○八戸市飲酒運転を根絶するための社会環境づくり条例
平成29年6月20日条例第32号
八戸市飲酒運転を根絶するための社会環境づくり条例
(目的)
第1条 この条例は、重大な交通事故の原因となる飲酒運転について、社会的非難が高まるとともに、罰則が強化されているにもかかわらず、県内における当市の検挙者数が依然として高い水準にある状況に鑑み、飲酒運転を根絶するために基本理念を定め、市の責務等を明らかにし、及び必要な施策等を定めることにより、市、市民及び事業者が一体となって飲酒運転を根絶するための社会環境づくりを推進し、もって安全で安心な市民生活の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 飲酒運転 酒気を帯びて車両を運転する行為をいう。
(2) 車両 道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第9号に規定する自動車、同項第10号に規定する原動機付自転車及び同項第11号に規定する軽車両をいう。
(3) 飲酒運転を根絶するための社会環境づくり 市民及び事業者による飲酒運転の根絶に向けた自主的な活動、市、市民及び事業者による「飲酒運転をしない、させない、許さない」社会環境の整備その他飲酒運転を根絶するために必要な取組をいう。
(4) 市民 市内に在住し、又は通勤し、若しくは通学する者及び一時的に市内に滞在する者をいう。
(5) 事業者 市内において事業を行う個人又は法人その他の団体をいう。
(6) 酒類提供事業者 市内において、店舗その他の設備を設け酒類を提供して客に飲食させる営業を行う者及び酒類を販売し、又は無償で提供する者をいう。
(7) タクシー事業者 市内において道路運送法(昭和26年法律第183号)第3条第1号ハに規定する一般乗用旅客自動車運送事業(第7条第3項において「タクシー事業」という。)を行う同法第9条の3第1項に規定する一般乗用旅客自動車運送事業者をいう。
(8) 運転代行業者 市内において自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(平成13年法律第57号)第2条第1項に規定する自動車運転代行業(第7条第3項において「運転代行業」という。)を行う同法第2条第2項に規定する自動車運転代行業者をいう。
(9) 駐車場所有者等 市内において駐車場法(昭和32年法律第106号)第2条第2号に規定する路外駐車場(第9条において「駐車場」という。)を所有し、又は管理する者をいう。
(10) アルコール健康障害 アルコール健康障害対策基本法(平成25年法律第109号)第2条に規定するアルコール健康障害をいう。
(基本理念)
第3条 飲酒運転の根絶は、「飲酒運転をしないこと」、「飲酒運転を行うおそれのある者に対し車両及び酒類を提供しないこと」及び「飲酒運転をする者の車両に同乗しないこと」を基本として、推進されなければならない。
2 飲酒運転を根絶するための社会環境づくりは、家庭、地域住民、町内会、学校、事業者、行政等相互の連携協力の下、社会全体で行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、飲酒運転を根絶するための社会環境づくりに必要な総合的な施策を実施する責務を有する。
2 市は、前項の施策を推進するため、市民、事業者並びに県、警察及び交通安全関係団体と連携して、飲酒運転の根絶に向けた効果的な取組を実施するものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、飲酒運転が重大な交通事故の原因となるものであることを自覚するとともに、日常生活において次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 飲酒運転をしないこと。
(2) 飲酒運転を行うおそれのある者に対し車両を提供しないこと。
(3) 飲酒運転を行うおそれのある者に対し酒類を提供し、又は飲酒を勧めないこと。
(4) 飲酒運転をする者の車両に同乗しないこと。
2 市民は、飲酒運転を行い、又は行うおそれのある者を発見したときは、車両の運転の制止、警察官への通報その他の状況に応じた適切な対応を講ずるよう努めるものとする。
3 市民は、市が実施する飲酒運転を根絶するための社会環境づくりに必要な施策に協力するよう努めるものとする。
4 前3項に規定するもののほか、市民は、飲酒運転を根絶するための社会環境づくりに努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その事業の用に供する車両の運行に当たっては、当該車両を運転する者が酒気を帯びていないことを確認する等、飲酒運転を防止するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 事業者は、その従業員に対し、飲酒運転の防止に関する教育、指導その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 事業者は、市が実施する飲酒運転を根絶するための社会環境づくりに必要な施策に協力するよう努めるものとする。
4 前3項に規定するもののほか、事業者は、飲酒運転を根絶するための社会環境づくりに努めるものとする。
(酒類提供事業者の責務)
第7条 酒類提供事業者は、当該酒類提供事業者から酒類の提供を受ける者又は酒類を購入する者(以下「来店者」という。)の見やすい場所に飲酒運転の防止に関する啓発文書を掲示する等、飲酒運転を防止するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 酒類提供事業者及びその従業員は、飲酒運転を行い、又は行うおそれのある来店者を発見したときは、車両の運転の制止、警察官への通報その他の状況に応じた適切な対応を講ずるよう努めるものとする。
3 酒類提供事業者は、タクシー事業者及び運転代行業者(以下「タクシー事業者等」という。)と連携し、来店者に対して、飲酒後におけるタクシー事業及び運転代行業(以下「タクシー事業等」という。)の利用を促進するための情報提供を行うよう努めるものとする。
4 前3項に規定するもののほか、酒類提供事業者は、その事業の特性を踏まえ、飲酒運転を根絶するための社会環境づくりに努めるものとする。
(タクシー事業者及び運転代行業者の責務)
第8条 タクシー事業者等は、飲酒後におけるタクシー事業等の利用を促進するための広報活動を推進するよう努めるものとする。
2 タクシー事業者等及びその従業員は、飲酒運転を行い、又は行うおそれのあるタクシー事業等の利用者を発見したときは、車両の運転の制止、警察官への通報その他の状況に応じた適切な対応を講ずるよう努めるものとする。
3 前2項に規定するもののほか、タクシー事業者等は、その事業の特性を踏まえ、飲酒運転を根絶するための社会環境づくりに努めるものとする。
(駐車場所有者等の責務)
第9条 駐車場所有者等は、駐車場の利用者の見やすい場所に飲酒運転の防止に関する啓発文書を掲示する等、飲酒運転を防止するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(イベント等主催者の責務)
第10条 イベント等(市内において不特定多数の者が集合する催しをいう。以下同じ。)を主催する者は、その開催時においてイベント等に参加する者(以下「参加者」という。)への酒類の提供又は参加者による飲酒が想定される場合においては、当該参加者に対し、飲酒運転の防止に関する啓発を行う等、飲酒運転を防止するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 イベント等を主催する者及びその運営の業務に従事する者は、そのイベント等の開催において、飲酒運転を行い、又は行うおそれのある参加者を発見したときは、車両の運転の制止、警察官への通報その他の状況に応じた適切な対応を講ずるよう努めるものとする。
(教育及び知識の普及)
第11条 市は、飲酒運転の根絶に資する教育及び知識の普及を図るために必要な措置を講ずるものとする。
2 市内の小学校、中学校、高等学校、大学その他の教育機関は、それぞれの教育機関に在学する者の年齢、生活環境等に応じた飲酒運転の防止に関する教育を行うよう努めるものとする。
(飲酒運転の防止のための措置)
第12条 市は、飲酒運転の防止のため、アルコール健康障害を有し、又は有していた者及びその家族に対し、相談支援等を行うものとする。
2 市は、飲酒運転の再発防止のため、飲酒運転をした者に対し、アルコール健康障害の内容その他の状況に応じた指導、助言、支援等を行うものとする。
(情報の提供)
第13条 市は、市民及び事業者が飲酒運転を根絶するための社会環境づくりの推進に必要な取組を効果的に行うことができるよう、飲酒運転による交通事故の発生状況その他の飲酒運転の根絶に資する必要な情報を提供するものとする。
(委任)
第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附 則
この条例は、平成29年7月1日から施行する。