○調布市自然環境の保全等に関する条例
平成8年3月26日条例第4号
調布市自然環境の保全等に関する条例
調布市緑化条例(昭和47年調布市条例第42号)の全部を改正する。
(目的)
(定義)
第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 自然環境 大気,水及び土壌並びに動植物が本来有する生息形態を一体として総合的にとらえた環境をいう。
(2) 緑 樹木,樹林地,草地,水辺地,小動物の生息地のほか,これらに類するものをいう。
(協働の責務)
第3条 市,市民及び事業者(緑の所有者及び占有者を含む。以下第5条,第8条第3項及び第22条において同じ。)は,協働して,自然環境の保全等に努めなければならない。
(市の責務)
第4条 市は,自然環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
(市民等の責務)
第5条 市民及び事業者は,自ら進んで自然環境の保全等に努めるとともに,市が実施する施策に協力するものとする。
(国等に対する協力の要請)
第6条 市長は,自然環境の保全等を図るため,必要があると認めたときは,国又は東京都その他の地方公共団体(以下「国等」という。)に対して,自然環境の保全等に関する施策の推進について協力を要請するものとする。
(情報の収集及び提供)
第7条 市長は,自然環境の保全等に関する情報の収集に努めるとともに,その情報を提供するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(計画の策定等)
第8条 市長は,自然環境の保全等を図るために必要な計画を策定するよう努めるものとする。
2 市長は,前項に規定する計画を策定したときは,これを公表しなければならない。
3 市長は,第1項に規定する計画を策定するに当たっては,市民及び事業者の意見を反映するために必要な措置を講ずるものとする。
4 市長は,前項に規定する措置のほか,
基本条例第22条に規定する調布市環境保全審議会の意見を聴くものとする。
5 前3項の規定は,計画の変更について準用する。ただし,軽易な変更については,この限りでない。
(生物種の指定)
第9条 市長は,市内に生息する動植物のうち,固有の生物種又は絶滅のおそれのある生物種の保全及び回復を図るため,規則で定めるところにより,指定生物種又は特別指定生物種として指定することができる。
2 前条第4項の規定は,特別指定生物種の指定について準用する。
3 市長は,第1項の規定により指定した生物種の採取及び捕獲を禁止するほか,その保全及び回復を図るために必要な措置を講ずることができるものとする。
4 市長は,第1項に規定する指定をしたときは,その旨を告示しなければならない。
(保全地区等の指定)
第10条 市長は,規則で定めるところにより,保全及び回復を図る必要があると認めた緑を保全地区又は保存樹木として指定するものとする。
2 市長は,規則で定めるところにより,前項に規定する緑のうち,特に貴重なものを特別保全地区として指定するものとする。
3 第8条第4項の規定は,前項に規定する特別保全地区の指定について準用する。
4 市長は,第1項及び第2項に規定する保全地区,保存樹木又は特別保全地区(以下「保全地区等」という。)を指定しようとするときは,あらかじめ,保全地区等の所有者及び占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得るものとする。
5 市長は,保全地区等を指定したときは,その旨を告示するとともに,所有者等に通知しなければならない。
(指定の解除)
第11条 市長は,指定された保全地区等が,滅失,枯死その他特別の理由があると認めたときは,その指定を解除することができる。
2 前条第5項の規定は,前項の規定により指定を解除する場合について準用する。
(所有者等の責務)
第12条 所有者等は,当該保全地区等について,常に良好な状態を保つよう努めるものとする。
(届出等)
第13条 第10条第1項の規定により指定された保全地区において,次の各号の一に掲げる行為をしようとする者は,あらかじめ,市長にその旨を届け出なければならない。
(1) 建築物その他の工作物の新築,改築又は増築
(2) 宅地の造成,土石の採取その他の土地の形質変更
(3) 植物の採取,伐採又は移植
(4) 水面の埋立て
(5) 前各号に掲げるもののほか,市長が当該保全地区の保全及び回復に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めた行為
2 第10条第1項の規定により指定された保存樹木について,伐採又は移植をしようとする者は,あらかじめ,市長にその旨を届け出なければならない。
3 市長は,前2項の規定による届出があった場合において,必要があると認めたときは,当該保全地区及び保存樹木の保全及び回復を図るために必要な措置を講ずるよう要請することができる。
(許可)
第14条 第10条第2項の規定により指定された特別保全地区において,前条第1項各号の一に掲げる行為をしようとする者は,市長の許可を得なければならない。
2 市長は,前項に規定する許可をするときは,当該特別保全地区の保全及び回復を図るために必要な条件を付することができる。
(届出及び許可の適用除外)
第15条 次の各号に掲げる行為については,第13条第1項及び第2項並びに前条第1項の規定は適用しない。
(1) 通常の管理行為及び軽易な行為
(2) 非常災害のための応急措置としての行為
2 前項第2号の規定により,保全地区等の現状を変更した者は,速やかに,市長にその旨を届け出なければならない。
(所有又は管理の主体の変更)
第16条 市長は,保全地区等の所有又は管理の主体の変更があったときは,引き続き,その保全及び回復について協力を要請するものとする。
2 市長は,市が管理の主体となったときは,適切にこれを行うものとする。
(保全地区等以外の緑の保全等)
第17条 市長は,保全地区等以外の緑について,特に必要があると認めたときは,所有者又は占有者と協議のうえ,自然環境の保全等に必要な措置を講ずることができる。
(崖線緑地の保全及び回復)
第18条 市長は,崖線緑地が自然環境に果たす役割に配慮し,保全及び回復に努めるものとする。
(農地の保全)
第19条 市長は,農地が自然環境に果たす役割に配慮し,保全に努めるものとする。
(買入れのための措置)
第20条 市長は,保全地区等及び第17条の規定による緑の土地の所有者から,当該土地を市において買い入れるべき旨の申出があった場合は,買入れのための必要な措置を講ずることができる。
(緑化基準)
第21条 市長は,緑について,市が設置し,又は管理する道路,公園,学校その他の公共施設において,自然環境の保全等を図るため,規則で定める緑化基準により,緑化に努めなければならない。
2 市民,事業者,土地の所有者及び占有者は,前項に規定する緑化基準により,緑化に努めなければならない。
(水の循環の保全及び回復)
第22条 市,市民及び事業者は,水が自然環境に果たす役割の重要性に配慮して,水の循環の保全及び回復を図るため,雨水利用及び地下水の涵養に努めなければならない。
(地下水の保全及び回復)
第23条 市長は,地下水が自然環境に果たす役割に配慮して,雨水利用及び雨水地下浸透設備の普及を図るために必要な措置を講ずるものとする。
(湧水等の保全及び回復)
第24条 市長は,湧水,湿地,池,水路,河川等が生き物の生存にとって欠かすことのできないものであることに配慮し,国等と協力して,これらの保全及び回復を図るために必要な措置を講ずるものとする。
(助成及び支援)
第25条 市長は,自然環境の保全等に寄与するものと認めた事業及び活動を行う者に対し,次の各号に掲げる助成及び支援を行うことができるものとする。
(1) 補助金等の支給
(2) 種子,樹木等の支給
(3) 技術的支援
(4) 前3号に掲げるもののほか,市長が特に必要があると認めた助成及び支援
(事業の実施)
第26条 市長は,自然環境の保全等を図るため,次の各号に掲げる事業の実施に努めるものとする。
(1) 自然環境の保全等に関する普及及び啓発事業
(2) 自然環境に関する学習事業
(3) 市民ボランティアの育成事業
(4) 前3号に掲げるもののほか,市長が特に必要があると認めた事業
(行為の制限)
第27条 保全地区等においては,規則で定める行為をしてはならない。ただし,市長が特に必要があると認めたときは,この限りでない。
(標識の設置)
第28条 市長は,保全地区等を指定したとき及び第17条の規定による措置を講じたときは,これを表示する標識を設置するものとする。
(報告及び調査等)
第29条 市長は,第14条第1項の規定により許可を受けた者に対して,当該行為の実施状況その他必要な事項について報告を求め,又は職員をして当該特別保全地区に立ち入り,第13条第1項各号に掲げる行為の実施状況又はこれらの行為が特別保全地区の自然環境に及ぼす影響を調査させることができる。
2 前項の規定により立入調査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者に提示しなければならない。
(違反行為の公表)
第30条 市長は,この条例の規定に違反して,自然環境を著しく損なう行為をした者があるときは,その違反の事実を公表するものとする。
(委任)
第31条 この条例の施行について必要な事項は,規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は,平成8年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例による改正前の調布市緑化条例(以下「改正前の条例」という。)第6条第2項の規定により委嘱又は任命された調布市緑化推進協議会の委員の任期は,その残任期間にかかわらず,平成8年3月31日までとする。
3 改正前の条例第7条第3項の規定による緑の環境保全地区又は保存樹木の指定の告示は,この条例による改正後の調布市自然環境の保全等に関する条例(以下「改正後の条例」という。)第10条第5項の規定による保全地区又は保存樹木の指定の告示とみなす。
4 改正前の条例第9条第1項の規定により設置された緑の環境保全地区又は保存樹木の標識は,改正後の条例第28条の規定により設置された保全地区又は保存樹木の標識とみなす。