○福島市水道水源保護条例
平成14年12月27日条例第37号
福島市水道水源保護条例
(目的)
第1条 この条例は、水道法(昭和32年法律第177号。以下「法」という。)第2条第1項の規定に基づき、市民の水道に係る水質の汚濁を防止し、安全で良質な水を確保するため、その水源を保護するとともに、きれいな水を市民が享受する権利を守り、もって現在及び将来にわたって市民の生命及び健康を守ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 水源地域 法第3条第8項に規定する取水施設及び貯水施設に係る周辺の地域で、水道事業及び簡易水道事業の用に供する水道の原水の取水口並びにこれらの上流区域をいう。
(2) 水源保護地域 水源地域のうち、水源の水質の保全に影響があると認められる地域で、市長が指定する区域をいう。
(3) 対象事業場 次に掲げる事業場をいう。
ア ゴルフ場
イ 産業廃棄物処理施設(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)第7条に規定する産業廃棄物の処理施設をいう。)
ウ 畜産施設(豚房施設(豚房の総面積が50平方メートル未満のものを除く。)及び牛房施設(牛房の総面積が200平方メートル未満のものを除く。)をいう。)
エ し尿浄化槽(建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第32条第1項第1号の表に規定する算定方法(以下「算定方法」という。)により算定した処理対象人員が201人以上のものに限る。第8号において同じ。)を設置する施設
(4) 規制対象事業場 対象事業場のうち、事業場の設置により水源保護地域に係る水質を汚濁するおそれがあり、水源保護地域の保全に支障があると認められるもので、規則で定める認定基準に基づき、第8条第1項の規定により規制対象事業場と認定されたものをいう。
(5) 対象事業者 水源保護地域内において、対象事業場(設置に着手しているものを含む。)の管理運営を行う者をいう。
(6) 排出水等 対象事業場から公共用水域(水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第2条第1項に規定する公共用水域をいう。)に排出される排出水及び対象事業場から地下に浸透する水をいう。
(7) 排水基準 次に掲げるものをいう。
ア 排水基準を定める省令(昭和46年総理府令第35号)第1条に規定する排水基準
イ 大気汚染防止法に基づく排出基準及び水質汚濁防止法に基づく排水基準を定める条例(昭和50年福島県条例第18号)第2条に規定する排水基準
ウ 一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令(昭和52年総理府厚生省令第1号)第2条に規定する排水基準
(8) 閉鎖 ゴルフ場及び畜産施設にあっては営業を止めたとき、廃業廃棄物処理施設にあっては廃棄物の搬入を止めたとき、し尿浄化槽を設置する施設にあっては施設を使用しなくなったときをいう。
(市の責務)
第3条 市は、水源地域の保護に係る施策の実施に努めなければならない。
2 市は 市民及び事業者の水道水源の保護に関する知識の普及及び意識の高揚を図るため、啓発その他必要な措置を講ずるとともに、市民及び事業者が行う清掃活動その他の水源保護に係る自主的活動の助長に努めなければならない。
(市民の責務)
第4条 市民は、水道水源の保護に関する理解を深め、それぞれの立場から水道水源の保護に寄与するよう努めるとともに、市が実施する水源地域の保護に係る施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、水道水源の保護に関する理解を深め、それぞれの立場から水道水源の保護に寄与するよう努めるとともに、市が実施する水源地域の保護に係る施策に協力しなければならない。
2 対象事業者は、その事業活動を行うに当たり、水道水源の保護に必要な措置を講じなければならない。
(水源保護地域の指定)
第6条 市長は、きれいな水を市民が享受する権利を守り、水源地域の水質を保全するため、水源保護地域を指定することができる。
2 市長は、水源保護地域を指定しようとするときは、あらかじめ、福島市水道水源保護審議会(第23条第1項を除き、以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
3 事業者、土地の所有者その他の水源保護地域の指定に関し利害関係を有する者(以下「利害関係者」という。)は、審議会において関係資料を提出し、意見を述べることができる。
4 審議会は、利害関係者が多数の場合は、意見陳述に代えて書面の提出を求めることができる。
5 市長は、水源保護地域を指定しようとするときは、あらかじめ、20日以上の期間を定め、水源保護地域を示す図書を縦覧に供しなければならない。
6 市長は、縦覧の場所及び前項に規定する期間を告示しなければならない。
7 第5項の規定による縦覧があったときは、当該縦覧に供される図書に係る意見を有する者は、前項に規定する縦覧期間満了の日の翌日から起算して10日を経過する日までに、市長に意見書を提出することができる。
8 市長は、第1項の規定により、水源保護地域を指定したときは、その旨及びその区域を告示しなければならない。
9 水源保護地域の指定は、前項の規定による告示があった日の翌日からその効力を生ずる。
10 第2項から前項までの規定は、水源保護地域の指定の変更及び解除について準用する。
(事前協議及び措置)
第7条 事業者(国の機関及び地方公共団体を除く。以下同じ。)は、水源保護地域内において対象事業場を設置しようとするときは、次に掲げる事項について記載した事前協議書を提出し、市長と協議を行うとともに、関係地域の市民に対し、当該対象事業場の計画及び内容を周知させるため、説明会の開催その他の必要な措置をとらなければならない。
(1) 氏名及び住所(法人にあっては、名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(2) 対象事業場の名称及び所在地
(3) 業種及び営業内容
(4) 敷地及び建物並びに施設の状況
(5) その他規則で定める事項
2 市長は、事業者が前項の協議をせず、又は措置をとらず、若しくはとる見込みがないと認めるときは、事業者に対し、期間を定めて協議をし、又は措置をとるよう勧告するものとする。
3 国の機関又は地方公共団体が水源保護地域内において対象事業場を設置しようとするときは、市長にその旨を通知し、協議しなければならない。
(規制対象事業場の認定)
第8条 市長は、前条第1項の事前協議書を受理したときは、第10条の規定による計画の公開をするとともに、審議会の意見を聴き、規制対象事業場と認定する旨又はしない旨の決定をしなければならない。
2 市長は、前項の決定をしたときは、事業者に対し、当該決定の内容を速やかに通知するものとする。
(事業者の意見陳述等)
第9条 第7条第1項の事前協議書を提出した事業者は、審議会において関係資料を提出し、意見を述べることができる。
2 審議会は、第7条第1項の事前協議書を提出した事業者に対し、関係資料の提出及び意見を求めることができる。
(計画の公開)
第10条 市長は、第7条第1項の事前協議書を受理したときは、その事前協議書及び添付図書を20日以上の期間を定め、縦覧に供しなければならない。ただし、当該事前協議書及び添付図書中、公開することによって著しく事業者に不利益を与えると認められる部分は、これを公開しないことができる。
2 市長は、縦覧の場所及び前項に規定する期間を告示しなければならない。
3 第1項の規定による縦覧があったときは、当該縦覧に供された事前協議書及び添付図書に係る意見を有する者は、前項に規定する縦覧期間満了の日の翌日から起算して10日を経過する日までに、市長に意見書を提出することができる。
4 市長は、事業者に対し、前項に規定する意見に対する見解書の提出を求めることができる。
(事前協議終了前の着工禁止)
第11条 事業者は、第8条第2項に規定する規制対象事業場と認定しない旨の通知があるまで、水源保護地域において対象事業場の設置に着手してはならない。
(規制対象事業場の設置の禁止)
第12条 水源保護地域において、何人も、規制対象事業場を設置してはならない。
(中止命令等)
第13条 市長は、第7条第1項の事前協議書を提出せず、又は前2条の規定に違反して、対象事業場の設置に着手し、又は対象事業場を設置した者に対し、当該対象事業場の設置の中止を命ずることができる。
2 市長は、前項の規定による中止命令と併せて、又はこれに代えて、当該者に対し、相当の期限を定めて原状回復を命じ、又は原状回復が著しく困難である場合にこれに代わるべき措置を命ずることができる。
(経過措置)
第14条 一の地域が水源保護地域となった際現に対象事業場を設置している者(設置に着手している者を含む。)は、当該地域が水源保護地域となった日から60日以内に、第7条第1項各号に掲げる事項について市長に届け出なければならない。
(氏名等の変更の届出)
第15条 第7条第1項の事前協議書を提出した者又は前条の規定による届出をした者は、その届出に係る第7条第1項第1号及び第2号に掲げる事項に変更があったときは、その事実が発生した日から起算して30日以内に、その旨を市長に届け出なければならない。
(水質検査)
第16条 対象事業者は、当該事業場の排出水等について、規則で定めるところにより、排水基準を定める省令第2条に規定する検定方法による水質検査を実施し、市長に報告しなければならない。
2 前項の水質検査は、対象事業場の閉鎖後、2年以上にわたり行われた水質検査の結果、すべての検査項目について排水基準に適合していると認められるまで行わなければならない。
(改善命令等)
第17条 市長は、水源保護地域内の対象事業場の排出水等が、排水基準を超えた場合その他遮水工の破損等により周辺環境への汚染の拡大が懸念される場合は、当該対象事業者に対し、期限を定めて施設の構造、使用方法及び汚水等の処理方法の改善又はその施設の使用の一時停止を命ずることができる。
2 前項の規定は、水源保護地域の指定の告示の日から6月を経過する日までの間は、当該対象事業者については、適用しない。
(対象事業場の閉鎖の届出)
第18条 対象事業者が対象事業場を閉鎖したときは、その事実が発生した日から起算して30日以内に、その旨を市長に届け出なければならない。
(承継)
第19条 水源保護地域内の対象事業場を譲り受け、借り受け、及び相続した者又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人若しくは分割により当該業務を承継した法人は、当該対象事業場に係る第7条第1項の事前協議書を提出した者又は第14条の規定による届出をした者の地位を承継する。
2 前項の規定により地位を承継した者は、その承継があった日から起算して30日以内に、その旨を市長に届け出なければならない。
(高度処理浄化槽の設置)
第20条 水源保護地域内において、算定方法により算定した処理対象人員が200人以下のし尿浄化槽を設置しようとする者は、窒素又はりんを除去することができるし尿浄化槽で規則で定めるもの(以下「高度処理浄化槽」という。)を設置しなければならない。
2 し尿浄化槽の設置に係る工事の依頼を受けた者は、当該工事の依頼をした者に対し、その者が高度処理浄化槽を設置することとなるよう高度処理浄化槽に関する情報の提供に努めなければならない。
3 市長は、浄化槽法(昭和58年法律第43号)第5条第1項の規定による設置の届出があった場合において、当該届出に係るし尿浄化槽が高度処理浄化槽以外のし尿浄化槽であったときは、当該届出の日から21日(同法第13条第1項又は第2項の規定により認定を受けた形式に係るし尿浄化槽にあっては、10日)以内に限り、当該届出をした者に対し、当該し尿浄化槽に代えて、高度処理浄化槽を設置するよう勧告することができる。
4 市長は、建築基準法(昭和25年法律第201号)第6条第1項(同法第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による確認の申請書の提出があった場合において、その申請に係るし尿浄化槽が高度処理浄化槽以外のし尿浄化槽であったときは、当該申請書を受理した日から21日(同法第6条第1項第4号に係るものにあっては、7日)以内に限り、当該申請書を提出した者に対し、当該し尿浄化槽に代えて、高度処理浄化槽を設置するよう勧告することができる。
(指導)
第21条 市長は、水源保護地域内において事業を行う者に対し、事業場からの排出水等について、必要な指導、助言及び勧告をすることができる。
(措置要請)
第22条 市長は、市の区域外において対象事業場を設置しようとする者があり、その対象事業場が水源保護地域に係る水質を汚濁するおそれがあり、水源保護地域の保全に支障があると認められるときは、関係地方公共団体に対し、適当な措置をとることを要請するものとする。
(審議会の設置)
第23条 水道水源の保護を図るため、市長の附属機関として福島市水道水源保護審議会を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、本市の水道水源の保護に関する重要事項について調査審議する。
3 審議会は、委員10人以内で組織する。
4 委員は、市民及び学識経験のある者のうちから、市長が委嘱する。
5 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 委員は、再任されることができる。
7 審議会は、必要があるときは、学識経験のある者その他関係者の意見を求め、又は必要な調査を行うことができる。
8 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(報告及び立入検査)
第24条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、対象事業者に対し、施設の使用の方法その他の必要な事項に関し報告を求め、又はその職員若しくは市長の指定する者に、施設の立ち入り、排出水等の検査をさせることができる。
2 前項の規定により立入検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(委任)
第25条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(罰則)
第26条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(1) 第13条の規定による命令に違反した者
(2) 第17条第1項の規定による命令に違反した者
(3) 第24条第1項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
第27条 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
(1) 第7条第1項の事前協議書に虚偽の記載をした者
(2) 第14条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
(3) 第15条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
(4) 第16条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
(5) 第18条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
(6) 第19条第2項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
(両罰規定)
第28条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前2条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
附 則
この条例は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。ただし、第6条及び第23条の規定は、公布の日から施行する。
附 則(令和6年12月25日条例第79号抄)
(施行期日)
1 この条例は、刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号。以下「刑法等一部改正法」という。)の施行の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行前にした行為の処罰については、なお従前の例による。
3 この条例の施行後にした行為に対して、本整備条例以外の福島市の条例の規定によりなお従前の例によることとされ、なお効力を有することとされ又は改正前若しくは廃止前の条例の規定の例によることとされる罰則を適用する場合において、当該罰則に定める刑に刑法等一部改正法第2条の規定による改正前の刑法(明治40年法律第45号。以下この項において「旧刑法」という。)第12条に規定する懲役(以下「懲役」という。)(有期のものに限る。以下この項において同じ。)、旧刑法第13条に規定する禁錮(以下「禁錮」という。)(有期のものに限る。以下この項において同じ。)又は旧刑法第16条に規定する拘留(以下「旧拘留」という。)が含まれるときは、当該刑のうち懲役又は禁錮はそれぞれその刑と長期及び短期を同じくする有期拘禁刑と、旧拘留は長期及び短期を同じくする拘留とする。
4 拘禁刑又は拘留に処せられた者に係る本整備条例以外の福島市の条例その他の定めによりなお従前の例によることとされ、なお効力を有することとされ又は改正前若しくは廃止前の条例その他の定めの例によることとされる人の資格に関する法令の規定の適用については、無期拘禁刑に処せられた者は無期禁錮に処せられた者と、有期拘禁刑に処せられた者は刑期を同じくする有期禁錮に処せられた者と、拘留に処せられた者は刑期を同じくする旧拘留に処せられた者とみなす。