○波佐見町職員倫理条例
令和3年3月30日条例第11号
波佐見町職員倫理条例
(目的)
第1条 この条例は、職員が町民全体の奉仕者であってその職務は町民から負託された公務であることに鑑み、職員の職務に関する倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、職務の遂行の公正さに対する町民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する町民の信頼を確保することを目的とする。
(定義等)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第3条第2項に規定する一般職に属する職員
(2) 職員等 次のいずれかに該当する者をいい、これらの者であった者を含む。
ア 職員
イ 町が委託契約、請負契約その他の契約を締結している者が行う当該契約に基づく業務に従事する者
(3) 任命権者 法第6条第1項に規定する任命権者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する権限の一部を委任された者を含む。)をいう。
(5) 事業者等 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。以下同じ。)その他の団体及び事業を行う個人(当該事業の利益のためにする行為を行う場合における個人に限る。)をいう。
(6) 利害関係者 職員が職務として携わる次のアからキまでに掲げる事務の区分に応じ、当該区分に定めるもの(そのものの、役員、従業員、代理人等を含む。)をいう。ただし、職員の職務との利害関係が潜在的なものにとどまる者又は一般職員の裁量の余地が少ない職務に関係のあるものとして任命権者が定めるものを除く。
イ 補助金等(
波佐見町補助金等交付規則(昭和59年規則第9号)第2条第1号に規定する補助金等をいう。以下この号において同じ。)を交付する事務当該補助金等の交付を受けて当該交付の対象となる事務又は事業を行っているもの、当該補助金等の交付の申請をしているもの及び当該補助金等の交付の申請をしようとしていることが明らかであるもの
ウ 立入検査等(法令(条例及び規則を含む。以下同じ。)の規定に基づき行われるものに限る。)をする事務 当該立入検査等を受けるもの
エ 不利益処分(行政手続法第2条第4号及び
手続条例第2条第5号に規定する不利益処分をいう。)をする事務 当該不利益処分をしようとする場合における当該不利益処分の相手方となるべきもの
オ 行政指導(行政手続法第2条第6号及び
手続条例第2条第7号に規定する行政指導をいう。)をする事務 当該行政指導により現に一定の作為又は不作為を求められているもの
カ 契約に関する事務 当該契約を締結しているもの、当該契約の申込みをしているもの及び当該契約の申込みをしようとしていることが明らかであるもの
キ 町の機関が所掌する事務(アからカまでに掲げる事務を除く。) 当該事務に係る事業を行っているもの
(7) コンプライアンス 職員が、法令を遵守することを基本に、次条に規定する倫理原則に基づき、高い倫理観を持って、町民のために積極的、自主的かつ誠実に職務を遂行することをいう。
(8) 要望等 職員に対して行われる当該職員の職務に関する要望、請求、要請その他名称のいかんを問わず職員の作為又は不作為を求める一切の行為をいう。
(9) 不当要求行為等 要望等のうち、本町に対し公正な職務の遂行を損なう恐れのある行為であって、規則で定めるものをいう。
(10) 公益通報 公益を守るために、職員等が、知り得た町政運営に関する違法行為又は違法のおそれのある行為について通報することをいう。ただし、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正な目的で行うものを除く。
2 この条例の規定の適用については、事業者等の利益のためにする行為を行う場合における当該事業者等の役員、従業員、代理人その他の者は、前項第5号の事業者等とみなす。
(職員が遵守すべき倫理原則)
第3条 職員は、「全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」ことを深く自覚し、町民から信頼される職員となるよう常に公務員としての資質の向上に努めるとともに、公共の利益の増進を目指して公正な職務の遂行に当たらなければならない。
2 職員は、職務の遂行に当たっては、常に法令を遵守するとともに、倫理意識の高揚に努めなければならない。
(職員の責務)
第4条 職員は、法令遵守の重要性を深く認識するとともに、常に公平かつ公正に職務を遂行し、公務員としての信用を損なうことのないようにしなければならない。
2 職員は、自らの職務に関連する法令に精通するよう努め、職務を適正に遂行しなければならない。
3 職員は、自らの行動が公務の信用に影響を及ぼすことを深く認識し、町民の疑惑や不信を招くことのないよう、常に公私の別を明らかにし、職務やその地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない。
4 職員は、職務の遂行に当たっては、町民その他町政に関わりのある者に対して業務に関する説明を十分に行い、理解と協力を得るよう努めなければならない。
5 職員は、職務上知り得た情報を適正に管理し、公正に職務を遂行しなければならない。
6 職員は、勤務時間外においても、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを常に認識して行動しなければならない。
(任命権者の責務)
第5条 任命権者は、職員の資質の向上及び職務に係る倫理の保持を図るため、職員の意識の啓発、研修の実施その他の必要な措置を講じなければならない。
2 任命権者は、コンプライアンスの推進を図るための体制の整備その他必要な措置を講じなければならない。
(管理監督者の責務)
第6条 管理監督者は、その職務の重要性を自覚し、率先して自らを律するとともに、所属職員への適切な指導及び監督を行い、公正な職務の遂行及び厳正な服務規律の確保を図らなければならない。
2 管理監督者は、この条例の遵守及び服務規律に関し、職員からの相談に応じ、必要に応じて助言するものとする。
(禁止行為)
第7条 職員は、利害関係者との間において行う行為であって、その者から金銭若しくは不動産の贈与を受けること又は金銭の貸付けを受けることその他の行為であって、規則で定めるものを行ってはならない。
2 前項の規定にかかわらず、職員は、私的な関係(職員としての身分にかかわらない関係をいう。)がある者であって、利害関係者に該当するものとの間においては、職務上の利害関係の状況、私的な関係の経緯及び現在の状況並びにその行おうとする行為の態様等に鑑み、公正な職務の執行に対する町民の疑惑や不信を招くおそれがないと認められる場合であって、規則で定めるものについて行うことができる。
(体制の整備及び調整等)
第8条 町は、コンプライアンスの推進及び保持を図るための体制の整備その他必要な措置を講じなければならない。
2 職員の職務に関するコンプライアンスの推進及び保持を図るため、コンプライアンスを監理する担当部署(以下「コンプライアンス担当部署」という。)を置く。
3 コンプライアンス担当部署は、職員に対しその職務に係るコンプライアンスに関する指導、助言その他必要な措置を講ずるものとする。
(倫理審査会)
第9条 コンプライアンスの推進を図るための体制の確立を図り、公正な職務の遂行を確保するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定により、波佐見町倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置する。
2 審査会の所掌事務は、次に掲げる事項とする。
(1) 不当要求行為等の調査、報告等に関すること。
(2) 公益通報の調査、報告等に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、コンプライアンスの推進に関し必要な事項
3 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後もまた同様とする。
4 前3項に定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(コンプライアンス対策委員会)
第10条 町におけるコンプライアンスを組織的に推進するため、波佐見町コンプライアンス対策委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会の所掌事務は、次に掲げる事項とする。
(1) 町におけるコンプライアンスの確保に関すること。
(2) 不当要求行為等に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、コンプライアンスの推進に関すること。
3 前2項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(要望等に対する基本原則)
第11条 職員は、町民の町政への参画と協働を実現するため、町政運営に対する要望等の重要性を十分に理解し、誠実にその内容を受け止め、適正に対応しなければならない。
2 職員は、特定のものを特別に扱うことを求める要望等に対しては、他のものの権利及び利益を害さないよう十分に留意し、正当な理由なく、特定のものに対して便宜又は利益を図ることにならないよう慎重かつ適切に対応しなければならない。
3 職員は、不当要求行為等が行われた場合(不当要求行為等が行われるおそれがあると認める場合を含む。)は、公正な職務の執行及び職員の安全の確保を図るため、複数の職員により組織的に毅然とした態度で冷静に対応しなければならない。
(要望等の記録)
第12条 職員は、要望等を書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録を含む。以下同じ。)以外の方法により受けたときは、その内容を記録しなければならない。この場合において、当該記録をするに当たっては、不実又は虚偽の記載をしてはならない。
2 要望等の記録に関し必要な事項は、規則で定める。
(要望等の報告)
第13条 職員は、前条第1項前段の規定による記録をしたとき、及び要望等が書面でなされたときは、規則で定めるところにより、これらの記録若しくは書面又はこれらの写しを、速やかに任命権者に提出しなければならない。
(不当要求行為等への組織的対応)
第14条 職員は、不当要求行為等を受け、又は不当要求行為等に関する事実を知ったときは、直ちに当該行為等の内容を記録し、上司又は管理監督者に報告しなければならない。ただし、必要があると認められるときは、コンプライアンス担当部署に対し直接報告することができる。
2 管理監督者及びコンプライアンス担当部署は、前項の規定による報告を受けたときは、公正な職務を遂行するために必要な対策を講ずるとともに、その内容を委員会に報告しなければならない。
3 委員会は、前項の規定による報告を受けたときは、事実関係についての調査を行い、当該報告を行った管理監督者及びコンプライアンス担当部署に対し、必要に応じて対策を指示するものとする。
4 委員会は、前項の規定による調査の結果、不当要求行為等の行為者に対して文書で警告する必要があると認めるときは、審査会に通知するとともに、町長及び当該事案に係る任命権者(以下「町長等」という。)に報告しなければならない。
5 審査会は、前項の規定による通知を受けたときは、必要な調査を行い、その結果を町長等に報告するものとする。この場合において、審査会は、町長等が行う措置について意見を述べることができる。
(不当要求行為等の行為者に対する措置)
第15条 町長等は、前条第5項の規定による報告が文書で警告を行う必要がある旨のものであるときは、当該報告に基づいて、不当要求行為等の行為者に対し、文書で警告を行うものとする。
2 町長等は、前項の警告を行う場合において必要があると認めるときは、当該行為者の氏名、警告の内容その他の事項について公表することができる。
3 町長等は、第1項の警告を行ったにもかかわらず当該不当要求行為等が中止されないときは、町の事務又は事業において、必要な措置を講ずることができる。
4 町長等は、前3項による対応を講ずるときは、前条第5項の規定による審査会の意見を尊重しなければならない。
(不当要求行為等を受けた職員の保護)
第16条 町長等は、第14条の規定による報告を行った職員又はコンプライアンス担当部署に所属する職員に対し、当該報告を行ったことを理由として不利益な取扱いをしてはならない。
(公益通報の対象)
第17条 公益通報は、町の事務事業若しくは町から事務事業を受託し、若しくは請け負った事業者等における当該事務事業に関する事実又は職員に関する事実で、次の各号のいずれかに該当するものを対象とする。
(1) 法令に違反する事実
(2) 人の生命、身体、財産若しくは生活環境を害し、又はこれらに重大な影響
を与える事実
(3) 前2号に該当するおそれのある事実
(公益通報の方法)
第18条 職員等は、町政の運営に関し、前条に規定する事実(以下「通報対象事
実」という。)が生じ、又はまさに生じようとしていることを知り得たときは、審査会又は町長が指名する職員に対して公益通報をするものとする。
2 職員等は、公益通報をする場合は、原則として実名により行わなければならない。ただし、職員等により違法な行為又は違法であるおそれが高い行為がなされていることが明確であって、かつ、通報対象事実が確実にあると信ずるに足りる相当の根拠が示された場合は、この限りでない。
3 職員等は、公益通報を行う場合においては、次に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) 通報対象事実等に関し客観的・合理的な根拠を示して行うこと。
(2) 個人的利益を図り、個人を誹謗し、若しくは中傷し、又は自己の感情を充足することを目的としないこと。
(3) 公益通報の濫用により、いたずらに公務の運営に支障を生じさせないこと。
(公益通報の対象となる事実に関する審査会の調査等)
第19条 審査会は、前条第1項の規定による公益通報を受けたときは、通報対象事実の存否に関する調査の必要性を十分に検討し、調査を行う場合はその旨及び着手の時期を、調査を行わない場合はその旨及び理由を、当該公益通報をした職員等(以下「通報者」という。)に対し、遅滞なく通知するものとする。
2 審査会は、公益通報の概要及び対応方針を町長等に報告するものとする。
3 審査会は、通報者の秘密を守るため、通報者が特定されないよう十分に配慮しつつ、遅滞なく調査を行い、当該調査の結果を町長等に報告するものとする。
4 前条第2項ただし書の規定に該当することにより公益通報が実名により行われなかった場合は、第1項の規定による通知は行わないものとする。
(公益通報の調査結果に基づく措置の実施)
第20条 町長等は、前条第3項の規定により通報対象事実があると認める報告を受けたときは、速やかに是正措置、再発防止策等(以下「是正措置等」という。)を講ずるとともに、その内容を審査会に通知するものとする。この場合において、町長等は、必要があると認めるときは、当該事案に係る関係者の処分を行うものとする。
2 町長等は、前項の規定により是正措置等を講じたときは、必要に応じて、その内容の全部又は一部を適宜公表するものとする。
(公益通報の通報者への是正措置等の通知)
第21条 審査会は、前条第1項の規定により町長等が是正措置等を講じたときは、その内容を、利害関係を有する者のプライバシー等に配慮しつつ、通報者に対し、遅滞なく通知するものとする。ただし、第18条第2項ただし書の規定に該当することにより公益通報が実名により行われなかった場合は、この限りでない。
(公益通報の通報者等の保護)
第22条 町長等は、通報者及び通報対象事実の存否に関する調査に協力した者に対し、公益通報をし、又は当該調査に協力したことを理由として不利益な取扱いをしてはならない。
(職員等の協力)
第23条 職員等は、この条例の規定に基づき審査会並びに委員会が行う調査に誠実に協力しなければならない。
2 前項の規定により調査に協力した職員等は、当該調査の際に知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(公表)
第24条 町長は、毎年度、この条例の運用状況を取りまとめ、その概要を公表するものとする。
(委任)
第25条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、令和3年4月1日から施行する。ただし、第8条から第23条までの規定は、令和3年9月1日から施行する。