○海田町防災対策基本条例
令和2年3月9日条例第6号
海田町防災対策基本条例
(目的)
第1条 この条例は,防災対策に関し,基本理念を定め,災害予防対策,災害応急対策並びに災害の復旧及び復興対策における町民,自主防災組織,自治会,事業者及び町の役割を明らかにするとともに,各々が個々に又は連携して推進すべき防災対策の基本となる事項を定めることにより,災害から町民の生命,身体及び財産を守り,災害に強いまちづくりを推進し,もって町民が安心して安全に暮らせる地域社会の実現を目指すことを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 災害 暴風,豪雨,洪水,高潮,地震,津波その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。
(2) 防災 災害を未然に防止し,災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ,並びに災害の復旧及び復興を図ることをいう。
(3) 防災対策 防災のために行う対策をいう。
(4) 自主防災組織 町民が自主的に連帯し,防災に関する活動を行う組織をいう。
(5) 事業者 町内において,事業活動又は経済活動を営む法人又は個人をいう。
(6) ハザードマップ 災害想定区域,避難場所,避難経路等災害に関する総合的な資料を表示した地図をいう。
(7) 避難行動要支援者 自ら避難することが困難で,その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため,特に支援を要する者をいう。
(基本理念)
第3条 町民,自主防災組織,自治会,事業者及び町は,各々が有する防災に関する基本的な役割を果たすため,次に掲げる理念に基づき,災害対策の充実及び強化に努めなければならない。
(1) 自らの身を災害から守る自助の理念
(2) 地域においてお互いが助け合い,お互いを災害から守る共助の理念
(3) 町が町民を災害から守る公助の理念
2 町民,自主防災組織,自治会,事業者及び町は,「災害死ゼロ」を目指して,早めの避難の重要性を常に意識し,地域全体で災害対策に取り組む防災協働社会の形成推進を図るとともに,過去の災害から得られた知識及び教訓を後世に伝え,今後起こり得る災害に備えるよう努めなければならない。
(地域防災計画への反映)
第4条 災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「法」という。)第16条第1項の規定により設置された海田町防災会議は,法第42条第1項の規定により作成された海田町地域防災計画を修正する場合は,前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)を尊重し,及び反映させなければならない。
(町民の役割)
第5条 町民は,基本理念にのっとり,自ら災害に備えるため,平常時から次に掲げる事項の実施に努めるものとする。
(1) 所有する建築物の耐震性の確認及び耐震改修
(2) 地震による家具等の転倒落下防止,ガラス等の飛散防止並びに出火防止のための火気使用設備及び器具の転倒防止
(3) 災害時における初期消火,被災者の救助,応急手当その他の初期活動を円滑に行うための準備
(4) 飲料水,食糧,医薬品その他の生活必需品の備蓄並びに資機材及び非常用持ち出し袋の準備
(5) ハザードマップの活用による地域の災害関連情報に応じた適切な避難時期,避難所,避難場所,避難経路及び避難方法の確認
(6) 災害発生時における外出先からの帰宅方法,家族間の連絡方法及び集合場所の確認
(7) 防災情報の収集並びに家族及び周囲への伝達体制の確立
(8) 町,自主防災組織,自治会又は事業者との災害対策活動における連携及び協力
(9) 防災訓練,講習会等への積極的かつ継続的な参加及び協力による知識及び技術の習得
(10) 前各号に掲げるもののほか,災害予防対策に必要な事項
2 町民は,自らが地域の一員であることを自覚するとともに,日頃から地域社会に関心を持ち,近隣世帯間の相互協力及び地域でのつながりを意識した,顔の見える絆づくりに努めるものとする。
3 町民は,災害が発生し,又は発生するおそれがある場合において,次に掲げる事項の実施に努めるものとする。
(1) 地域の災害関連情報を踏まえた早めの避難による自己及び家族の安全確保
(2) 地域の一員としての,町民相互の安全確保
(3) 町,自主防災組織,自治会又は事業者との相互協力による災害応急対策
(4) 前各号に掲げるもののほか,災害応急対策に必要な事項
(自主防災組織及び自治会の役割)
第6条 自主防災組織及び自治会は,基本理念にのっとり,自ら災害に備えるため,平常時から次に掲げる事項の実施に努めるものとする。
(1) 防災情報の収集及び伝達体制の確立
(2) 防災知識の普及及び防災訓練
(3) 防災用資機材の調達,備蓄及び管理
(4) 自主防災組織及び自治会の活動を担う人材の育成
(5) ハザードマップの活用による地域の災害関連情報に応じた適切な避難時期,避難所,避難場所,避難経路及び避難方法の把握
(6) 前各号に掲げるもののほか,災害予防対策に必要な事項
2 自主防災組織及び自治会は,災害が発生し,又は発生するおそれがある場合において,町民の安全を確保するため,町,民生委員等と連携し,地域住民の安否に関する情報の収集及び伝達,避難誘導,初期消火,負傷者等の救出救護等の災害応急対策に努めるものとする。
(事業者の役割)
第7条 事業者は,基本理念にのっとり,その社会的な役割に基づき,自ら災害に備えるため,平常時から次に掲げる事項の実施に努めるものとする。
(1) 所有する建築物の耐震性の確認及び耐震改修
(2) 地震による機器設備の転倒落下防止,ガラス等の飛散防止並びに出火防止のための火気使用設備及び器具の転倒防止
(3) 初期消火,被災者の救助,応急手当その他の初期活動を円滑に行うための準備
(4) 飲料水,食糧その他の必要となる物資の備蓄
(5) ハザードマップの活用による地域の災害関連情報に応じた適切な避難所,避難場所,避難経路及び避難方法の従業員及び事業所に来所する者への周知
(6) 防災情報の収集及び伝達体制の確立
(7) 従業員の防災訓練,講習会等への積極的かつ継続的な参加による知識及び技術の習得
(8) 事業継続に係る計画の策定及び防災活動の推進並びに災害に対する危機管理体制の整備
(9) 町,町民又は自主防災組織及び消防団等との災害対策活動における連携及び協力
(10) 前各号に掲げるもののほか,災害予防対策に必要な事項
2 事業者は,災害が発生し,又は発生するおそれがある場合において,次に掲げる事項の実施に努めるものとする。
(1) 従業員,事業所に来所する者並びに管理する施設及び設備の安全確保
(2) 地域の一員としての,事業所周辺地域の町民の安全確保
(3) 自主防災組織,自治会,民生委員,消防団等との相互協力による周辺地域住民等の避難誘導,初期消火,負傷者の救出救護及び災害に関する情報の収集,提供等の災害応急対策
(4) 従業員の一斉帰宅の抑制及び帰宅困難者対策のための飲料水,食糧その他災害時において必要となる物資の供給
(5) 前各号に掲げるもののほか,災害応急対策に必要な事項
(町の役割)
第8条 町は,基本理念にのっとり,町民の生命,身体及び財産を災害から最優先で守るとともに,被害を最小限にとどめ,町民生活や経済活動への支障を極力少なくするため,自主防災組織,自治会,国,県その他の関係機関と連携し,平常時から次に掲げる施策を実施するものとする。
(1) 所有する建築物の耐震性の確認及び耐震改修
(2) 管理する道路施設,河川施設,上下水道施設等の安全確保
(3) 災害対策に関する計画の策定及び防災活動の推進並びに災害に対する危機管理体制の整備
(4) 避難所及び避難場所の確保及び整備
(5) 防災用資機材の整備
(6) 避難者に必要な飲料水,食糧その他の必要となる物資の備蓄
(7) 防災情報の収集及び伝達体制の確立
(8) 職員の防災減災対策に関する知識及び意識の向上
(9) 町民,自主防災組織等に対する防災知識向上のための啓発及び防災訓練
(10) ハザードマップの作成及び町民等への周知
(11) 学校における児童及び生徒に対する防災教育の実施
(12) 建築物の耐震診断及び耐震改修に関する啓発及び支援
(13) 家具等の転倒落下防止対策及びガラス等の飛散防止対策の啓発
(14) 消防団との連携体制の確保
(15) 自主防災組織,災害ボランティア等が活動を行いやすい環境の整備
(16) 前各号に掲げるもののほか,災害予防対策に必要な事項
2 町は,災害が発生し,又は発生するおそれがある場合において,自主防災組織,自治会,国,県その他の関係機関と連携し,次に掲げる事項を実施するものとする。
(1) 災害情報の収集及び町民への迅速な情報提供
(2) 避難所及び避難場所の開設及び運営
(3) 町民の安否に関する情報の把握
(4) 早期の救難,救助,水防活動,消防活動及び災害応急措置
(5) 業務継続計画に基づく行政機能の継続性の確保
(6) 二次災害の防止対策
(7) 学校における児童及び生徒の安全の確保
(8) 前各号に掲げるもののほか,災害応急対策に必要な事項
3 町は,災害発生後に国,県その他の関係機関と連携し,町民,自主防災組織等の協力を得て,早期の復旧及び復興に取り組むものとする。
(海田町防災の日)
第9条 甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨による災害の経験及び教訓を風化することなく後世に継承し,町民一人ひとりの防災意識の高揚及び防災対策の一層の推進を図るため,海田町防災の日(以下「防災の日」という。)を設ける。
2 防災の日は,7月6日とする。
(災害に強いまちづくりの推進)
第10条 町は,国,県その他の関係機関と連携し,道路,河川,海岸,公園等の都市基盤の整備,ライフラインの防災性の強化その他の事業を通じて,災害に強いまちづくりを総合的に推進するものとする。
(防災知識の普及等)
第11条 町は,防災に関する知識の普及及び情報の提供を積極的に推進し,町民,自主防災組織等の防災意識の高揚を図るものとする。
2 町は,町民の防災に関する能力向上のため,自主防災組織,自治会及び事業者と連携し,積極的に防災訓練を実施するものとする。
3 町は,学校において,児童及び生徒の年齢段階に応じた防災に関する知識及び技術,災害発生時において適切に行動する力並びに生命を守る力を身に付けることができるよう,防災に関する教育の推進を図るものとする。
(自主防災組織,自治会及びボランティアに対する支援等)
第12条 町は,自主防災組織及び自治会の活動に対して,指導的役割を担う人材の育成について必要な支援を行うものとする。
2 町は,災害発生時に,ボランティア活動が円滑に実施されるよう,社会福祉法人海田町社会福祉協議会(以下「社会福祉協議会」という。)と連携し,人材の確保及びボランティアの受入体制の整備を図るものとする。
(避難行動要支援者の支援体制の整備)
第13条 町は,法第49条の10第1項の規定に基づき,避難行動要支援者の支援を行うために必要な名簿情報を整理し,法第49条の11第2項の規定に基づき,当該情報を自主防災組織,自治会,民生委員,消防団,社会福祉協議会その他の避難支援等の実施に携わる関係者に提供するものとする。
2 町は,前項の規定により名簿情報を提供した者と連携し,避難行動要支援者の把握や支援を行うための体制の整備を図るものとする。
(支援協定の締結)
第14条 町は,災害の発生に備え,関係事業者との間で,応急対策に必要な物資又は資機材の供給及び緊急避難場所の提供に関する協定など,災害時における支援協定の締結促進を図るものとする。
(災害応急措置)
第15条 町は,災害が発生し,又は発生するおそれがある場合において,災害の発生を抑制し,又は災害の拡大を防止するため,国,県その他の関係機関と連携して,次に掲げる事項について,必要な措置又は対策を講ずるものとする。
(1) 避難所及び避難場所に関すること。
(2) 飲料水,食糧その他避難生活に必要な物資の確保及び供給に関すること。
(3) 緊急輸送に関すること。
(4) 道路上の障害物の除去に関すること。
(5) 医療救護及び公衆衛生に関すること。
(6) 前各号に掲げるもののほか,災害応急対策に必要な事項に関すること。
2 町は,災害が発生し,又は発生するおそれがある場合において,町民等に対し,直ちに避難及び被害の状況並びに応急措置等に関する情報を提供するものとする。
(避難対策等)
第16条 町は,避難所及び避難場所の確保及び整備に努めるとともに,町民,自主防災組織等に避難所,避難場所,避難勧告等の情報を提供するものとする。
2 町は,飲料水,食糧その他の避難生活に必要な物資の確保及び供給のために必要な措置を講ずるものとする。
3 町は,国,県,医師会その他の関係機関と連携し,傷病者に医療を行い,救護するための体制の整備を図るものとする。
4 町は,避難所で生活する避難者だけでなく,自宅等で避難生活を送る者も支援の対象とするよう取り組むものとする。
5 町民は,国,県,町その他の関係機関からの災害に関する情報の収集に努め,危険を認知したときは,自主的に避難するとともに,町から避難に関する情報があったときは,これを考慮して自らの身の安全を確保するよう努めるものとする。
6 町民は,相互に協力し,避難所を円滑に運営するよう努めるものとする。
7 自主防災組織及び自治会は,町,民生委員等と相互に連携し,災害時における町民の避難誘導に努めるものとする。
(復旧及び復興対策)
第17条 町は,災害により町内に重大な被害が発生したときは,国,県その他の関係機関との連携を図り,速やかに被災した地域の復旧及び復興に必要な対策を講じるものとする。
2 町は,町民の意向を踏まえながら,復旧・復興計画を策定し,公共施設の計画的な復旧及び復興を行うとともに,町民生活の再建及び安定を図るものとする。
3 町民は,自主防災組織,自治会,事業者及び町と協働して,自らの生活を再建し,地域社会を再生するよう努めるものとする。
附 則
この条例は,公布の日から施行する。