○紀北町生活環境の保全に関する条例
平成31年3月20日条例第1号
紀北町生活環境の保全に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、
「自然と共生の町」宣言の理念に基づき、自然と良好な環境を守るための措置その他環境保全に必要な事項を定めることにより、事業活動と町民生活との調和を図り、もって現在及び将来の町民の健康を保護するとともに、安全な生活環境を確保することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 自然環境 自然の生態系に占める土、地形、大気、水及び動植物をいう。
(2) 生活環境 人の生活に係る環境をいい、人の生活に密接な関係のある財産、動植物並びにその生息及び育成環境を含むものをいう。
(3) 事業者 町内において事業活動を行う者をいう。
(4) 町民等 町の住民、旅行者、滞在者又は土地建物の占有者若しくは管理者等をいう。
(5) 公害 事業活動その他の人の活動に伴って生ずる水質の汚濁、大気の汚染、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康若しくは生活環境又は自然環境に被害が生ずることをいう。
(6) 環境配慮区域 生活地のほか、道路や河川など住民の生活に密接な関係のある区域で規則に定める区域をいう。
(7) 土地の埋立て等 土砂等による土地の埋立て、盛土又は堆積をする行為をいう。
(8) 事業区域 事業を行う土地の区域をいう。
(町の責務)
第3条 町は、町民の健康で快適な生活を確保するため、良好な自然環境と生活環境を確保する施策(以下「環境保全施策」という。)を講じなければならない。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、事業活動によって良好な自然環境及び生活環境への負荷を与えないよう、必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は、事業活動による災害及び公害のおそれのある発生源について厳重に管理するとともに、被害が発生しないよう常時監視し、予防措置を講じなければならない。
3 事業者は、生活環境に支障を生じさせるおそれのある事業活動をしようとするときは、あらかじめ町に必要な事項を報告するとともに、周辺の町民等に対しては、事業活動の周知に努めなければならない。
4 事業者は、排出又は持込みをした廃棄物(放射性物質及びこれによって汚染された物質を含む。)、規則で定める環境基準を超える土砂のほか自然環境及び生活環境に悪影響を及ぼす物質等を、不法に廃棄及び処分してはならない。
5 事業者は、従業員に対し、良好な環境を確保するための法令及び町が実施する環境保全施策について、その指導に努めなければならない。
(町民等の責務)
第5条 町民等は、住み良い生活環境を築くため、自らの行動によって、潤いある豊かな環境を損なうことのないようお互いに配慮するとともに、環境の保全上の支障を防止するため、生活その他の活動に伴う環境への負荷の低減に努めるものとする。
2 町民等は、町が実施する環境保全施策に積極的に参画し、協力するよう努めるものとする。
3 前条第4項の規定は、町民等について準用する。
(条例の運用)
第6条 町は、この条例の運用に当たっては、関係法令の目的と効果を阻害しないように運用しなければならない。
(開発行為の届出)
第7条 次の各号に定める開発行為(以下「開発行為」という。)をしようとする事業者(以下「開発事業者」という。)は、あらかじめ町長に届出をし、第3項に規定する事項を届け出るほか、規則で定める事項を届け出なければならない。
(1) 廃棄物の処理施設等で規則に定める施設の設置
(2) 公害を発生させるおそれのある事業場等で規則に定める施設の設置
(3) 土地の埋立て等で次のア又はイの開発行為
ア 環境配慮区域の区域内又は隣接地で施工する事業のうち実測面積が1,000平方メートル以上の土地の埋立て等(その区域に隣接又は近接する土地において、当該事業の事業主が、当該事業を施工しようとする日前3年以内に完了させた事業の事業区域の面積又は施工中の事業の事業区域の面積を合算して実測面積が1,000平方メートル以上になるものを含む。)
イ ア以外の区域で施工する事業のうち実測面積が3,000平方メートル以上の土地の埋立て等(その区域に隣接又は近接する土地において、当該事業の事業主が、当該事業を施工しようとする日前3年以内に完了させた事業の事業区域の面積又は施工中の事業の事業区域の面積を合算して実測面積が3,000平方メートル以上になるものを含む。)
2 次に掲げる事業については、前項の規定は適用しない。
(1) 国、地方公共団体等が行う公共事業(事業区域から運搬距離50キロメートルを超える場所で発生した土砂の民有地への埋立て等を除く。)
(2) 災害等のために必要な応急措置として行う事業
(3) 生活環境を損なわないと考えられる事業で、規則で定めるもの
(4) 前3号に掲げるもののほか、他の法令等の許可を受ける事業で、規則で定めるもの
3 開発行為の届出に必要な事項は、次のとおりとし、開発行為の届出は関係法令等に基づく許可、認可等の申請又は届出を行う前にしなければならない。
(1) 事業の目的及び内容
(2) 事業を実施しようとする区域
(3) 事業の実施に係る環境に対する配慮措置
(4) 前3号に掲げるもの以外で、町長が特に必要と認めるもの
4 町長は、前項の届出をした開発事業者に対して、条例の目的を達成するために必要な措置を講ずるよう協議を求めることができる。
5 開発事業者は、前項の協議を求められたときは、これに応じなければならない。
(事業説明会の開催)
第8条 前条第1項第1号及び第2号の施設の設置をしようとする開発事業者(以下「開発配慮事業者」という。)は、開発行為をする事業区域の土地周辺関係者に対する事業説明会を開催しなければならない。
2 土地周辺関係者は、開発配慮事業者に対し、生活環境の保全上の見地から意見を述べることができる。
3 町長は、開発配慮事業者が正当な理由がなく第1項の事業説明会を開催しないときは、当該事業者に対し、期限を付して、事業説明会を開催するよう求めなければならない。
(環境への配慮)
第9条 開発配慮事業者は、誠意を持って前条第2項の規定により述べられた土地周辺関係者の意見のうち、合理性のある意見については、当該開発行為の事業計画に反映させるよう努めるものとする。
2 開発配慮事業者は、当該開発行為について前項の意見を事業計画に反映し修正したときにあっては、次に掲げる事項を町長に報告するとともに、その内容を土地周辺関係者に周知しなければならない。
(1) 土地周辺関係者の意見に対する対応計画
(2) 前号の対応を踏まえた修正後の協議事項の内容
(3) 前2号に掲げるもの以外で、町長が特に必要と認めるもの
3 町長は、前項第2号の規定による対応の妥当性を確認するため、専門家等からの意見を聴き、開発配慮事業者に対し適切な対策を講ずるよう求めるものとする。
4 町長は、前項の対策を求めるときにあって、環境保全施策上必要と認められる場合は、第22条に規定する紀北町環境保全審議会の意見を聴くものとする。
(土地の埋立て等の指導)
第10条 町長は、開発事業者のうち、第7条第1項第3号の土地の埋立て等の行為をしようとする者(以下「土地開発事業者」という。)が開発行為の届出をしたときにあっては、次に掲げる事項について必要な指導及び助言に努めるものとする。
(1) 土壌汚染等を防止するため、埋立て等に使用する土砂等が安全であることを確認すること。
(2) 規則に定める構造基準に基づき土砂等の流出等による災害の発生を防止するため必要な措置を講じること。
(3) 事業区域の見やすい場所に、事業者の氏名又は名称その他必要な事項を記載した標識を掲げること。
(4) 事業区域が位置する関係地域の住民及び事業区域に隣接する土地所有者に事業説明を行うこと。
2 土地開発事業者は、前項各号に規定する町の指導に従い、第4条に規定する事業者の責務を果たさなければならない。
(土地所有者の責務)
第11条 開発行為の事業区域の土地所有者は、開発事業者に土地を提供しようとするときは、事業区域及びその周辺の環境の破壊、災害が発生するおそれがないことを確認しなければならない。
2 土地所有者は、開発事業者が第4条に規定する責務を果たさないときは、当該開発事業者に代わりその責務を果たさなければならない。
(環境保全協定の締結)
第12条 町長は、町民の健康で文化的な生活の確保のため必要と認める場合は、開発事業者に対して環境保全に資する協定の締結を要請し、事業者はこれに応じなければならない。
(開発行為の禁止)
第13条 開発事業者は、第7条に規定する届出にともなう協議及び、必要な手続を経ないで当該開発行為をしてはならない。
(開発行為の変更届)
第14条 開発事業者は、開発行為の計画を変更しようとするときは、あらかじめ町長に届出をしなければならない。
(事業の完了)
第15条 開発事業者は、当該事業が完了したときは、その日から10日以内に町長に完了を報告し、確認を受けなければならない。
(紛争の解決)
第16条 開発事業者は、環境の保全に最大限の努力をするとともに、その事業活動に係る紛争が生じたときは、誠意を持ってその解決に当たらなければならない。
(地位の継承)
第17条 第7条の届出をした開発事業者の地位を継承しようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ町長に届け出なければならない。
(開発行為等に対する指導等)
第18条 町長は、開発行為がこの条例に違反して事業を施工しているときは、開発事業者に対し改善するよう指導し、又は勧告することができる。
2 町長は、自然環境又は生活環境を著しく損なっている者があると認めるときは、その者に対し、その事態を除去するために必要な措置をとるべきことを指導し、又は勧告することができる。
3 町長は、前2項に掲げる指導又は勧告に従わないときは、当該行為の停止を命じ、又は期限を定めて必要な措置をとることを命じることができる。
(違反事実の公表)
第19条 町長は、開発事業者が第7条から第11条まで、第13条及び第17条の規定に伴う違反、指導及び勧告に従わない者について、その事実を公表することができる。
(立入調査等)
第20条 町長は、この条例の施行に関し必要な限度において、第7条第1項に規定する開発行為の場所又は公害が発生していると認められる場所に立ち入らせ、状況を調査させ、又は検査させることができる。
2 調査員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(報告の徴収)
第21条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、町民の健康で安全かつ快適な生活環境を阻害し、又は阻害するおそれのある者及びその関係者に対し、必要な事項の報告又は資料の提出を求めることができる。
(審議会の設置)
第22条 町長は、環境保全施策の推進及び開発配慮事業者の開発行為に関する事項を調査審議するため、紀北町環境保全審議会(以下「審議会」という。)を置くことができる。
2 審議会は、町長の諮問に応じ調査及び審議する。
3 審議会は、前項の調査及び審議において、参考人を招致して意見を求めることができる。
(組織)
第23条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから町長が委嘱する。
(1) 識見を有する者
(2) 公共的団体等の職員
(3) 関係行政機関の職員
(4) その他町長が必要と認める者
3 委員の任期は、町長の諮問に係る審議の答申までとする。
4 町長は、委員が欠けたときは、後任の委員を委嘱することができる。
(会長及び副会長)
第24条 審議会に会長及び副会長1人を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(国及び他の地方公共団体との連携)
第25条 町は、環境保全施策を進めるため必要があると認めるときは、国及び他の地方公共団体と連携してその施策を推進するとともに、国及び他の地方公共団体に対し、必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
(施策の推進)
第26条 町長は、町の機関相互の緊密な連携及び調整を図り、環境保全施策を推進するための体制を整備するものとする。
2 町長は、環境保全施策の推進につき、必要な財政的措置を講ずるものとする。
3 町長は、環境の状況を把握し、及び環境保全施策を適正に推進するために必要な調査、監視及び測定に関する体制を整備するものとする。
(委任)
第27条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(罰則)
第28条 第18条第3項の規定による命令に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第29条 第7条第1項に規定する開発行為を虚偽の届出により当該事業に着手した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第30条 第7条第1項に規定する開発行為の届出をせず当該事業に着手した者は、50万円以下の罰金に処する。
第31条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1) 第20条第1項の規定による立入調査等を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
(2) 第21条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。
第32条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関し、第28条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行日)
1 この条例は、平成31年7月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に着手している開発行為(第7条第1項第3号に規定する土地の埋立て行為のうち事業区域の面積の拡大を伴うものを除く。)については、この条例の規定は適用しない。
3 前項の規定にかかわらず、第4条、第18条第2項及び第3項、第20条並びに第21条の規定については、平成31年7月1日から適用する。
附 則(令和元年10月25日条例第16号)
この条例は、令和2年2月1日から施行する。