○伊達市元気な子ども・みんなの子育て条例
令和6年3月22日条例第5号
伊達市元気な子ども・みんなの子育て条例
目次
前文
第1章 総則(第1条-第3条)
第2章 役割(第4条-第9条)
第3章 子ども・子育て支援への施策
第1節 子育て家庭への施策(第10条-第13条)
第2節 伊達っ子の生き抜く力を育てる施策(第14条-第19条)
第3節 伊達っ子の人権を守る施策(第20条-第23条)
第4節 伊達っ子を中心とした楽しいまちづくりの施策(第24条-第26条)
第4章 雑則(第27条)
附則
伊達市のシンボルである名峰霊山の豊かな「自然」、伊達氏発祥の地のロマンあふれる「歴史」、寒暖差や肥沃な土地が育む多彩でおいしい「農産物」、あたたかく人情味あふれる「人」は、これまで、伊達っ子の健やかで心豊かな成長に大きく寄与してきました。
これらの土壌の上で、これからも伊達っ子が郷土に誇りを持ち、豊かな人間性を身に付け、社会的に自立していくためには、次の2つのことが大切です。
1つは、伊達っ子が「元気」であることです。
元気な伊達っ子とは、身体の健康に限らず、精神の健全さも含め自己肯定感を持って、どのような困難な状況でも前向きに乗り越えることができる、気力に満ちた子どもです。
2つ目は、子育てを「みんな」で行うことです。
伊達っ子がより良く育つには、伊達市版ネウボラで子育て家庭を支えつつ、地域社会のみんなで伊達っ子の居場所をつくり、家族と同様に受け入れ、応援し、見守り育てていく意識づくりが重要です。
令和5年、伊達っ子が意見を出し、自ら考え行動する指針として、次に掲げる「伊達っ子の誓い」が生まれました。
伊達っ子の誓い
テーマ1 人との関わり わたしは友達と仲良くします
テーマ2 あいさつ わたしは明るく元気な声であいさつをします
テーマ3 健康 わたしは毎日元気に過ごします
テーマ4 ふるさと わたしは自然とふるさとを大切にします
テーマ5 挑戦・努力 わたしは将来の夢に向かって日々努力します
伊達っ子がこの誓いを実践し、地域のみんながそれぞれの役割を果たすことで、伊達っ子が伊達市で育ち、育てられたことを誇りに思えることを願い、ここに条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、伊達っ子とその保護者を支援するための基本理念を定め、市及び地域社会の役割を明らかにし、子ども・子育て支援のための施策(以下「施策」という。)を総合的、継続的かつ安定的に推進することにより、伊達っ子が最善の利益を得られ、元気に成長できるよう、地域のみんなで子育てを推進することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 伊達っ子 伊達市(以下「市」という。)の子ども。心身の発達の過程にあるおおむね18歳までの者をいう。
(2) 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他子どもを現に育てる者をいう。
(3) 遊び学び育つ施設 保育施設、学校、放課後児童クラブ、遊び場その他伊達っ子が遊び、学び、育つことを目的とした施設をいう。
(4) 市民等 市内に居住する者、通勤する者又は市内で子育て支援活動を行う者をいう。
(5) 事業者 市内において事業を行う個人及び法人その他の団体をいう。
(6) みんな 伊達っ子に接する機会のあるすべての成人をいう。
(基本理念)
第3条 施策は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとする。
(1) 伊達っ子が、性別、人種、障がい、経済状況、家族の状況等によって、差別、いじめ、体罰、虐待等を一切受けることなく、人権が守られ、安心して生きていくことができ、かつ、自分に関係のある事柄について自由に意思を表すことができ、尊重されること。
(2) 伊達っ子が、自分の居場所を実感でき、生き生きと成長できることで、自己肯定感を育み、最善の利益を得られる環境を整えること。
(3) 伊達っ子が、望ましい生活習慣と、豊かな遊びと学びを通じて成長する過程で、段階に応じた必要な支援を受け、社会の一員として生活する能力を身に付けること。
(4) 保護者が、過度な負担を感じることなく、子育ての喜びや楽しさを感じられるよう、みんなで子育てをすること。
第2章 役割
(市の役割)
第4条 市は、施策を総合的、継続的かつ安定的に実施するため、次に掲げる事項を推進する。
(1) 遊び学び育つ施設、子育てに係る関係機関が、連携を密にしながら支援体制を確保すること。
(2) 保護者が安心して子育てでき、子育ての喜びを実感できるよう、伊達市版ネウボラを推進し、子育て家庭に寄り添いながら切れ目なく支援すること。
(3) 伊達っ子が最善の利益を得られるよう、伊達っ子の声を積極的に聴き、意見を尊重すること。
(4) みんながそれぞれの役割を果たすために、互いに連携を図り、地域で子育て家庭に積極的に関わることの意識の醸成を図ること。
(伊達っ子の役割)
第5条 伊達っ子は、将来、社会的に自立するため、次に掲げる事項の推進に努めるものとする。
(1) 命の尊さを学び、自分の気持ちと体を大切にし、自分の考えを持って意見を述べ、行動すること。
(2) ルールやマナーを守り、相手の価値観や多様性を認め、尊重し、思いやりの気持ちを持って接すること。
(3) 伊達っ子の誓いを念頭に日々を過ごすこと。
(保護者の役割)
第6条 保護者は、伊達っ子の成長の第一義的役割を果たすため、次に掲げる事項の推進に努めるものとする。
(1) 伊達っ子が社会的に自立するために必要な、望ましい生活習慣を身に付けさせること。
(2) 伊達っ子が自己肯定感を高められるよう、賞賛と励ましを積極的に行うこと。
(3) 伊達っ子がルールやマナーを身に付けられるよう、誤った行動等をとったときは、適切に諭すことの大切さを理解し、実践すること。
(4) 伊達っ子に対する体罰、虐待等が心身に深い傷を与えることを認識し、心身の健やかな成長を促すこと。
(遊び学び育つ施設の役割)
第7条 遊び学び育つ施設は、伊達っ子が元気に遊び、主体的に学びながら、健やかに育つため、次に掲げる事項の推進に努めるものとする。
(1) 伊達っ子とその保護者が安心して過ごすことができるよう、伊達っ子の人権に配慮すること。
(2) 伊達っ子の居場所となり、充実した集団生活を通じて、豊かな人間性及び社会性を身に付けることができる施設であること。
(3) 伊達っ子の年齢及び心身の発達に応じて、必要な支援を行うこと。
(市民等の役割)
第8条 市民等は、地域のみんなで伊達っ子の健やかな成長を促すため、次に掲げる事項の推進に努めるものとする。
(1) 子育てを主体的にとらえ、すべての伊達っ子と家族のように接すること。
(2) 地域行事その他社会性を育むことができる場を提供し、伊達っ子及びその保護者と積極的に関わりを持つこと。
(3) 伊達っ子への声掛け、見守り及び積極的に声を聴くことにより、犯罪、虐待等から伊達っ子を守ることができるよう安全で安心な地域づくりを行うこと。
(事業者の役割)
第9条 事業者は、子育てしやすい社会環境をつくるため、次に掲げる事項の推進に努めるものとする。
(1) 仕事と子育てを両立できる働き方について、従業員と話し合うよう努めること。
(2) 男性が育児に参加できるよう配慮すること。
(3) 伊達っ子やみんなが企画する活動に協力すること。
第3章 子ども・子育て支援への施策
第1節 子育て家庭への施策
(発達の保障)
第10条 市は、保護者とともに、伊達っ子が健康かつ安全で心穏やかに生活を送ることできる環境をつくり、多くの人との関わりを持つ機会を作ることで、伊達っ子の健やかな育ちを保障するよう努めるものとする。
(支援を要する伊達っ子への取組)
第11条 市は、障がいのある伊達っ子、医療的ケアを必要とする伊達っ子、生活に困窮する家庭で育つ伊達っ子、家族の介護看病世話を長期間かつ日常的に行っている伊達っ子(以下「ヤングケアラー」という。)その他支援を要する伊達っ子のため、関係機関と連携して必要な支援を推進する。
(相談体制の構築)
第12条 市は、伊達っ子とその保護者が安心して相談でき、充実した支援を受けられるよう、伊達市版ネウボラを中心として、関係機関と連携した相談体制を構築する。
(保護者の居場所の確保)
第13条 市は、保護者が地域において子育て等の情報交換や、安心して自分らしくいられる拠点を確保するため、必要な施策を推進する。
第2節 伊達っ子の生き抜く力を育てる施策
(生き抜く力の醸成)
第14条 市は、伊達っ子がみんなから愛され、かけがえのない存在であるということを認識し、自己肯定感を持って元気に生き抜くことができるよう、次に掲げる事項を推進する。
(1) 伊達っ子が、自主性を持って物事に取り組み、試行錯誤を繰り返しながら新しい世界を広げ、能力を開花できるよう、みんなで支え見守ること。
(2) 伊達っ子が、遊び学び育つ施設及び地域の企画又は行事等を通して、他者との関わり方について学び、相手を尊重する気持ちを育むことができるよう、みんなで支え見守ること。
(3) 伊達っ子が、普段から物事に粘り強く取り組むことを通じて自制心を育み、多様な環境や状況に適応できるよう、みんなで支え見守ること。
(望ましい生活習慣の確立)
第15条 市は、伊達っ子が生涯にわたって健康な生活を送ることができるよう、次に掲げる事項を推進する。
(1) 伊達っ子が良質で十分な睡眠時間を取ることができるよう、早寝早起き、体を動かす習慣の大切さを、みんなで伝えること。
(2) 伊達っ子の望ましい食生活について、必要な知識と判断する力を身に付けさせるとともに、市の豊かな自然や伝統文化を生かした食事の大切さを、みんなで伝えること。
(3) 伊達っ子と大人が楽しく一緒に食卓を囲み、食材や作ってくれた人に感謝することの大切さを、みんなで伝えること。
(伊達っ子の居場所の確保)
第16条 市は、伊達っ子が遊び、学び、育つための居場所を見つけられるよう、次に掲げる事項を推進する。
(1) 伊達っ子が、安心して、安全に過ごせる場を確保すること。
(2) 伊達っ子が、望ましい人間関係の中で、自分らしく過ごすことができる場を確保すること。
(メディア依存防止への取組)
第17条 市は、伊達っ子がスマートフォン、タブレット型端末その他映像を表示する電子機器の過度な利用により、心身の発達を阻害されないよう、伊達っ子及び保護者へ、メディアとの付き合い方の理解を深めるための啓発その他必要な施策を推進する。
(応援することの実践)
第18条 市は、伊達っ子が自己肯定感を持って潤いのある生活を送ることができるよう、みんなが伊達っ子の頑張りを認め、褒めて応援することを推進する。
(手伝いの実践)
第19条 市は、伊達っ子の自立心や責任感を育むため、保護者その他関係者と連携し、伊達っ子が無理のない範囲で自ら手伝いをし、最後までやり遂げることを推進する。
第3節 伊達っ子の人権を守る施策
(虐待防止への取組)
第20条 市は、伊達っ子の健やかな成長が妨げられることのないよう、虐待の防止及び早期発見に必要な施策を講ずるため、次に掲げる事項を推進する。
(1) みんなが、伊達っ子に対し暴力、暴言等の行為をしないこと。また、虐待を受けている、又はそのおそれがある伊達っ子がいた場合は、ためらわず関係機関へ通告すること。
(2) 伊達っ子が、虐待行為を受けた際は、我慢せずすぐに周りの大人たちに相談できる体制を構築すること。
(いじめ、不登校及びひきこもりへの取組)
第21条 市は、関係機関と連携し、伊達っ子が充実した学校生活を送るため、次に掲げる事項を推進する。
(1) 伊達っ子が、いじめをしない、いじめられたら我慢をしない、いじめを見て見ぬ振りをしない意識をつくり、相談しやすい体制を構築すること。
(2) 不登校及びひきこもりの伊達っ子が、再び通学又は社会復帰できるために必要な措置を講ずること。
(ヤングケアラーへの配慮)
第22条 市は、ヤングケアラーの家族への思いを尊重しながら、必要な支援を行い、伊達っ子の権利及び利益が最大限に配慮されるよう施策を推進する。
(性別に関する差別の防止)
第23条 市は、男女共同参画社会の形成に関する基本理念のもと、伊達っ子の身体的性、性自認、性的指向、性表現等にかかわらず、一人ひとりの能力を十分に発揮する機会が確保され、差別的扱いを受けることがない施策を推進する。
第4節 伊達っ子を中心とした楽しいまちづくりの施策
(知的好奇心を満たす楽しいまち)
第24条 市は、伊達っ子にとって知的好奇心を満たす楽しいまちとするため、自然、歴史、伝統文化、産業等の学習及び体験に、みんなで一体となり取り組む体制の構築を推進する。
(意見表明及び社会参加の促進)
第25条 市は、伊達っ子の意見表明や社会参加の促進のため、次に掲げる事項を推進する。
(1) 伊達っ子が、社会の一員として自分の考えや意見を表明するなど、社会に参加する機会を設けること。
(2) みんなが、伊達っ子の考えや意見に耳を傾け、尊重し、伊達っ子の主体的な社会活動を支援すること。
(伊達っ子こどもの日)
第26条 市は、社会的自立に向け元気に頑張っている伊達っ子が、普段以上に大人たちと多く語らい、みんなへ感謝の気持ちを伝える日として、伊達市版こどもの日を創設し、毎月1日を「伊達っ子こどもの日」とする。
2 市は、前項に規定する「伊達っ子こどもの日」の周知を図る。
第4章 雑則
(委任)
第27条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、令和6年4月1日から施行する。