香川県希少野生生物の保護に関する条例

平成17年7月15日
条例第44号

改正

令和5年3月20日条例第7号

  


香川県希少野生生物の保護に関する条例をここに公布する。
香川県希少野生生物の保護に関する条例
目次
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 指定希少野生生物の個体の取扱いに関する規制
第1節 指定希少野生生物の個体の所有者等の義務等(第9条・第10条)
第2節 指定希少野生生物の個体の捕獲等の禁止(第11条―第14条)
第3章 指定希少野生生物の生息地等の保護に関する規制
第1節 土地の所有者等の義務等(第15条・第16条)
第2節 指定希少野生生物保護区(第17条―第23条)
第4章 保護事業(第24条―第27条)
第5章 保護推進体制の整備等(第28条―第31条)
第6章 外来種に関する施策(第32条・第33条)
第7章 雑則(第34条―第36条)
第8章 罰則(第37条―第41条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、県内に生息し、又は生育する野生生物が、生態系の重要な構成要素であるだけでなく、自然環境の重要な一部として県民の豊かな生活に欠かすことのできないものであることにかんがみ、県、事業者及び県民等が一体となって希少野生生物の保護を図り、その絶滅を防止することにより、生物の多様性が保全された豊かな自然環境がもたらす恵みを広く県民が享受できるようにし、もって現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「希少野生生物」とは、県内に生息し、又は生育する野生生物の種(亜種又は変種がある種にあっては、その亜種又は変種とする。以下同じ。)であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
(1) 種の存続に支障を来す程度にその種の個体の数が著しく少ないこと。
(2) その種の個体の数が著しく減少しつつあること。
(3) その種の個体の生息地又は生育地が消滅しつつあること。
(4) その種の個体の生息又は生育の環境が著しく悪化しつつあること。
(5) 前各号に掲げるもののほか、その種の存続に支障を来す事情があること。
 この条例において「指定希少野生生物」とは、第8条第1項の規定により指定された希少野生生物をいう。
 この条例において「県民等」とは、県民及び県に滞在する者をいう。
(県の責務)
第3条 県は、野生生物の種が置かれている状況を把握するとともに、希少野生生物の保護に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。
 県は、広報活動等を通じて、希少野生生物の保護についての事業者及び県民等の理解を深めるよう必要な措置を講ずるものとする。
 県は、地域の開発及び整備その他の希少野生生物の生息又は生育の環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及び実施に当たっては、希少野生生物の生息又は生育の環境の保全に配慮しなければならない。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、希少野生生物の生息又は生育の環境の悪化を防止するため、希少野生生物の生息又は生育の環境への負荷の低減に努めるとともに、県が実施する希少野生生物の保護に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(県民等の責務)
第5条 県民等は、希少野生生物の保護に自ら努めるとともに、県が実施する希少野生生物の保護に関する施策に協力するよう努めなければならない。
 県民等は、希少野生生物が生息し、又は生育する地域において野外活動を行うに当たっては、その活動が希少野生生物の生息地又は生育地の保全に支障を及ぼすことのないよう配慮しなければならない。
(財産権の尊重等)
第6条 この条例の適用に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重し、農林漁業等の生産活動並びに県民の生活の安定及び福祉の維持向上に配慮し、並びに県土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。
(基本方針)
第7条 知事は、希少野生生物の保護に関する基本的かつ総合的な施策の推進を図るため、希少野生生物の保護に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 希少野生生物の保護に関する基本構想
(2) 指定希少野生生物の選定に関する基本的な事項
(3) 指定希少野生生物の個体(卵及び種子を含む。以下同じ。)の取扱いに関する基本的な事項
(4) 指定希少野生生物の個体の生息地又は生育地の保護に関する基本的な事項
(5) 保護事業(指定希少野生生物の個体の繁殖の促進、その生息地又は生育地の整備その他の指定希少野生生物の保護を図るための事業をいう。以下同じ。)に関する基本的な事項
(6) 前各号に掲げるもののほか、希少野生生物の保護に関する重要事項
 知事は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、香川県環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
 知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 前2項の規定は、基本方針の変更について準用する。
(指定希少野生生物の指定等)
第8条 知事は、希少野生生物(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)第4条第3項に規定する国内希少野生動植物種(同条第6項に規定する特定第二種国内希少野生動植物種を除く。)及び同法第5条第1項に規定する緊急指定種を除く。)のうち、特に保護を図る必要があると認められるものを指定希少野生生物として指定することができる。
 知事は、前項の規定による指定(以下この条において単に「指定」という。)をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
 知事は、指定をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その指定の案を公告しなければならない。
 前項の規定による公告があったときは、利害関係人は、その公告の日から起算して14日を経過する日までの間に、知事に指定の案についての意見書を提出することができる。
 知事は、指定の案について異議がある旨の前項の意見書の提出があったとき、その他指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。
 知事は、指定をするときは、その旨を告示しなければならない。
 指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
 知事は、指定希少野生生物の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるとき、又は指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。
 第2項から第7項までの規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、第4項、第5項及び第7項中「前項」とあるのは、「第9項において準用する前項」と読み替えるものとする。
一部改正〔令和5年条例7号〕
第2章 指定希少野生生物の個体の取扱いに関する規制
第1節 指定希少野生生物の個体の所有者等の義務等
(所有者等の義務)
第9条 指定希少野生生物の個体の所有者又は占有者は、指定希少野生生物を保護することの重要性を自覚し、その個体を適切に取り扱うよう努めなければならない。
(助言又は指導)
第10条 知事は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、指定希少野生生物の個体の所有者又は占有者に対し、その個体の取扱いに関し必要な助言又は指導をすることができる。
第2節 指定希少野生生物の個体の捕獲等の禁止
(捕獲等の禁止)
第11条 指定希少野生生物の生きている個体は、捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
(1) 次条第1項の許可を受けてその許可に係る捕獲等をする場合
(2) 人の生命又は身体の保護その他の規則で定めるやむを得ない事由がある場合
(捕獲等の許可)
第12条 学術研究又は繁殖の目的その他規則で定める目的で指定希少野生生物の生きている個体の捕獲等をしようとする者は、知事の許可を受けなければならない。
 前項の許可を受けようとする者は、規則で定めるところにより、知事に許可の申請をしなければならない。
 知事は、前項の申請に係る捕獲等について次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、第1項の許可をしてはならない。
(1) 捕獲等の目的が第1項に規定する目的に適合しないこと。
(2) 捕獲等によって指定希少野生生物の保護に支障を及ぼすおそれがあること。
(3) 捕獲等をする者が適当な飼養栽培施設を有しないことその他の事由により捕獲等に係る個体を適切に取り扱うことができないと認められること。
 知事は、第1項の許可をする場合において、その許可の有効期間を定めるものとする。
 知事は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第1項の許可に条件を付することができる。
 知事は、第1項の許可をしたときは、規則で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。
 第1項の許可を受けた者のうち法人であるものその他その許可に係る捕獲等に他人を従事させることについてやむを得ない事由があるものとして規則で定めるものは、規則で定めるところにより、知事に申請をして、その者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者(以下「従事者」という。)であることを証明する従事者証の交付を受けることができる。
 第1項の許可を受けた者は、その者若しくは従事者が第6項の許可証(以下単に「許可証」という。)若しくは前項の従事者証(以下単に「従事者証」という。)を亡失し、又は許可証若しくは従事者証が滅失したときは、規則で定めるところにより、知事に申請をして、許可証又は従事者証の再交付を受けることができる。
 第1項の許可を受けた者又は従事者は、捕獲等をするときは、許可証又は従事者証を携帯し、県の職員その他関係者から提示を求められたときは、これを提示しなければならない。
10 第1項の許可を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、許可証又は従事者証(第3号の場合にあっては、発見し、又は回復した許可証又は従事者証)を、知事に返納しなければならない。
(1) 次条第2項の規定により許可が取り消されたとき。
(2) 第4項の規定により定められた有効期間が満了したとき。
(3) 第8項の規定により許可証又は従事者証の再交付を受けた後において亡失した許可証又は従事者証を発見し、又は回復したとき。
11 第1項の許可を受けた者は、第4項の規定により定められた許可の有効期間が満了したときは、規則で定めるところにより、その日から起算して30日を経過する日までに、その許可に係る捕獲等の結果を知事に報告しなければならない。
12 第1項の許可を受けて捕獲等をした者は、その捕獲等に係る個体を、適当な飼養栽培施設に収容することその他の規則で定める方法により適切に取り扱わなければならない。
(捕獲等許可者に対する措置命令等)
第13条 知事は、前条第1項の許可を受けた者が同条第5項の規定により許可に付された条件に違反し、又は同条第12項の規定に違反した場合において、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、飼養栽培施設の改善その他の必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
 知事は、前条第1項の許可を受けた者が、この条例若しくはこの条例に基づく規則の規定若しくはこの条例に基づく処分に違反した場合において、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるとき、又は偽りその他不正の手段により同項の許可を受けたときは、その許可を取り消すことができる。
(報告徴収及び立入検査)
第14条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、第12条第1項の許可を受けた者に対し、指定希少野生生物の個体の取扱いの状況その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に、指定希少野生生物の個体の捕獲等に係る施設に立ち入り、指定希少野生生物の個体、飼養栽培施設、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第3章 指定希少野生生物の生息地等の保護に関する規制
第1節 土地の所有者等の義務等
(土地の所有者等の義務)
第15条 土地の所有者又は占有者は、その土地の利用に当たっては、指定希少野生生物の保護に留意しなければならない。
(助言又は指導)
第16条 知事は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、土地の所有者又は占有者に対し、その土地の利用の方法その他の事項に関し必要な助言又は指導をすることができる。
第2節 指定希少野生生物保護区
(指定希少野生生物保護区)
第17条 知事は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、その個体の生息地又は生育地及びこれらと一体的にその保護を図る必要がある区域であって、その個体の分布状況及び生態その他その個体の生息又は生育の状況を勘案してその指定希少野生生物の保護のため重要と認めるものを、指定希少野生生物保護区として指定することができる。
 前項の規定による指定(以下この条において単に「指定」という。)は、指定の区域、指定に係る指定希少野生生物及び指定の区域の保護に関する指針(以下「指定の区域等」という。)を定めてするものとする。
 知事は、指定をしようとするときは、あらかじめ、審議会及び関係市町の意見を聴かなければならない。
 知事は、指定をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を公告し、公告した日から起算して14日を経過する日までの間、指定の区域等の案を公衆の縦覧に供しなければならない。
 前項の規定による公告があったときは、当該指定に係る区域の住民及び利害関係人は、同項に規定する期間が経過する日までの間に、知事に指定の区域等の案についての意見書を提出することができる。
 知事は、指定の区域等の案について異議がある旨の前項の意見書の提出があったとき、その他指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。
 知事は、指定をするときは、その旨及び指定の区域等を告示しなければならない。
 指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
 知事は、指定希少野生生物保護区に係る指定希少野生生物の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるとき、又は指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。
10 第3項、第7項及び第8項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、第7項中「指定の区域等」とあるのは「解除に係る指定の区域」と、第8項中「前項」とあるのは「第10項において準用する前項」と読み替えるものとする。
(行為の制限)
第18条 指定希少野生生物保護区の区域内においては、次に掲げる行為は、知事の許可を受けなければ、してはならない。
(1) 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地(水底を含む。)の形質を変更すること。
(3) 鉱物を採掘し、又は土石を採取すること。
(4) 水面を埋め立て、又は干拓すること。
(5) 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
(6) 木竹を伐採すること。
(7) 指定希少野生生物の個体の生息又は生育に必要なものとして知事が指定する野生生物の種の個体その他の物の捕獲等をすること。
(8) 指定希少野生生物保護区の区域内の湖沼若しくは湿原であって知事が指定するもの又はこれらに流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
(9) 道路、広場、田、畑、牧場及び宅地の区域以外の知事が指定する区域内において、車両若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
(10) 指定希少野生生物の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのある生物の種として知事が指定するものの個体を放ち、又は植栽し、若しくはその種子をまくこと。
(11) 指定希少野生生物の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのあるものとして知事が指定する物質を散布すること。
(12) 火入れ又はたき火をすること。
(13) 指定希少野生生物の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのある方法として知事が定める方法によりその個体を観察すること。
 前項の許可を受けようとする者は、規則で定めるところにより、知事に許可の申請をしなければならない。
 知事は、前項の申請に係る行為が前条第2項の指定の区域の保護に関する指針に適合しないものであるときは、第1項の許可をしないことができる。
 知事は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第1項の許可に条件を付することができる。
 第1項の規定により同項各号に掲げる行為が規制されることとなった時において既に同項各号に掲げる行為に着手している者は、その規制されることとなった日から起算して3月を経過する日までの間に知事に規則で定める事項を届け出たときは、同項の規定にかかわらず、引き続きその行為をすることができる。
 次に掲げる行為については、第1項の規定は、適用しない。
(1) 非常災害に対する必要な応急措置としての行為
(2) 通常の管理行為又は軽易な行為で規則で定めるもの
(3) 木竹の伐採で、知事が指定希少野生生物保護区ごとに指定する方法及び限度内においてするもの
 前項第1号に掲げる行為であって第1項各号に掲げる行為に該当するものをした者は、その行為をした日から起算して14日を経過する日までの間に知事にその旨を届け出なければならない。
(立入制限地区)
第19条 知事は、指定希少野生生物保護区の区域内で指定希少野生生物の個体の生息又は生育のため特にその保護を図る必要があると認める場所を、立入制限地区として指定することができる。
 知事は、前項の規定による指定をしようとするときは、その場所の土地の所有者又は占有者(正当な権原を有する者に限る。次項及び第22条第2項において同じ。)の同意を得なければならない。
 知事は、土地の所有者又は占有者が正当な理由により第1項の規定による指定を解除するよう求めたとき、又はその指定の必要がなくなったと認めるときは、その指定を解除しなければならない。
 何人も、知事が定める期間内は、立入制限地区の区域内に立ち入ってはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
(1) 非常災害に対する必要な応急措置としての行為をするために立ち入る場合
(2) 通常の管理行為又は軽易な行為で規則で定めるものをするために立ち入る場合
(3) 前2号に掲げるもののほか、知事がやむを得ない事由があると認めて許可をした場合
 前項第3号の許可を受けようとする者は、規則で定めるところにより、知事に許可の申請をしなければならない。
 知事は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第4項第3号の許可に条件を付することができる。
 第17条第2項から第8項までの規定は第1項の規定による指定について、同条第3項、第7項及び第8項の規定は第3項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、同条第2項中「指定の区域、指定に係る指定希少野生生物及び指定の区域の保護に関する指針(以下「指定の区域等」という。)」とあり、同条第4項から第6項までの規定中「指定の区域等」とあるのは「指定の区域」と、同条第5項、第6項及び第8項中「前項」とあるのは「第19条第7項において準用する前項」と、同条第7項中「指定の区域等」とあるのは第1項の規定による指定については「指定の区域」と、第3項の規定による指定の解除については「解除に係る指定の区域」と読み替えるものとする。
(措置命令等)
第20条 知事は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、指定希少野生生物保護区の区域内において第18条第1項各号に掲げる行為をしている者又は立入制限地区の区域内において前条第4項第3号の許可に係る行為をしている者に対し、その行為の実施方法について指示をすることができる。
 知事は、第18条第1項若しくは前条第4項の規定に違反した者又は第18条第4項若しくは前条第6項の規定により許可に付された条件に違反した者がその違反行為によって指定希少野生生物の個体の生息地又は生育地の保護に支障を及ぼした場合において、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、これらの者に対し、当該行為の中止を命じ、又は相当の期限を定めて、原状回復その他指定希少野生生物の個体の生息地又は生育地の保護のため必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
 知事は、第18条第1項又は前条第4項第3号の許可を受けた者がこの条例若しくはこの条例に基づく規則の規定又はこの条例に基づく処分に違反した場合において、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、その許可を取り消すことができる。
(報告徴収及び立入検査等)
第21条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、指定希少野生生物保護区の区域内において第18条第1項各号に掲げる行為をした者に対し、その行為の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
 知事は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、指定希少野生生物保護区の区域内において前項に規定する者が所有し、又は占有する土地に立ち入り、その者がした行為の実施状況について検査させ、若しくは関係者に質問させ、又はその行為が指定希少野生生物の保護に及ぼす影響について調査をさせることができる。
 前項の規定による立入検査又は立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
 第1項及び第2項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(実地調査)
第22条 知事は、第17条第1項又は第19条第1項の規定による指定をするための実地調査に必要な限度において、その職員に、他人の土地に立ち入らせることができる。
 知事は、その職員に前項の規定による立入りをさせようとするときは、あらかじめ、土地の所有者又は占有者にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
 第1項の規定による立入りをする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
 土地の所有者又は占有者は、正当な理由がない限り、第1項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
(損失の補償)
第23条 県は、第18条第1項の許可を受けることができないため、又は同条第4項の規定により許可に条件を付されたため損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失の補償をする。
第4章 保護事業
(保護事業計画)
第24条 知事は、保護事業の適正かつ効果的な実施に資するため、審議会の意見を聴いて、保護事業に関する計画(以下「保護事業計画」という。)を定めるものとする。
 保護事業計画は、保護事業の対象とすべき指定希少野生生物ごとに、保護事業の目標、保護事業が実施されるべき区域及び保護事業の内容その他保護事業が適正かつ効果的に実施されるために必要な事項について定めるものとする。
 知事は、保護事業計画を定めたときは、その概要を告示し、かつ、保護事業計画を一般の閲覧に供しなければならない。
 第1項及び前項の規定は、保護事業計画の変更について準用する。
(保護事業の認定等)
第25条 県は、指定希少野生生物の保護のため必要があると認めるときは、保護事業計画に基づき、保護事業を実施するものとする。
 県以外の地方公共団体は、その実施する保護事業であってその事業計画が保護事業計画に適合するものについて、その旨の知事の確認を受けることができる。当該確認を受けた保護事業の事業計画を変更しようとするときも、同様とする。
 国及び地方公共団体以外の者は、その実施する保護事業について、その者がその保護事業を適正かつ確実に実施することができ、及びその保護事業の事業計画が保護事業計画に適合している旨の知事の認定を受けることができる。当該認定を受けた保護事業の事業計画を変更しようとするときも、同様とする。
 知事は、前項の認定をしたときは、規則で定めるところにより、その旨を告示しなければならない。第27条第2項又は第3項の規定によりこれを取り消したときも、同様とする。
(認定保護事業等の実施等)
第26条 認定保護事業等(県の保護事業、前条第2項の確認を受けた保護事業及び同条第3項の認定を受けた保護事業をいう。以下同じ。)は、保護事業計画に即して実施されなければならない。
 認定保護事業等として実施する行為については、第11条、第18条第1項及び第7項、第19条第4項並びに第35条第2項及び第3項の規定は、適用しない。
 指定希少野生生物保護区の区域内の土地の所有者又は占有者は、認定保護事業等として実施される保護事業のために必要な施設等の設置に協力するよう努めなければならない。
 知事は、前条第3項の認定を受けて保護事業を実施する者に対し、その保護事業の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
(認定保護事業等の廃止等)
第27条 第25条第2項の確認又は同条第3項の認定を受けて保護事業を実施する者は、その保護事業を廃止したとき、又はその保護事業を保護事業計画に即して実施することができなくなったときは、その旨を知事に通知しなければならない。
 知事は、前項の規定による通知があったときは、その通知に係る第25条第2項の確認又は同条第3項の認定を取り消すものとする。
 知事は、第25条第3項の認定を受けて保護事業を実施する者が、その保護事業を保護事業計画に即して実施していないと認めるとき、その保護事業を適正かつ確実に実施することができなくなったと認めるとき、又は前条第4項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をしたときは、その者に対し、その認定を取り消し、又はその保護事業の中止を命じ、若しくは相当の期限を定めて、原状回復その他指定希少野生生物の保護のため必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
第5章 保護推進体制の整備等
(保護推進体制の整備)
第28条 県は、希少野生生物の保護に関する施策を適正に実施するために必要な監視、調査研究、啓発及び指導の体制その他その施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な体制の整備に努めるものとする。
(希少野生生物保護推進員)
第29条 知事は、希少野生生物の保護に熱意と識見を有する者のうちから、希少野生生物保護推進員(以下「推進員」という。)を委嘱することができる。
 推進員は、次に掲げる活動を行う。
(1) 希少野生生物の保護に関する啓発をすること。
(2) 希少野生生物の個体の生息若しくは生育の状況又はその生息地若しくは生育地の状況について調査をすること。
(3) 希少野生生物の個体の所有者若しくは占有者又はその生息地若しくは生育地の土地の所有者若しくは占有者に対し、その求めに応じ希少野生生物の保護のため必要な助言をすること。
(4) 希少野生生物の保護に関する活動を行うものに対し、その活動の支援に必要な助言及び指導をすること。
(5) 希少野生生物の保護のため県又は市町が行う施策に必要な協力をすること。
 推進員の任期は、3年とする。
 推進員が希少野生生物の個体に関する調査で規則で定めるもののためにする捕獲等については、第11条の規定は、適用しない。
 知事は、推進員が、心身の故障のためその職務の遂行に支障があるとき、その職務を怠ったとき、又はこの条例に違反したとき、その他推進員としてふさわしくない非行があったときは、これを解嘱することができる。
(国及び他の地方公共団体との協力等)
第30条 県は、希少野生生物の保護に関する施策の策定及び実施に当たっては、国及び他の地方公共団体と協力し、その推進に努めるものとする。
 県は、この条例の施行に当たっては、市町との連携を図るとともに、市町が実施する希少野生生物の保護に関する施策について、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
(希少野生生物の保護に関する活動の促進)
第31条 県は、希少野生生物の保護に関する施策の実施に当たっては、事業者、県民等又はこれらの者が組織する団体と協力するとともに、これらのものが自発的に行う希少野生生物の保護に関する活動を促進するため、助言、指導その他必要な措置を講ずるものとする。
第6章 外来種に関する施策
(外来種に関する調査等)
第32条 県は、外来種(国外又は国内の他の地域から人を介して導入されることにより本来の生息地又は生育地以外の地域に存することとなる生物をいう。以下同じ。)のうち、希少野生生物の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのあるものについて、その外来種の個体の生息又は生育の状況、その個体が希少野生生物の生息又は生育に及ぼす支障の程度その他必要な事項を調査し、及び希少野生生物の保護のため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(外来種に関する情報の提供)
第33条 県は、外来種が希少野生生物の個体の生息又は生育に及ぼす影響についての事業者及び県民等の理解を深めるよう情報の提供に努めるものとする。
第7章 雑則
(定期調査及び結果の活用)
第34条 知事は、希少野生生物の個体の生息又は生育の状況、その生息地又は生育地の状況その他必要な事項について定期的に調査をし、その結果を、この条例に基づく指定又はその解除その他この条例の適正な運用に活用するものとする。
(国等に関する特例)
第35条 国又は地方公共団体(以下「国等」という。)が行う事務又は事業については、第10条、第11条、第16条、第18条第1項及び第7項、第19条第4項、第20条第1項並びに第21条第1項及び第2項の規定は、適用しない。
 国等は、第11条第2号に掲げる場合以外の場合に指定希少野生生物の生きている個体の捕獲等をしようとするとき、又は第18条第1項若しくは第19条第4項第3号の許可を受けるべき行為に該当する行為をしようとするときは、規則で定める場合を除き、あらかじめ、知事に協議しなければならない。
 国等は、第18条第5項の規定により届出をして引き続き同条第1項各号に掲げる行為をすることができる場合に該当する場合にその行為をするとき、又は同条第7項の規定により届出をすべき行為に該当する行為をしたときは、規則で定める場合を除き、これらの規定による届出の例により、知事にその旨を通知しなければならない。
(委任)
第36条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
第8章 罰則
第37条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(1) 第11条又は第18条第1項の規定に違反した者
(2) 偽りその他不正の手段により第12条第1項の許可又は第25条第3項の認定を受けた者
(3) 第13条第1項、第20条第2項又は第27条第3項の規定による命令に違反した者
第38条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第12条第5項又は第18条第4項の規定により許可に付された条件に違反した者
(2) 第19条第4項の規定に違反した者
第39条 第19条第6項の規定により許可に付された条件に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。
第40条 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
(1) 第12条第9項の規定に違反して許可証又は従事者証を携帯しないで捕獲等をした者
(2) 第14条第1項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
(3) 第21条第1項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同条第2項の規定による立入検査若しくは立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
(4) 第22条第4項の規定に違反して、同条第1項の規定による立入りを拒み、又は妨げた者
第41条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第37条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
附 則
この条例は、平成18年4月1日から施行する。ただし、第1章並びに第30条、第34条及び第36条の規定は、公布の日から施行する。
附 則(令和5年3月20日条例第7号)
この条例は、公布の日から施行する。