動団体等 京町家の保全及び継承に関わる市民活動団体(ボランティア活動その他の公益的な活動を行うことを目的として市民が組織する団体をいう。)その他の団体をいう。
(基本理念)
第3条 京町家の保全及び継承は、京町家が本市固有の趣のある町並み及び個性豊かで洗練された生活文化を象徴するものであり、魅力あるまちづくりに欠くことのできない市民の貴重な財産であることに鑑み、所有者その他多様な主体の連携及び協力の下に、推進されなければならない。
(本市の責務)
第4条 本市は、基本理念にのっとり、京町家の保全及び継承を総合的に推進するとともに、所有者その他多様な主体の連携及び協力を促進しなければならない。
(所有者等の責務)
第5条 所有者は、基本理念にのっとり、その所有する京町家を保全し、及び継承するよう努めなければならない。
2 管理者等は、基本理念にのっとり、その管理し、又は占有する京町家を適切に維持管理するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、京町家の保全及び継承に協力するとともに、その事業活動を行うに当たっては、京町家の活用及び流通を促進し、並びに町並みの景観の保全に配慮するよう努めなければならない。
(市民等の役割)
第7条 市民等は、基本理念にのっとり、京町家の保全及び継承について理解を深めるとともに、これに協力するものとする。
(自治組織及び市民活動団体等の役割)
第8条 自治組織及び市民活動団体等は、基本理念にのっとり、所有者及び管理者等の支援その他京町家の保全及び継承の推進に積極的な役割を果たすものとする。
(相互の協力)
第9条 本市、所有者、管理者等、事業者、市民等、自治組織及び市民活動団体等は、この条例の目的を達成するため、相互に、その果たす役割を理解し、協力するものとする。
(財政上の措置)
第10条 本市は、京町家の保全及び継承に関する施策を実施するために必要な財政上の措置を講じるよう努めなければならない。
第2章 京町家の保全及び継承に関する基本的施策
第1節 京町家保全・継承推進計画
第11条 市長は、京町家の保全及び継承に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、京町家の保全及び継承の推進に関する計画(以下「京町家保全・継承推進計画」という。)を定めなければならない。
2 京町家保全・継承推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 京町家の保全及び継承に関する目標
(2) 京町家の保全及び継承に関する取組
(3) その他京町家の保全及び継承に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項
3 市長は、京町家保全・継承推進計画を定めるに当たっては、第22条に規定する審議会の意見を聴くとともに、所有者その他多様な主体の意見を適切に反映するために必要な措置を講じなければならない。
4 市長は、京町家保全・継承推進計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、京町家保全・継承推進計画の変更について準用する。
第2節 本市による京町家の保全及び継承のための施策
(基本的施策)
第12条 本市は、京町家の保全及び継承を図るため、次に掲げる施策を重点的かつ効果的に行わなければならない。
(1) 京町家の保全及び継承に関する広報、啓発及び顕彰
(2) 京町家の維持管理、修繕及び改修の支援
(3) 京町家の活用を促進するために必要な環境の整備その他京町家の継承に関する施策
2 本市は、京町家の修繕及び改修に関する高度な技術の継承を推進するとともに、当該技術を有する者の後継者を育成するために必要な措置を講じなければならない。
3 本市は、自治組織及び市民活動団体等と連携して京町家の保全及び継承に取り組むとともに、自治組織及び市民活動団体等が行う京町家の保全及び継承に関する取組を促進するために必要な措置を講じなければならない。
4 本市は、所有者その他多様な主体の間の相互理解が増進され、協力が推進されるよう、情報の提供、交流の促進その他の必要な措置を積極的に講じるものとする。
(京町家に関するデータベースの整備等)
第13条 本市は、京町家に関するデータベースの整備その他京町家に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講じるよう努めるものとする。
第3節 事業者による京町家の保全及び継承のための取組
第14条 事業者(不動産業を営む者に限る。)は、所有者及び京町家を購入し、又は賃借しようとする者に対し、京町家の保全及び継承に関する情報の提供及び助言を行うよう努めなければならない。
2 建築物その他の工作物を解体する建設工事(以下「解体工事」という。)を行う事業者(以下「解体工事業者」という。)は、京町家を解体しようとする者に対し、京町家の保全及び継承に関する情報を提供するよう努めなければならない。
第3章 京町家の保全及び継承に係る協議
第15条 所有者は、別に定めるところにより、市長に対し、その所有する京町家の保全及び継承に係る協議を求めることができる。
2 市長は、前項の規定による協議の申し出があったときは、当該申し出をした者に対し、情報の提供、助言その他当該京町家を保全し、及び継承するために必要な支援を行うものとする。この場合において、市長は、事業者及び市民活動団体等に対して、当該京町家に関する情報を提供し、かつ、必要な協力を要請することができる。
第4章 京町家保全重点取組地区の指定
第16条 市長は、京町家が集積しており、趣のある町並み又は個性豊かで洗練された生活文化の保全及び継承を図るうえで特に重要な地域を、京町家保全重点取組地区として指定することができる。
2 市長は、京町家保全重点取組地区を指定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、第22条に規定する審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、京町家保全重点取組地区を指定し、又は変更したときは、これを告示しなければならない。
4 京町家保全重点取組地区の指定及び変更は、前項の規定による告示によりその効力を生じる。
第5章 重要京町家の指定等
(重要京町家の指定)
第17条 市長は、趣のある町並み又は個性豊かで洗練された生活文化の保全及び継承を図るうえで特に重要な京町家を、重要京町家として指定することができる。
2 前条第2項の規定は、前項の指定について準用する。
3 市長は、重要京町家を指定したときは、当該重要京町家の所在地を告示するとともに、その所有者に対して通知しなければならない。
4 前条第4項の規定は、第1項の指定に係る告示について準用する。
(所有者の変更)
第18条 重要京町家の所有者が変更したときは、新たに所有者となった者は、別に定めるところにより、遅滞なくその旨を市長に届け出なければならない。
第6章 京町家の解体に係る届出等
(京町家の解体に係る届出)
第19条 京町家(京町家保全重点取組地区に存する京町家及び重要京町家に限る。以下この条(第6項を除く。)及び次条において同じ。)の所有者は、その所有する京町家を解体しようとするときは、当該解体に着手する日(以下「解体着手日」という。)の1年前までに、別に定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
(1) 他の法令(条例を含む。)の規定による当該京町家の解体を内容とする命令に基づく措置をとるとき。
(2) 災害その他やむを得ない理由により解体着手日の1年前までに届け出ることができないことについて、別に定めるところにより、市長の承認を受けたとき。
(3) 当該京町家について、第16条第1項又は第17条第1項の規定による指定の日前に第6項の規定による届出をしたとき。
2 市長は、前項本文の規定による届出があったときは、当該届出をした者の意思その他の事情を考慮しつつ、当該届出をした者に対する情報の提供、助言その他当該京町家を保全し、及び継承するために必要な措置を講じるものとする。
3 前項の規定は、第1項第2号の規定による承認をしたときについて準用する。この場合において、前項中「当該届出をした者」とあるのは「当該承認を受けた者」と読み替えるものとする。
4 第1項本文の規定による届出をした者は、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、当該届出に係る解体着手日を繰り上げることができない。
(1) 当該届出の日から1年を経過したとき。
(2) 次のいずれかに該当する場合において、別に定めるところにより、市長の承認を受けたとき。
ア 当該届出に係る京町家を保全し、及び継承することが客観的に困難である場合
イ 当該届出に係る京町家について、第15条の規定による協議を相当期間にわたり継続して行っている場合
ウ その他ア又はイに準じる事由がある場合
5 前項(第1号を除く。)の規定は、第1項第2号の規定による承認を受けた者について準用する。
6 京町家(京町家保全重点取組地区に存する京町家及び重要京町家を除く。以下この項において同じ。)の所有者は、その所有する京町家を解体しようとするときは、あらかじめ、別に定めるところにより、その旨を市長に届け出るよう努めなければならない。
7 第2項の規定は、前項の規定による届出があった場合について準用する。
(解体工事業者の確認等)
第20条 解体工事業者は、所有者から京町家の解体工事を請け負おうとするときは、あらかじめ、当該所有者に対し、前条第1項本文の規定による届出をしていることを確認しなければならない。
2 解体工事業者は、京町家の解体工事に係る請負契約(下請契約を除く。)を締結するときは、別に定めるところにより、その旨を市長に通知しなければならない。
(解体工事業者に対する勧告及び公表)
第21条 市長は、解体工事業者が前条の規定に違反した場合(当該違反に係る京町家が重要京町家である場合に限る。)において、京町家の保全及び継承に著しい支障が生じるおそれがあると認めるときは、その者に対し、必要な勧告をすることができる。
2 市長は、前項の勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
3 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ当該公表の対象となる者にその理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
第7章 京町家保全・継承審議会
(審議会)
第22条 京町家保全・継承推進計画の策定並びに京町家保全重点取組地区及び重要京町家の指定その他この条例の施行に関する重要事項について、市長の諮問に応じ、調査し、及び審議するとともに、当該事項について市長に対し、意見を述べるため、京都市京町家保全・継承審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(審議会の組織)
第23条 審議会は、委員20人以内をもって組織する。
2 委員は、学識経験のある者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱し、又は任命する。
(委員の任期)
第24条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
(秘密を守る義務)
第25条 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(部会)
第26条 審議会は、特定の事項を調査させ、及び審議させるため必要があると認めるときは、部会を置くことができる。
2 審議会は、その定めるところにより、部会の決議をもって審議会の決議とすることができる。
第8章 雑則
(調査、報告の徴収等)
第27条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、京町家の所在並びに所有者及び管理者等(以下「所有者等」という。)若しくはその連絡先を確知し、又は京町家の解体を把握するために必要な調査を行うことができる。
2 市長は、京町家の解体を確知するために必要があると認めるときは、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律に基づく届出に関する情報その他の京町家の保全及び継承に関する事務以外の事務のために利用する目的で保有する情報であって京町家の解体を確知するために有用なものについては、この条例の施行に必要な限度において、自ら利用することができる。
3 市長は、この条例の施行に必要な限度において、所有者等又は解体工事業者に対し、必要な報告を求めることができる。
(委任)
第28条 この条例において別に定めることとされている事項及びこの条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
第9章 罰則
(過料)
第29条 次の各号のいずれかに該当する者は、50,000円以下の過料に処する。
(1) 第19条第1項本文の規定に違反して、届出をしないで、又は虚偽の届出をして、重要京町家を解体した者
(2) 第19条第4項(同条第5項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、重要京町家を解体した者
附 則 抄
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第3章、第6章及び第9章の規定は、平成30年5月1日から施行する。



このページの先頭へ 条文目次 このページを閉じる