○笠松町子どもの権利に関する条例
令和3年12月22日条例第20号
笠松町子どもの権利に関する条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 保障される子どもの権利(第4条―第8条)
第3章 子どもの権利を保障する大人の役割(第9条―第13条)
第4章 大切な権利を持つ子ども自身の役割(第14条)
第5章 子どもの権利の推進(第15条・第16条)
第6章 雑則(第17条)
附則
「自分のことは自分で決めたい。」「子ども目線で話を聞いてほしい。」「差別せず一人ひとりを見て尊重してほしい。」この条例の制定に向けて、笠松町の子どもたちが、自分の権利について真剣に考え、語ってくれた言葉です。勇気を出して表明したたくさんの想いが、ここに条例という形になりました。
子どもは、生まれながらにして、一人ひとりがかけがえのない大切な存在です。幸せに生きる権利があり、豊かな可能性に満ちています。自分を大切にし、自信を持って、思っていることや考えていることを発信してほしい。そのために、私たち大人は、全力で耳を傾け、寄り添い、みんなが幸せになれる方法を一緒に考えます。
自分の権利に気づき大切にすることのできる子どもたちは、同じようにかけがえのない存在である周りの人々を大切にすることができるでしょう。そして、これから生まれてくる子どもたちにも、自分が受けた愛情を同じようにそそぐことができるでしょう。
一人ひとりが持つ権利を大切にし、お互いがお互いを認め合い尊重する、それが子どもも大人もみんなが幸せに暮らせる笠松町の未来につながることを願って、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、児童の権利に関する条約(平成6年条約第2号)に基づき、子どもの権利を保障し、全ての子どもたちが夢と希望を持って自由に生き生きと育つことのできるまちづくりを、子どもとともに進めることを目的とします。
(定義)
第2条 この条例における用語の意味は、次のとおりとします。
(1) 子ども 18歳未満の人その他これらの人と等しく権利を認めることが適当である人をいいます。
(2) 保護者 親又は親に代わって子どもを養育する人をいいます。
(3) 育ち学ぶ施設 学校、保育所、こども館、児童福祉施設、その他の子どもが育ち、学ぶために入り、通い、利用する施設をいいます。
(4) 地域住民 地域の住民と団体をいいます。
(基本となる考え方)
第3条 この条例に規定する子どもの権利は、次の考え方に基づきます。
(1) 子どもの幸せや子どもにとって一番よいことを第一に考えます。
(2) 子ども自身の意思や力を大切にします。
(3) 子どもの年齢やそれぞれの成長に配慮します。
(4) 子どもと大人の信頼関係を基本に、地域全体で取り組みます。
第2章 保障される子どもの権利
(子どもの権利の保障)
第4条 この章に規定する権利は、子どもが一人の人間として持っている特に大切な権利として保障されます。
(安全に安心して生きる権利)
第5条 子どもが、個人として尊重され、安全に安心して生きるために、次の権利を保障します。
(1) 命が大切にされること。
(2) 愛情と理解を持って育まれること。
(3) あらゆる差別や不当な扱いを受けないこと。
(4) 心や体を傷つける虐待、暴力、いじめなどを受けないこと。
(5) 健康な生活ができ、適切な医療が受けられること。
(のびのびと豊かに育つ権利)
第6条 子どもが、のびのびと豊かに生活し、成長するために、次の権利を保障します。
(1) 自分に関することを主体的に決めること。
(2) 自由に遊んだり、文化、芸術、スポーツに親しんだりすること。
(3) 必要な教育を受け、学びたい内容を学ぶこと。
(4) 適切な生活習慣や基礎的な社会性を身につけること。
(5) 失敗をおそれず挑戦すること。
(自分を守り、守られる権利)
第7条 子どもが、健やかな心と体を自ら守り、守られるために、次の権利を保障します。
(1) 個性が認められ、ありのままで受け入れられること。
(2) 安心できる居場所があり、助けを求められる大人がいること。
(3) 話を聞いてもらい、納得のいくまで説明を受けること。
(4) 権利を侵害される状況から逃れること。
(5) 個人の秘密が守られること。
(意見を述べ、参加する権利)
第8条 子どもが、自分に影響を及ぼす全てのことについて意見を述べ、参加するために、次の権利を保障します。
(1) 自分の意見を表明し、その意見が尊重されること。
(2) 意見の表明に必要な情報や支援を受けられること。
(3) 自分を自由に表現すること。
(4) 仲間をつくり、仲間と集うこと。
(5) 年齢やそれぞれの成長に応じて社会に参加し、意見が反映されること。
第3章 子どもの権利を保障する大人の役割
(町の役割)
第9条 町は、子どもが生き生きと健やかに育つまちをつくるため、次のことに取り組みます。
(1) さまざまな方法を通して、子どもの権利の普及と啓発に努めること。
(2) 子どもが悩みや困りごとを相談することができるとともに、保護者が子育てに関して相談し、支援を受けることができる環境の整備に努めること。
(3) 子どもが、町の取組について情報を取得し、意見を述べ、参加することができるよう努めること。
(4) 社会全体で子どもを見守り、子どもの権利を尊重する環境づくりに努めること。
(保護者の役割)
第10条 保護者は、子どもの養育と発達に最も大きな責任を負うことを認識し、次のことに取り組みます。
(1) 子どもに愛情を持って接し、子どもが安心して楽しく過ごせる環境をつくること。
(2) 子どもの気持ちや考えを受け止め、十分に話し合うこと。
(3) 子どもの個性と人格を尊重し、秘密を不当に侵害しないこと。
(4) 子どもの自主性を認め、自ら育つ力を信じること。
(5) 子どもとの時間を大切にし、一緒に楽しむこと。
(育ち学ぶ施設の関係者の役割)
第11条 育ち学ぶ施設の関係者は、子どもの教育や福祉にたずさわるものとして、次のことに取り組みます。
(1) 子どもの立場に立って施設を運営し、子どもが主体的に育ち学ぶことができる環境をつくること。
(2) 子どもの個性を尊重し、一人ひとりに応じた保育や教育を行うこと。
(3) 子どもに必要な情報を提供し、参加する機会を設けること。
(4) 心や体を傷つける虐待、いじめ、体罰などの防止、早期発見、解決に向けた取組を行うこと。
(5) 子どもが信頼できる居場所となること。
(地域住民の役割)
第12条 地域住民は、子どもに身近な地域社会の一員として、次のことに取り組みます。
(1) 子どもの気持ちや考えを大切にし、あたたかく見守ること。
(2) 子どもが心身ともに健やかに成長するよう、安全で安心な地域づくりに努めること。
(3) 子どもが、地域社会の一員として、多様な世代とともに様々な体験ができる機会を提供すること。
(共通の役割)
第13条 町、保護者、育ち学ぶ施設の関係者、地域住民は、子どもの権利を守るため、互いに連携し、協力するよう努めます。
2 町、保護者、育ち学ぶ施設の関係者、地域住民は、各々の役割を通して、子どもが自分の権利について自覚するよう支援するとともに、子どもが他の人の権利を尊重することの大切さを理解することができるよう努めます。
第4章 大切な権利を持つ子ども自身の役割
(子どもの役割)
第14条 子どもは、自分の権利を大切にするとともに他の人の権利も大切にし、次のことに取り組みます。
(1) 自分の権利について自覚し、よく考えて行動することを通して、自分の権利を実現するよう努めること。
(2) 他の人の権利を認め尊重し、その権利を侵害することのないよう努めること。
(3) 家庭や学校、地域などにおいて、誰もが権利を持つ一員であることを認識し、互いに理解し助け合うよう努めること。
第5章 子どもの権利の推進
(体制の充実と支援)
第15条 町は、この条例に基づく取組を含め子どもに関する取組を総合的かつ計画的に進めるための体制の充実に努めます。
2 町は、子どもの権利侵害についての相談を受けたときは、関係機関と連携し、解決に向けての助言や支援を行います。
(取組の推進)
第16条 町は、子どもの権利に関する取組の実施状況について定期的に見直しを行い、多様化する社会や子どもを取り巻く環境に対応できるよう検討を重ねながら、子どもも大人も皆が幸せに暮らせるまちづくりを推進していきます。
第6章 雑則
(委任)
第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定めます。
附 則
この条例は、令和4年3月1日から施行します。