○広野町子どもの権利条例
令和3年6月11日条例第16号
広野町子どもの権利条例
(目的)
第1条 この条例は、「児童の権利に関する条約」に基づき、子どもを支援するための基本理念を定め、町、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者の責務を明らかにし、子どもへの支援に関する施策を総合的かつ継続的に推進するための基本となる事項を定め、未来を担う子どもたちの幸せを第一に考え、子育て家庭が夢や自信が持てる環境づくりを推進することにより、子どもが健やかに成長し、自立できる社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 子ども 出生の日から満18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者をいう。
(2) 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護する者をいう。
(3) 地域住民等 町内に住み、勤め、若しくは通学する者又は町内で活動する個人、法人若しくは団体をいう。
(4) 学校等関係者 児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する児童福祉施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校その他子どもが学び、又は育つことを目的として通学し、通園し、通所し、又は入所する施設(以下「学校等」という。)の関係者をいう。
(5) 事業者 町内において事業活動を行う者又は団体をいう。
(基本理念)
第3条 子どもへの支援は、子どもが成長段階に応じた学び、遊び等を通じて人間関係を構築し、自ら意見を表明するなど主体的に社会に参加することができる環境を整備することを旨として行わなければならない。
2 子どもへの支援は、子どもが差別、虐待、体罰、いじめなどに悩み、又は苦しむことがなく安心して生きていくことができるよう、子どもの人権が尊重されることを旨として行わなければならない。
3 子どもへの支援は、子どもが自らを大切に思う気持ちや他者を思いやる心を育み、規範意識を身につけることにより、他者の人権を尊重することができ、次代の社会を担うことができるようになることを旨として行わなければならない。
4 子どもへの支援は、町、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者がそれぞれの責務を果たすことにより重層的に行うとともに、相互に連携協力して継続的に行わなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、基本理念に基づき、子どもへの支援に関する基本的かつ総合的な施策を実施するものとする。
2 町は、子どもへの支援に関する施策を実施するため、予算の範囲内において、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
3 町は、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者がそれぞれの責務を果たすことができるよう、これらの者に対して必要な支援を行うものとする。
(保護者の責務)
第5条 保護者は、基本理念に基づき、子どもの最善の利益を第一に考えるとともに、愛情をもって子どもの成長及び発達に応じた養育に努めるものとする。
2 保護者は、家庭が子どもの人格形成に基本的な役割を果たすことを自覚し、子どもが豊かな人間性及び社会性を身につけて成長していくために必要な協力を周囲から得て、より良い家庭環境づくりに努めるものとする。
(地域住民等の責務)
第6条 地域住民等は、基本理念に基づき、子どもへの支援の重要性について関心及び理解を深めるとともに、子どもへの支援に関する施策及び取組に協力するよう努めるものとする。
(学校等関係者の責務)
第7条 学校等関係者は、基本理念に基づき、子どもがその成長及び発達に応じて、主体的に学び、育ち、子どもが将来を自ら拓ける「生きる力」を身に付けることができるよう、子どもへの必要な支援に努めるものとする。
2 学校等関係者は、学校等における差別、虐待、体罰、いじめ等から子どもを守り、子どもの安全及び安心を確保するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第8条 事業者は、基本理念に基づき、社会的な影響力及び責任を意識して、子どもの健やかな成長を支援する活動を行い、子どもへの支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、雇用する労働者が子どもに接する時間を十分に確保し、仕事と子育ての両立を可能にすることができるよう、雇用環境の整備及び当該労働者が仕事と生活の調和について考える機会の提供に努めるものとする。
(子どもの育ちの支援)
第9条 町は、子どもが健やかに成長するために、安全で安心な環境づくりに努めるとともに、子どもが社会の一員として自立していくことに繋がる施策を講ずるものとする。
(相談支援体制の整備等)
第10条 町は、子どもとその家族の支援の充実を図るため、子どもに関する問題について安心して相談をすることができる総合的な相談の体制を構築するものとする。
2 町は、子どもが抱える様々な悩みに対して、子ども自身が相談できる機会を確保するために必要な施策を講ずるものとする。
(障がいのある子どもへの支援)
第11条 町は、障がいのある子どもが健やかに成長するために必要な施策を講ずるものとする。
(虐待の予防等に関する取組)
第12条 町は、虐待のないまちを目指し、子どもの虐待の予防及び早期発見その他子どもの虐待をなくすために必要な施策を講ずるものとする。
2 町は、虐待を受けている子ども又はそのおそれがある子どもに対し、決して尊い命が奪われることがないように、一人ひとりに寄り添った迅速な対応を行うとともに、子どもの明るい未来の実現のために最善の策を講ずるものとする。
(いじめ及び体罰の防止等に関する取組)
第13条 町は、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者と連携し、いじめ及び体罰から子どもを守るために必要な施策を講ずるものとする。
(不登校及びひきこもりに関する取組)
第14条 町は、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者と連携し、不登校及びひきこもりに関する問題の解決のために必要な施策を講ずるものとする。
(経済的に困難な事情にある家庭の子どもへの支援)
第15条 町は、経済的に困難な事情にある家庭に生まれ育ったことによって子どもの将来が左右されることのないよう、これらの子どもが健やかに成長するための環境を整備するために必要な施策を講ずるものとする。
(全ての子どもへの適切な支援)
第16条 町は、第11条から前条までに定めるもののほか全ての子どもに対し、その状況に応じた適切な支援を行うものとする。
(様々な家庭環境に応じた子育て家庭への支援)
第17条 町は、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者と連携し、ひとり親家庭をはじめとする様々な子育て家庭に対して、その環境に応じ、子どもが安心して生活することができるための支援を行うものとする。
(切れ目のない子育て支援)
第18条 町は、町民が安心して子どもを産み育て、子どもが健やかに成長することができるよう、妊娠、出産及びその後の子育てにおける様々な段階及び状況に応じた必要な施策を講ずるものとする。
(子どもへのわかりやすい情報提供)
第19条 町、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者は、自らが行う子どもへの支援に関する施策や取組等について、子ども自身が理解を深め、自分の意見を形成するために必要な情報を、子どもにわかりやすく伝えるよう努めるものとする。
(意見表明や社会参加の促進)
第20条 町は、子どもが社会の一員として自分の考えや意見を表明するなど社会に参加する機会を設けるよう努めるものとする。
2 町、保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者は、子どもの意見表明などの社会参加を促進するため、子どもの考えや意見を尊重するとともに、子どもの主体的な社会活動を支援するよう努めるものとする。
(広報及び啓発)
第21条 町は、子どもへの支援に関する保護者、地域住民等、学校等関係者及び事業者の関心及び理解を深めるため、必要な広報及び啓発を行うものとする。
(調査研究)
第22条 町は、子どもへの支援に関する施策の推進に関し、必要に応じ、調査及び研究を行うものとする。
(委任)
第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。